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EIGHTEEN LIVES:再生の迷宮〜二度目のチャンスのダンジョン〜  作者: ルーク
【 旅路に縛られし者へ、ようこそ 】

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3/19

1階 - 錆びた鉄棒

 十七。


 その数字は視界の隅に、淡く、静かに佇んでいた。


 カイルは一瞬それを見つめ、視線を動かしてウィンドウを閉じた。


 (考えるな。今は鉄棒のことだけを考えろ)


 彼は保管庫(レリクアリ)から足を踏み出した。


 前回と同じように冷気が彼を襲う。古い鉄。湿った石。そしてその奥にある、やはりまだ名前もつけたくないような甘ったるい臭い。


 だが、今回は焦らなかった。


 彼は歩きながら松明の数を数えた。


 左の壁に七つ。右の壁に六つ。右の壁の七番目の金具には松明がなく、ただ黒く焦げた鉄の根元だけが残っていた。


 (前回は気づかなかったな)


 (あの時は、恐怖に怯えるだけで精一杯だったからだ)


 彼は歩き続けた。


 足音はまだ大きすぎた。遅いシフトの後にこっそり家に戻る時のように、かかとから着地し、それからつま先を下ろすように意識してみる。


 少しはマシになった。


* * *


 アーチ型の入り口を抜けると、記憶の通りに城壁の上の通路(バトルメント)に出た。


 どす黒い紫色の同じ空。崩れかけた同じ石壁。そして眼下の暗い森に立ち込める同じ霧。


 カイルはアーチのすぐ内側で立ち止まり、背中を石壁に押し付けた。


 外には踏み出さない。


 ただ、見た。


 前方、壁に沿って三十歩ほど進んだところに、崩れた柱が横たわっている。


 その影の、すぐ傍らに、破れた灰色の服を着た死体がある。


 伸ばされた腕。曲がった指先。錆びた鉄棒。


 何も動いていなかった。


 引きずるような音もしなければ、石をこする濡れた足音もしない。


 (俺が来た時、ハスクはここにいなかった)


 (あいつが現れたのは、俺が鉄棒を登録した『後』だ)


 (隣の塔からな)


 彼はそれを頭の中で整理した。


「あいつは巡回してるんだ」彼は静かに呟いた。「あるいは、待ち伏せか。どちらにせよ、俺が死体の前に立つとやってくる」


 彼は遠くの塔に目を向けた。その根本に開放された入り口を持つ、ずんぐりとした石造りの塔。


 鉄棒までは三十歩。


 あの入り口までは、おそらく四十歩。


 その差は十歩。


 (十歩なんて大した差じゃない)


 彼は唾を飲み込んだ。


 (だけど、今の俺はあいつの速さを知っている)


* * *


 彼は姿勢を低くして壁沿いを進み、崩れた城壁の陰に身を隠しながら塔との視線を遮った。


 風が袖を激しく引っ張る。


 中ほどまで来た時、彼はある隙間に気づいた。


 胸壁の一部が外側に向かって崩落しており、壁にドア一枚分ほどの幅の穴が空いていた。その向こうには、虚空と霧以外には何もなかった。


 カイルは足を止めた。


 彼はその隙間を見た。それから崩れた柱を見た。そして、その二つの間にある遮るもののない石の通路を見た。


 (塔から鉄棒までは直線だ)


 (もしハスクが俺に向かって真っ直ぐ突っ込んできたら……)


 小さな、だが嫌なアイデアが形を作り始めていた。


 彼は先へ進んだ。


 柱にたどり着くと、彼は死体の横にしゃがみ込んだ。


「ごめん」彼は微かに呟いた。「これが必要なんだ」


 指先は記憶の通りに硬直していた。彼は顔を見ないようにしながら、一本ずつ優しく指を解きほぐした。


【アイテムを感知:錆びた鉄棒】

【レア度:コモン】

【錆びた鉄棒を登録(クレーム)しますか?】

【はい / いいえ】


「はい」


【アイテムを登録しました:錆びた鉄棒】

【システムストレージに格納されました】


 遥か背後の通路で、ガラスがチーンと鳴る音が響き渡った。


 闇のどこかで、先ほどまで灰色で空っぽに見えた薬瓶が、再び光を取り戻している。


 新しいウィンドウが滑り出すように開いた。


【ミッション達成:錆びた鉄棒を回収せよ】


 カイルは深く息を吐き出した。


 (一つ、片付いた)


 鉄棒は、前回と変わらず不格好で、ずっしりと重かった。彼はそれを両手でしっかりと握りしめた。


 手のひらはすでに汗で濡れている。


 そして、それが聞こえた。


 ベチャリ、ベチャリと、重い何かを引きずる音。


* * *


 それは塔から、まさに最初と全く同じように現れた。


 カイルは逃げなかった。


 彼はゆっくりと立ち上がり、崩れた柱を背に、壁の隙間が自分の左側に位置するようになるまで、三歩後ろに下がった。


 松明の光の中に、一つの影が足を引きずりながら踏み出してきた。


 灰色の剥がれかけの皮膚。白濁した目。首が折れて二度と治らなかったかのように、極端に片側に傾いた頭。


【モンスターを識別:ハスク(亡者)】

【危険度:低】

【推奨:徒手空拳での戦闘は避けてください】


「素手じゃないさ」カイルは声を押し殺して言った。


 彼の声は、震えていた。


 その音がハスクに聞こえないことを、カイルはただ祈るばかりだった。


 ハスクは十五歩ほど手前で足を止めた。


 その頭が、ゆっくりとこちらを向く。


 壊れた蝶番のように、顎がだらりとぶら下がっていた。


 カイルは息を止めた。


 (待て)


 (引きつけるんだ)


 顎がピクリと動いた。


 一度だけ。


 (今だ!)


 ハスクが突進してきた。


 カイルは左側へと身体を投げ出し、崩れた柱の影に飛び込んだ。


 ハスクは瞬きするよりも短い時間で直線の通路を駆け抜けた。その無残な手が、つい先ほどまで彼の胸があったはずの空間をむなしく掻きむしる。次の瞬間、怪物の巨体は石壁に激しく激突し、不快な金属音のような摩擦音を響かせながら、柱を削るようにして滑っていった。


 頭上からパラパラと塵が落ちてくる。


 カイルはよろめきながらも踏みとどまり、目を剥いた。


 (避けた……)


 (本当に、避けられたぞ)


 (やっぱり、動く前に顎がピクリと動くんだ)


 ハスクは石壁から身体を引き剥がし、向き直った。


 首が傾く。


 痛がっている様子もなければ、怒っている様子もない。


 それはただ、飢えた獣が目の前の肉を見つめるような目で、じっとカイルを見ていた。


「よし」カイルは低く呟いた。「もう一回だ」


* * *


 二度目の突進も、全く同じ予兆から始まった。


 顎の痙攣。爆発的な加速。石をこする素足の音。


 カイルは今度は右に回り込みながら、ハスクが通り抜ける瞬間に合わせて鉄棒を振り抜いた。


 ガキィン!


 鉄棒がハスクの肩にまともに命中した。


 凄まじい衝撃が両腕を駆け上がり、奥歯をガタガタと震わせる。危うく鉄棒をひったくられるところだった。


 ハスクはよろめいたが、それもほんの一瞬のことに過ぎなかった。


 怪物は即座に上半身をねじり、カイルに向かって鋭い爪を振り下ろした。


 カイルは反射的に頭を下げた。


 爪がシャツの袖を引き裂く。前腕の皮膚に、焼けるような熱い一本の線が走った。


【警告:ダメージを検知しました】


「くっ……」


 彼は這うようにして後退し、切り傷を手で押さえた。深くはない。だが、じわじわと血が溢れ出し、手首を伝って流れ落ちていく。


 (深くはない)


 (だけど、危なかった。危なすぎた)


 心臓が痛いくらいに激しく鐘を鳴らしている。


 (十七。十六に落とすわけにはいかない。こんなに最初の段階で、こんなところで死んでたまるか)


 ハスクが起き上がり、向き直る。そして首を傾げた。


 また、あのピクリという予兆がくる。


 カイルは攻撃を仕掛けるのをやめた。


 ただ、敵を観察することに全神経を注いだ。


 本当に、じっくりと。


 突進する直前、怪物の全身が前傾することに気づいた。右足よりも左足の方が、わずかに引きずる度合いが強い。動き出すまさにその瞬間、折れた首を無理やり固定するかのように、頭が後ろにカクンと跳ね上がるのが見えた。


 (あいつは直線にしか動けないんだ)


 (突進の途中で曲がることはできない)


 (速い。だけど、頭が悪い)


 彼の視線が、城壁のあの崩落した隙間へと向けられた。


 それからハスクを見る。


 そして、自分たちの間に横たわる、三十歩ほどの遮るもののない石の通路を見つめた。


 (俺に向かって真っ直ぐにくる)


 (毎回、必ず)


 口の中がカラカラに乾いていく。


 (もし俺が、あの隙間のすぐ横に立っていたら……)


 彼は生唾を飲み込んだ。


「最悪のアイデアだな」


 彼は横歩きで一歩、また一歩と移動し、胸壁が消失したその縁が、ちょうど背後の一歩手前にくる位置に陣取った。背中に強烈な風が吹きつける。遥か下方では、霧がまるで波立つ水のように渦巻いていた。


 下は見ない。


 ハスクがその白濁した瞳をこちらに向けた。


 顎がピクリと動く。


 カイルの膝が、恐怖で砕けそうになった。


 (待て)


 (まだだ……)


 ハスクが突進してきた。


* * *


 カイルは身体を沈めた。


 鉄棒を胸に抱え込むようにして、石の床へと完全に身を横たえる。ハスクの巨体が、つい先ほどまで彼が立っていた空間を猛スピードで通り抜けていった。


 怪物には、突進を止める術がなかった。


 壁の隙間が、その凄まじい推進力をそのまま飲み込んでいく。


 ハスクの片足が、崩れた胸壁の端に引っかかった。


 怪物は腕を激しく振り回しながら前方にのめり込み、壁の縁に胸から激しく激突した。その上半身が、虚空と霧の中に完全に放り出される。両足が、必死に石の床を蹴り上げていた。


 カイルは這うようにして膝立ちになった。


 ハスクの頭がすぐそこにあった。あのあり得ない角度に傾いた頭。無防備に晒された首の後ろは灰色で、ひび割れ、剥き出しになっていた。


 (今だ)


 彼は両手で鉄棒を振り上げた。


「……ごめん」


 それを振り下ろした。


 バキッ。


 鉄棒が曲がった脊椎に叩きつけられた。


 怪物の内部で、何かが完全に破壊される感覚があった。


 ハスクは大きく一度だけ激しく身震いした。そして完全に動きを止め、音もなく壁の縁から真っ逆さまに滑り落ちていった。


 カイルは膝をついたまま、激しく肩で息をしていた。


 耳を澄ます。


 下方からは何の音も聞こえなかった。ただ風の音だけが鳴り響いている。


【モンスターを撃破:ハスク】

【ドロップを検知:2件】


「……」


 カイルは瞬きをした。


「……何かをドロップしたって?」


 ハスクが落ちていった場所から、二つの小さな光が浮かび上がってきた。それらは塵のようにゆっくりと、宙を漂いながら彼の方へと近づいてくる。


 最初の一つが、彼の広げた手のひらに収まった。


 一枚の硬貨。


 鈍い灰金色で、親指の爪ほどの大きさ。片面には小さな開いた扉の形が刻印されていた。


【アイテムを感知:トライアル(試練の貨幣)】

【種別:通貨】

【トライアルは購入に使用できます】

【トライアルを登録(クレーム)しますか?】

【はい / いいえ】


「はい」


【アイテムを登録しました:トライアル ×1】

【システムストレージに格納されました】


 硬貨は冷たいガラスに吹きかけた息のように、彼の手の中から綺麗に消え去った。


(お金か。当然、お金はあるよな)

(こんな場所にすら)


 二つ目の光が彼の目の前で浮遊していた。それは薄青く光り、微かにハミングのような音を立てている。


【スキルを感知:バーストステップ(瞬歩)】

【階級:I+】

【効果:1.2秒間、移動速度を上昇させる】

【クールタイム:20秒】

【バーストステップを登録(クレーム)しますか?】

【はい / いいえ】


 カイルはそれを見つめた。


(バーストステップ……)

(あのハスクが使った動きだ)


「はい」


【スキルを登録しました:バーストステップ】

【システムストレージに格納されました】


 遥か背後の通路で、ガラスが一度だけ、清らかに高く鳴り響いた。


(これで二本の薬瓶が満たされた)


 彼は再びスキルのウィンドウに目をやった。


「1.2秒……」彼は呟いた。「一瞬じゃないか」


(だけどあのハスクは、それ以下の時間で三十歩の距離を駆け抜けた)

(なら、一瞬だからって馬鹿にはできないな)


 彼は立ち上がり、壁沿いに十歩ほど離れた場所を目標に定めた。そしてシステムがそれを求めているかのように、頭の中でスキルの名前を強く念じた。


(バーストステップ)


【バーストステップを発動しました】


 世界が一瞬、止まったように見えた。


 風の音が消えた。足元の石の床が、まるで氷のように滑り出す。またたく間よりも短い時間で十歩の距離が消滅し、気づいた時にはカイルは両腕を大きく広げて滑り込みながら急停止していた。彼の靴のつま先は、壁のあの崩落した隙間の、まさに縁から外へと飛び出していた。


【バーストステップが終了しました】

【クールタイム:20秒】


 心臓が止まるかと思った。


 彼はその場に立ち尽くし、身体を揺らしながら、遥か下方の霧を見つめていた。


 それから、彼は笑った。


 込み上げてきたのは狂おしく、震えるような笑い声で、それを抑えるために片手で強く口元を覆わなければならなかった。


「よし……」彼は息を詰まらせた。「よし、これなら……これなら戦える」


(ほとんどのモンスターは良いものを落とさない。神はそう言っていた)

(だけど、ドロップはドロップだ)


 彼は縁から後退し、崩れた柱に背を預けてどさりと座り込むと、血の流れる腕を抑えた。両手が酷く震えていたため、それを止めるために強く両手を合わせる必要があった。


(勝ったんだ。死なずに)

(本当に、勝てた)


 彼は視界の隅にある数字を見た。


【残機:17 / 18】


 数字は変わっていなかった。


(変わってない)


 この場所に落とされてから初めて、その数字が、自分の手で守り抜くことができる大切なもののように感じられた。


* * *


 彼はシャツの袖を前腕に巻きつけて包帯代わりにし、歯を使ってその結び目をきつく締め上げた。


 これなら外れることはないだろう。


 彼がちょうど立ち上がろうとしたその時、新たなウィンドウが開いた。今度のものは、これまでのどれよりも大きかった。


【新しいミッション】

【未知の領域を探索し、城壁の地図を記録せよ】

【理由:記録された地図は、緊急時に参照することができます】

【進行度:0%】


 カイルは瞬きをした。


「地図、か」


 ウィンドウの表示が切り替わった。かすかな格子状のグリッドが現れる。そのほとんどは空白だったが、彼の背後にある通路を示す一つの小さな点と、壁に沿った短い一本の線だけが描かれていた。


【地図:城壁(Rampart)】

【探索済み:3%】

【未記録の領域は、未知として表示されます】


 彼は長い間、それを見つめていた。


「緊急時……」彼は繰り返した。


 (死ぬ時、とかな)


 (あるいは、逃げ回る時)


 (進んではいけない道を見つけ出す時、とかだ)


 彼は城壁の上の通路(バトルメント)を見渡した。ある場所は崩れ、ある場所はひび割れた長い壁が、両方向へと無限に伸びており、不揃いな間隔で塔がそびえ立っている。その向こうには、霧の中に消えていく森が広がっていた。


 あまりにも巨大だった。


 そして、自分はこの場所について何一つ知らない。


 (俺の知らない場所はすべて、俺を殺しうる場所だ)


 (だけど知っている場所なら、少なくとも対策を立てることはできる)


 彼は錆びた鉄棒を握る手にぐっと力を込めた。


「よし、やろう」


 彼は姿勢を低く保ちながら、ゆっくりと壁沿いを進み始めた。


 一歩進むごとに、視界の隅にある地図が少しずつ埋まっていく。線、曲がり角、そして塔。


【探索済み:4%】


【探索済み:5%】


 彼が次の塔に差し掛かろうとしたその時、それが聞こえた。


 弓の弦が引き絞られるような、細く乾いた音。


 カイルの身体が硬直した。


 ドスッ。


 彼の足元からわずか数インチの石の床に、何かが突き刺さった。


 彼は視線を落とした。


 一本の矢だった。骨のように白く、そのシャフトはまだ細かく震えている。


【警告:敵対存在を感知しました】

【モンスターを識別:ボーンアーチャー(骸骨射手)】

【危険度:中】


 カイルは塔の最上部に向けて、ゆっくりと視線を上げた。


 そこの影の中に、弓を手に持った、細長く痩せこけた何かが立っていた。


 そしてそれは、すでに次の矢を引き絞ろうとしていた。


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