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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
1章

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第24話 サバイブ


 イベントが開始されたと同時に、私は広い公園へと転送された。

 パッと見は海外……なのはいつもの事だけど。

 周囲を見回してみると、ちょっと古いというか、歴史のありそうな綺麗な建物が立ち並んでいる。

 暗くなって来た街並みに、レトロな街灯が光っていて雰囲気も良い。

 そんな中、公園内にも多くの人が溢れていた。

 誰も彼もプレイヤーという感じではなく、凄く普通の人だからNPCなのだろう。

 とはいえ、この中にも混じっている可能性があるのだから油断出来ないが。


『夢月、聞こえるな? 返事はしなくて良い、それすらも今回は危ないからな。問題無ければ、そのまま北に向かって歩き出してくれ。背の高い時計塔が見えるか? そっちだ』


 兄の声が聞えて来たので、指示された方向へと歩き出した。

 なるべく普通に見える様に、周りの人たちに紛れながら。

 今この瞬間にもプレイヤーが襲って来るのではないかと考えると、思わずジャケットの下のハンドガンを確かめたくなるが……ここはグッと我慢。

 ほんの些細な行動で、私の存在に気付かれる可能性があるのだから。

 そして今回の無茶苦茶なイベント、それでも生存出来るかもと思えるポイント。

 他のゲームと比べても、とにかくマップが広いのだ。

 それこそプレイヤー側としたら、大都市の中からたった10人を探す様なもの。

 だからこそ、身を潜める事は最大のアドバンテージに代わる。


『良いぞ、そのままだ。なるべく周囲に視線をキョロキョロさせるなよ? 意外とそういうのでもバレる。それから、周りにもプレイヤーを複数名確認。目視しなくて良いぞ、俺が見ておく』


 も、もう来たのか……早いよ、本当に早いよ。

 参加プレイヤーもログイン場所はランダムらしいから、結構最初の内はバタバタしそうだ。

 もしもパーティで参加していた場合には、それこそ合流が最優先になるだろうし。

 そんな事を考えつつも、NPCと一緒に歩いて行くと……おぉ、案外プレイヤーは分かりやすいな。

 明らかに重装備の人とかはもちろん、そうじゃない人でも結構“何かを探している”動作が見て分かる。

 とはいえ皆、武器はバッグとかで隠しているけど。

 普段のゲーム中と比べれば、やはり周囲のプレイヤー同士が敵じゃないっていうのが大きいのだろう。

 誰も彼も、今日だけはたった10名を探し出すだけ。

 だからこそ、ロールプレイに徹するよりも数で押し切ってしまえって人が多いみたいだ。

 こういう人達にも見つからない様に、とにかく自然体を意識しながら街中を進んでいたのだが……目の前を、数名のプレイヤーが横切った時。

 最後の一人が、走り抜けてから此方を振り返ったではないか。


『夢月……そのまま歩き続けろ、慌てるな』


 兄から指示を受け、そのままこの場を離れようと歩き続けた。

 が、しかし。

 相手は思い切り此方の正面に回り込んで来て、更には私の顔を覗き込んで来たではないか。

 普通だったら、滅茶苦茶失礼な行為ですけどね。

 でもまぁ、今はと言いますと。


「見つけた! おい皆! ココに“シックス”――」


「っ!」


 すぐさまハンドガンを抜き取って、相手のお腹に銃を押し付けた状態で二発。

 そして怯んだところで、今度は相手の顎に銃口を突きつけてから一発。

 物凄く手早く処理したのは良いんだが……これは、不味い。

 銃声は派手に周囲に響き渡ったし、周りのNPC達も此方を見て、悲鳴を上げながら離れていくではないか。

 そうなれば当然……その後残っている人達は、プレイヤーという事になる訳で。


『走れ夢月! 無理矢理にでもNPCに紛れながら、とにかくその場を離れろ! 一旦建物に入って身を隠すぞ!』


 兄の言葉と同時に走り出した私に対し、周囲に居たプレイヤー達が一斉に銃を構えて来た。

 だがすぐに撃って来ないのは……そっか、プレイヤー側にもNPCを撃っちゃうと不味いってルールがあるのだ。

 これは通常時も、今回も一緒。

 更には私達の生存率を上げるために、このルールをイベント中は強化してあるのだとか。

 つまり相手も、街中で派手にぶっ放す訳にはいかない。

 人気のない場所に誘い込んで本格的な戦闘を始めるか、それとも私を取り囲んだ後、周囲に被害がない様にしてキルするか。

 あとは……私同様、小型の武器を使って至近距離から仕留めて来るか、と言ったところだろう。

 相当射撃に自信がある人じゃないと、周りに人が居る状態での発砲というのは難しいという訳だ。

 なので、とにかく走った。

 思いっ切りハンドガン掴んだままだけど、それでも止まる訳にはいかない。


「居た居た居た! “シックス”だ! 大当たり!」


 後ろから誰かが叫んで、いきなり乱射し始めたではないか。

 ちょっとぉぉぉ!? この状況で普通に撃つの!? 賞金首を倒せれば何でも有り!?

 なんて、悲鳴を上げたくなってしまったが。

 すぐさま周囲からパトカーのサイレンの音が聞え始め……気のせいか、普段のポリス発生イベントより物凄く多い気がする。

 これに対して、周りのプレイヤーから「馬鹿っ! ルール読んでねぇのかよ!」みたいな声が上がっていたので……どうやらコレも、運営からのサポートと見て良い様だ。

 さっきの人、早速パトカーに囲まれているし。

 何はともあれ、ひたすらに人混みを押し退けながら走っていくと。


「見つけた!」


「……クソッ!」


 すぐ近くから、物凄く小さいマシンガン……私の経験上、ものっ凄く当てづらかったそれを正面から構えて来たではないか。

 これに対しすぐさま横に飛んで、路上駐車されていた車の影へと飛び込んでみたが。

 不味い、ちょっと逃げる方向間違えたかも。

 何も考えないというか、完全にゲームだと割り切ってしまえば……多分、NPCの人混みへ飛び込むのが正解だった。

 銃撃戦が始まって、周囲の人たちはパニック状態で逃げている途中だし。

 プレイヤー達だって、条件のせいでむやみやたらに一般人へ銃を向ける事が出来ないのだから。

 なのに私は、車の影に飛び込んだ事で孤立してしまったではないか。

 当然、車越しとはいえ周りに人が居ないのなら。


「っしゃぁぁぁ! 早速ゲットかぁ!?」


 相手が、滅茶苦茶撃ってきます。

 いや怖い怖い怖い! 街中でそんなに乱射しないで!

 今隠れている様な車なんかも普通に動かせるし、耐久値とかも設定されているとは聞いているけど。

 まさか撃たれ過ぎて、急に爆発とかしないよね!?

 なんて、映画みたいな光景を想像していたのだが。


『夢月、こっちが合図を出すと同時に飛び出せ。ソイツだけ片付けたら、すぐに裏道へ。一般人は少ないけど、プレイヤーに四方八方から狙われるよりマシだ』


「りょ、了解!」


 声は返さなくて良いって言われていたけど、思わず返事してから銃を握り締める。

 合図、合図早く! ここから見ていても、他のプレイヤー達が集まって来ているのが見えるから!

 などと、内心は焦りまくっていたのだが。


『今だ! 行け!』


「っ!」


 兄の声と同時に車の裏から飛び出し、見事にリロード中だった相手に向かって二発。

 時間が無いので接近を続けながら、倒れ込んだ相手の頭に通り掛けに一発。

 よしっ! なんとかなった! あと、今のところ弾を無駄にしてない!

 という事で、周囲から集まって来るプレイヤーに慌てながらも、急いで裏路地へと飛び込むのであった。

 いやぁぁぁ! これはちょっと忙しいって! 相手が多すぎるって!

 というか今は、街中に居る人全部が敵みたいなものだし。

 どうしたって仕方ないのだろうが、これを二時間ってキツ過ぎるって!


『夢月! 突き当りの角から一人!』


「っ! クソッ!」


 心の中では悲鳴を上げ続けていたのだが、裏路地の曲がり角から出て来たプレイヤーに対して左腕を押し付け。

 そのまま壁に押しやってから、ゼロ距離で頭へ一発。

 焦る焦る! 急に色んな所から出て来られると本当にパニックになりそう!

 お兄ちゃんのサポートだって、人力である以上全て事前に知らせてくれる訳では無いし。

 どうにか叫び声は心の中だけに抑えているが、これがいつまで続けられるか。

 もしも泣き叫びながらピーピー言ってしまったら、それこそ“賞金首”のイメージダウンどころの話ではない。

 だからこそ、頑張らないとなんだけど……。


『次の角からも何人か来る! 近くの窓から建物内へ入れ!』


 指示を聞いた瞬間に窓ガラスへダイブ。

 一応腕を前に構えてガードしながら飛び込んだけど、痛ったぁ!?

 いや痛覚は共有されてないけど、顔面からダメージ判定出てるし!

 微妙にしかHPバーも減っていないから問題ないんだけど、顔怪我した!

 そしてどこの誰の家かも分からない、賃貸っぽいお部屋に不法侵入。

 ごめんなさい、すぐ出て行きますので。

 とか何とか思いつつ室内を走り抜け、玄関の扉を蹴り開けた。

 本当にすみません、凄く風通しが良くなってしまいました。

 家主に謝る時間はなさそうなので、そのままアパートの廊下に飛び出して走り抜けると。


『後ろから来る! 直線移動は避けろ! 他の部屋に避難して、そのまま外に出るぞ!』


 本当にコレ忙しなぁぁぁ!

 まだイベントが始まってから殆ど時間経ってないんですけどぉ!?


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