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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
4章

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第104話 苦手な相手


「おいおいおい、今回のシックス……マジでヤベェぞ。新武器がどうとかじゃなくて、ガチで“スイッチが入った”って感じ。セブンとはまた違った感じで、一人だけ別ゲーじゃないのかって動きしてるよ」


「ハンッ! 所詮は運営の犬さ! どんなズルい事をしても我々には知る由もないからな! とかいつもなら言ってる所だけど、ついに二丁拳銃に目覚めたか6番目の殺し屋よ! 俺は嬉しい、嬉しいぞぉぉぉ! もうソレだけで何してても許しちゃう!」


「「出っ歯、煩い」」


 プレイヤー側、イベント待機所とも言える場所。

 次に導入されるチームとして選ばれた俺達は、そんな所へ強制転送されて来ていた。


「クロ、何か最近すげぇ頑張ってるみたいだけど……少しは肩の力抜けよ? お前は十分すげぇスナイパーだよ、ガンサバでもアレだけ当たるんだからマジで大したもんだ。だから気負い過ぎんな」


「うん……ありがと、グレー。それから、ついでに出っ歯も。抽選の優先候補、シックスに応募してくれてありがと。お礼はちゃんとするからさ」


「なぁに、気にするな! 俺としても、再びシックスと戦うその日を楽しみにしていたからな! どちらが真のガンスリンガーか、今回で証明してやろう!」


 ちょっと煩いのも居るけど、二人に向かって頭を下げた。

 今回のイベントは、前のチームがやられたら次々と他チームを導入するというリロード形式。

 だからこそ、賞金首側の活躍によって参加人数が大きく変わるイベントとも言える訳だ。

 なので予め抽選を行い、ある程度先に導入されるチームは決まっていた。

 この抽選に対して、プレイヤーには“どの賞金首と戦いたいか”というアンケートと共に、優先権の様なアイテムが配られた訳だが……二人は、俺の要望を聞いてくれて6keyを指名してくれた。

 だからこそ、再びこのチャンスが訪れたと言っても良い。

 でも選ばれた面々の数は多く、下手すれば参加しないままイベントが終わってしまうのでは? なんて不安になる程、予約組でも後の方に配置されてしまったのだが。


「予想以上に……順番が回って来るのが早い」


「だぁな。今回のシックスはマジでバケモンだぞ? 生放送を見てる限り、セカンドは新武器で完全に回復役に回ってる。なら攻撃役はシックス一人だぜ? そうだってのに、この成果。やべぇよアイツ……」


 グレーの言う通りだ。

 こんなにも早く俺達の順番が回って来たという事は、それだけ多くのプレイヤーがやられた事を意味する。

 相手のメイン武装はハンドガン、今回はアサルトライフルもショットガンも使ってない。

 だというのに、これだけの戦果が残せるのだ。

 白川さんのお兄さん、どれだけ強いんだよ……なんて弱気になりそうになるが。


「ハッ! 貴様等はゲームに毒され過ぎだ。ハンドガンは弱い武器だと誰が決めた? むしろ接近戦ではハンドガンの方が有利な事もある! だからこそ、この迫っ苦しい上に入り組んだステージなのだろう……運営め、姑息な真似を! だがしかし、こちらにもハンドガンマスターが居る事を忘れるな!」


 無駄に大きな声を上げながらド派手な二丁拳銃を構えつつ、出っ歯がバサリとコートの裾をなびかせて見せる。

 確かに、彼の言う通りだ。

 環境が全て、シックスの味方をする様なステージ。

 そしてなにより、対策せずに“いつも通り”の装備で挑んだプレイヤー程、呆気なくやられている印象だ。


「無駄に広い所に大声上げながら飛び込むハンドガンマスターはどうでも良いとして、確かにその通りだ。実際ステージがシックスに有利なのは事実、でも本来の仕様は変わってない。つまりヘッドショットを決めるか、防弾を貫く様な一発が入れば俺等の勝ち」


「だね……俺の対物ライフルか、グレーのセミオートショットガンに賭ける。ここじゃ機関銃を振り回しても不利だしね」


「おぉい! そこは俺の華麗なヘッドショットにも賭けろよ!?」


「「いや無理だろ」」


 思わず突っ込んでしまったが、出っ歯は以前盤面を狂わせた張本人。

 何をしでかすか分からないからこそ、こんな事を言いながらも期待してしまうのは確かだ。

 だからこそ、ニッと笑ってから拳を差し出してみれば。

 グレーはちょっとだけ恥ずかしそうに、そして出っ歯は自信満々に胸を張りながら拳を合わせて来る。


「勝とう、もう一回。今度は他の人にだって胸を張れる形で、誰からも文句が出ない程完璧に。俺達は、一回賞金首達を倒しているチームなんだから」


「はっはっはー、今度は誹謗中傷で溢れる事態は避けたい所だなぁ~」


「任せろ! 俺がまた華麗に片付けてやるさ!」


 などと会話している内に、視界の端にはフィールド入場へのカウントダウンが始まった。

 俺等の前のチーム、もうやられたのか。

 本当に早いな……と言う事は、今回のシックスは間違いなく“本気”だ。

 であれば、コレに対して。

 俺の実力がどこまで通用するか試す……ではなく、ちゃんと認めさせてやるんだ。

 彼女のお兄さんに、彼が使う6keyというキャラクターのキルログに。

 “96sour”って名前をしっかり刻んでやる。

 そう決心してから、今一度自らの武器をギュッと握り締めた。

 さぁ、やろうか。

 たった三人だけのチームで、この短時間の内に何十人と消し去って来た凄腕を狩り取るんだ。

 覚悟して下さいね……お兄さん。


 ◆


『新しいチーム導入、かなり近い位置だ!』


「チッ、タイミングの悪い!」


 現在戦闘中の為、ろくに状況を聞き出す事も出来ず。

 相手の武器を奪ってから、元の持ち主に向けて撃ってみると……何か凄い、防弾装備を平気で貫通した。

 多分アレだよね? これもショットガンだよね?

 映画とかに出て来る、支える方のグリップをガシャコッて前後に動かすアレ。

 てっきりいつも通りの散弾が飛び出すかと思ったのだが、ズバンと相手の身体に穴が空いたんですけど。

 いや、ナニコレコワイ。

 ショットシェルに入っている弾の大きさで色々変わるって話は、前から聞いていたけど。

 こんなのもあるの? いや、コワ。

 とか思いつつ、ソレを残りのメンバーに向かって乱射。

 だけども、すぐに弾切れを起こした為他の面々に向かって放り投げてから、いつも通りハンドガンで対処。

 お兄ちゃんからは“ロマン武器”なんて言って渡された50口径だったけど、これもすごく便利だ。

 普通のハンドガンとかでは防がれてしまう防弾の相手に対して、ちゃんとダメージが通る。

 総弾数は少ないし、どこまでも強い武器でどんな時も便利! って訳では無いんだけど。

 ちゃんとダメージと衝撃は届くし、何より怯む。

 その隙に普段の9mmの方に持ち替えて、防御の薄い所に銃口を押し付けて撃ち抜けば何とかなるという。

 凄いじゃん、とにかくでっかいハンドガン。

 どうして皆使わないんだろう?

 とか何とか疑問を持ちつつも、接敵したチームを全滅させた後。


「見事、見事なり“シックス”! だが……貴様の活躍はここで終わる! 墓場から舞い戻った死神よ、覚えているか? 一度は貴様を殺した男の名を。“death(デス) bullet(バレット)”の名は伊達ではない! 再び棺桶に叩き込んでやろう……この二丁拳銃でな!」


「っ!?」


 あまりにも早い次の相手との接敵に、即座に身を隠したが。

 チラッと覗いた先に居るのは……よく分かんないけど、二階建ての建物の上に立った、出っ歯さん。

 月光を背に受ける状態で、御自慢のゴツゴツカスタムの二丁拳銃をクロスしながら構えている。

 ま、また来たぁぁぁ!?

 ごめんなさい正直に言うとちょっと苦手意識有ります!

 そのテンションはサブキャラで多少慣れましたけど、6keyの方で遭遇すると無駄に緊張しているのが自分でも分かります!

 アナタ本当に何をするか分からないので!

 などと思っている内に、相手は「とうっ!」と声を上げながら飛び降り、ちょっと着地に失敗している。

 油断するな……相手は555の車に轢かれても、その後自爆の為に全力疾走して来たくらいだ。

 つまり耐久値には相当ステータスを振っている筈、もしくはあのコートが物凄く優秀な装備なのか。

 相手の頭でも打ち抜かない限りはキルを取ったと思わない方が良い、過信していると裏を掛かれる恐れがある。


『夢月、変なヤツだが油断するな? 前回のチーム戦でお前達に致命傷を与えたメンバーの一人だ』


「分かってる……あの人は、強いプレイヤーだよ」


『あ、いや、えっと……そうじゃなくて、いやまぁ彼も盤面狂わせのジョーカーではあったけどな? アイツが来たって事は、4cardを正面から押し切った重装備と、555の装甲車を貫いた対物ライフルの狙撃手が居る可能性が高い。強敵だぞ』


 そうでした。

 出っ歯さんが出て来たって事は、グレーさんとクロさんが居る事を常に頭に入れておかないと。

 今の状況でも、私は狙撃手に対して無力と言っても良い。

 幸い入り組んだステージだから、相手は相当狙い辛いだろうけど……下手したら、壁なんか貫いて撃って来る可能性すらあるのだ。

 更に言えば、グレーさんと正面から当たるのも不味い。

 いくら50口径の銃を持っていても、またガトリングガンでも乱射されたら私には近付く事すら出来ないだろう。

 そうなれば逃げるしかないのだが、こうなると予定したルートを大きく外れる事になる上、こちらの連携はガタガタになるのが目に見えている。

 もっと言うなら、クロさんの位置が掴めていない状況であちこち動き回るのは危険でしかない。


「逃げ切れば良い……って言う事が出来ない趣旨のイベントな以上、最悪の相手かも……」


『だな……こっちで残りのメンバーの確認を急ぐ。但し囮役が居るって事は、既に他の仲間達の視界に入っていると思え。まずは死角に誘い込む事を優先しろ』


「了解、出っ歯さんはこっちで何とかする」


『デッ……うん? あぁ、“デッバ”か。デス・バレットだもんな? とにかく暫く時間を稼いでくれ。その後の予定やらルートはこっちで再調整するから、心配すんな』


 お兄ちゃんから頼もしいお言葉を貰いつつ、此方はハンドガンを強く握り締めるのであった。

 彼と戦うのに、50口径はいらない。

 だからこそ、9mmの方で良い。

 けど他からの援護が絶対あるからこそ、気を抜いた瞬間終わると思え。

 前回ソレで、私は“死んだ”のだから。


「いつまで隠れている、シックス。他所のチームも今、貴様が狩り終わったばかりだろう? であれば……今この場には、俺と貴様の二人きりだ!」


 絶対嘘じゃん、間違いなくグレーさんは近くに居るじゃん。

 そんな事を思いつつ、少しだけ身を乗り出してハンドガンを連射してみると。


「掛かったな馬鹿め! 俺は囮だ! この距離でヘッドショットを狙うのは貴様でも難しかろう!? いでよ……“灰色の空”!」


「おっ前、マジで一回黙ろうか! 登録ネームそのまま呼ぶんじゃねぇ! これも生放送に乗ってるんだからな!?」


 こちらの弾丸は彼の防弾コートに弾かれ、それどころか通路の奥からグレーさんが姿を現したではないか。

 ほらぁぁぁ! やっぱり二人きりじゃないじゃないですかぁぁぁ!

 などと思っている内に、グレーさんがやけにデカい銃を乱射。

 悲鳴を上げそうになるのを我慢しつつ、再び物陰に隠れてみると。


「……散弾?」


 周囲に出ている被害を見る限り、どうにも今回はガトリングガンではないらしい。


『夢月、相手はセミオートショットガンだ! マガジンタイプだから連射もリロードも早いぞ! だが射撃能力はそこまで高くないと見た、怖がり過ぎるな! いつも通りいくぞ!』


「う、うんっ!」


 お兄ちゃんの声に答えつつ、此方は物陰から飛び出して……他の裏路地へと駆け込むのであった。

 いやうん、以前みたいなおかしな武器じゃなくて良かったけど。

 ショットガン相手に正面から攻めるとか、無理。

 と言う事で、本当に“いつも通り”やらせて頂きます。

 ごめんなさいsecond、多分この後滅茶苦茶スケジュールが変わって来ると思います!


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