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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
3章

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第79話 裏方はいつも大変


「ふぅぅ……」


『通話を繋いで早々深い息を吐かないで――って、何その満足そうな顔。こんな時間に仕事の話で申し訳ないって思ってたところなのに、何? なんでそんな嬉しそうな顔してんのアンタ』


 緊急という訳でもないけど、時間があったら連絡を~というメールが早乙女さんから届いた為。

 気分の良かった俺は早速、今で良いっすよー的に声を返した結果。

 もう随分と遅い時間だというのに、お仕事のリモート会議が始まってしまった訳だが。

 モニターに映った彼女は、非常に訝し気な表情で此方を覗き込んで来る。

 こらこら、早乙女さん。

 貴女も今は私服なんですから、あんまり無防備にジロジロ覗き込むモノではありませんよ?


「早乙女さん、今の緩い格好でモニターを覗き込むのは如何なものかと。色々見えちゃいそうですよ?」


『なっ!? いやうん、ゴメン、今のは私が悪かったわ。いや、そうじゃなくて。なんか、物凄く充実していますって感じのその顔は何なのよ。こんな時間に仕事の連絡なのに、随分と上機嫌じゃない?』


 ほほぉ、聞いちゃいますか?

 聞かれたからには、答えないと駄目でしょうねぇ?

 という事で、フッフッフと笑いながらもスッと……カメラの前に腕を構えてみせた。


『……うん? えぇと、白川君って家の中でも腕時計する人? いつものと違うね、新しいの買ったの?』


 相手からは非常に不思議そうな顔をされてしまったが。

 そんな訳ないじゃないですか、そもそも時間なんてスマホで確認するし。

 普段はずっとパソコンの前に座って仕事しているので、あんまり必要は無いんだけど。

 どうしたって取引先と顔を合わせる状況とか、スマホ出して~って雰囲気じゃない時には必要だからね。

 ずっと安物を付けてはいたんだけども。


「いやぁ、なんて言いますか。自慢じゃないんですけどね? 妹がプレゼントしてくれたんですよぉ……いやぁ本当に、出来た妹を持つと兄としては鼻が高いというか」


『あぁ~なるほど? 妹さんから貰ったのが嬉しくて、明日まで我慢できないで付けちゃってるんだ? はぁぁ……これだからシスコンは。あれ? ていうか、妹さん全然お金使わないって話じゃなかったっけ? 今日なんか特別な日?』


「俺の誕生日ですね」


『あのさぁぁ……そういうの、私にも言いなさいよ。これだけ世話になってるんだから、こっちだって何か用意してあげたのに』


「お気遣いなく、そういうの大丈夫なんで」


『……オイ、可愛くないわねホント。仕事は出来る癖に、そういう所だぞ』


 何でも此方の腕時計、ガンサバで稼いだお金を使って通販で購入してくれたらしい。

 普段スーツだし、こういうのも似合うと思って……なんて言って、恥ずかしそうにしながらも渡してくれた。

 そりゃもう嬉しくない訳が無いでしょう。

 6keyの装備に似ている気がして、本人もほぼ一目惚れの状態で即買いしたらしい。

 参考にしたのが渋すぎるおじ様なのは、少々比べられるのが怖いが。

 とはいえ、似合っていると言ってくれたしな。

 そんなウキウキ気分のまま、妹が作ってくれたお祝い料理を腹いっぱい食べたのだ。

 当然機嫌はとてつもなく良い訳で。


『まぁ良いんだけどさ、とりあえず誕生日おめでとう。んで、仕事の話に戻るけども。これまでの賞金首の功績と、ちょっと個人的な理由も含めた上で、可能ならもう一回顔合わせというか……軽い謝恩会みたいなモノを~って申請が通ったのよ。それこそ、こっちとしては“賞金首達への接待”って感じね、なので参加者の予定は本人達とサポーターのみ。6keyさんは、そういうのって大丈夫そう?』


「まぁ、本来は駄目でしょうね。アイツ、人が集まるところ基本的に苦手なんで」


『そこをどうにか説得してよぉぉ……一人だけ特別扱いする訳ではないんだけど、sevenの“本業”に対してウチのチームが迷惑を掛けたのは事実だし。あの子の要望をちゃんと通してあげないと、私としても顔が立たないのよぉ……』


 そんな事だろうと思ったけども。

 彼女が会いたがっているのは、基本的に夢月だったしな。

 んで前にあったoctopus8の自由行動事件。

 あっちに関しては、完全にsevenこと小鳥遊さんに御迷惑を掛けた形だからねぇ。

 とはいえ、謝恩会か。

 会社の飲み会みたいなのとは違って、関係者としては本当に接待係になるだろうな。

 しかし実際の所、俺が知る範囲では“賞金首”の面々って結構フレンドリーな人が多いというか。

 むしろ担当者と普通に仲良い人達ばっかりだからねぇ。

 あまり堅苦しくない席になるのは予想出来る。

 だからこそ、夢月の方も詳しく話してやれば普通にOKしてくれそうな感じはあるのだが。

 実際に顔を合わせるとなると、若干の抵抗はあるだろうな。

 俺もずっと一緒に居られる環境と、何よりsevenや4cardも居るとなれば安心出来る材料が増えるだろうけど。

 あの二人とは、妹は特に仲が良いし。

 更に言うのなら、9Kとの顔合わせもその場で済む。

 そしてそして、今回のイベントで随分と仲良くなったoctopus8や、お喋りが苦手な相手でも場を盛り上げてくれそうな555だって居るとなれば……まぁ、何とかなるかなぁ。


「とりあえずは、本人の意思優先になりますけど。どうにか説得はしておきます、約束はしませんけど」


『ごめんねぇ……お願いします。というのと、もう一つゴメン。件の謝恩会、もしかしたら土日になるかも。休日の予定を食いつぶすイベントになっちゃうかもだけど……』


「俺の方は別に問題無いですよ。妹も休みの日の方が動きやすいでしょうし、他の面々も別の仕事があったりしますもんね。こればっかりは、賞金首の予定優先にしないと不味いでしょう」


『ありがとねぇ……他の担当にもそのお願いしてから、改めて日程を調整して本決まりになると思うから。とりあえずそういう席があるから是非~って情報共有だけしておいて』


 相も変わらず、お忙しそうで。

 賞金首の統括って事は、俺等担当サポーターの面々だって管理しないといけない訳で。

 いやはや、仕事が出来る人は細かい所までどんどん仕事が増えていくねぇ……。

 あぁ、そういえば。


「早乙女さん、そっちとは別の話になっちゃうんですけど。前に話してた宅飲みの件、マジでやります?」


『えっ!? 何々、どうしたの急に。いやいやいや、ご迷惑でないのなら、確かに妹さんの手料理食べたいけど。良いの? 行っちゃって』


 俺としては、あまり良くないというのは確かなのだが。

 前回のイベントで、夢月がoctopus8と一緒に大暴れしてしまった後。

 注意を軽く受ける様な状態で、早乙女さんと通話を繋いだそうだが……その際、見てしまったのだとか。

 スーツ姿でビシッと決まっていた彼女の後ろ……のゴミ箱に、『割引!』と書かれた弁当箱が乱雑に突っ込まれていた所を。

 更には、また職場以外から連絡を取らせる事態を作ってしまったという件も含め。

 妹から何かお詫びと、普段のお礼を……という相談を受けてしまったのだ。

 こっちは仕事だから気にするなと言っても、やはりそこは社会経験がない上に妹の性格もあり、何かしらお礼する場を作れないかと言い出した。

 本人も最近はちょっとだけ料理に自信を持って来た雰囲気だし、何より奉仕精神は人一倍強いからね。

 そして夢月の中では。


「コンビニ弁当ばかりではあまり栄養が取れないらしい。そして割引弁当は凄く遅い時間にならないと売り出されないみたいだから、早乙女さんが毎日大変そう」


 というイメージで固まったしまったようだ。

 ある意味間違っちゃいないんだけども。


「とまぁそんな訳で。前にウチで飲みたがってたって話をしたら、是非! と言い出しまして」


『決めた、私6keyさんと結婚する』


「6keyならどうぞ、中身はあげませんけど」


 などとやりながら、仕事の話だというのに飲み会だの謝恩会だの。

 集まって騒ぐ事ばかりの予定を組み始めるのであった。

 ガンサバイブオンラインも、結構なペースで賞金首イベント挟んだし。

 もっと言うのなら、毎度彼等にとっては難易度が鬼レベルなのだ。

 こういう慰労会的な事も、度々挟んでいってもおかしくないくらいにお世話になってるんだもんな。

 とてもじゃないが、普通のプレイヤーだったら絶対音を上げてるって。

 出来れば夢月も、こういう催しを楽しめる様になってくれれば良いのだが……最初の内は、無理だろうなぁ。

 それこそ関係者全員と仲良くなって、皆に受け入れられているって自覚でもしない限りは。

 とはいえコレも社会経験。

 本人が良しというのなら、是非是非連れ出してみようではないか。


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