↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
105/112

第105話 裏方と2番目


「クソッ! 本当にやり辛いパーティだな……」


 苦い声を洩らしながらも、ひたすら監視カメラの映像をハックする作業を続けて行くが……駄目だ、問題のスナイパーが見つからない。

 たった三人だけのチームだというのに、以前はこの三人に盤面を狂わされた。

 更に言うのなら、あのスナイパー。

 報告を聞く限りoctopus8と共に戦闘した時に狙撃して来たのも、例の如くそのプレイヤーだったと言う話だ。

 つまり、本当に油断できないのは狙撃手。

 観察力、狙撃能力、そして隠れる力も馬鹿に出来ないレベルだという事だ。


「普通のプレイヤーの中にも、こういうのが混じってんだよなぁ……このゲーム」


 忙しくガタガタとキーボードを叩きながら、様々な個所の映像をモニターに表示させていく。

 正面の重装備と、あのふざけたテンションのハンドガン使いは妹に任せる他無く。

 こちらは必死でもう一人を探している状態。

 まるで9Kを連想させる程に、隠れるのが上手い。

 前回エイトが彼を発見出来たのだって、そしてその前のチーム戦だって。

 相手を見つけられたのは、向こうが一度“撃って来た”後なのだ。

 その一発で決められてしまったら、それこそ不味い。

 だからこそ先手を、もしくは敵の位置を割り出して、夢月を狙わせない位置に誘導しなければいけないというのに。


「だぁクソ! 駄目だ、下手すりゃ高所に隠れてるな……衛星の映像もリンクさせて、それから――」


『白川さん、珍しく焦ってますね』


「うるっさい、集中してんの! 滅茶苦茶厄介なチームが出て来たんだよ!」


 通話を繋いだままになっているsecondのサポーターから、ハハッと乾いた声を上げられてしまったが。


『ウチの賞金首からの情報提供です。狙撃手ではないので、正確な場所までは分からないそうですが。しかし、“人が心理的に潜みそうな場所”の予測地点を共有します。それから、こっちでアクションを起こすんで。このタイミングで特定する事は可能ですか? 多分暗闇に紛れて、ろくに見えない所に隠れているでしょうから。ちょっと

明るくします』


「……具体的には?」


『被弾覚悟で、“隙を作る”そうですよ。一瞬だけ相手の注意を引きますんで、白川さんは狙撃手の特定。妹さんの方には前衛二人の対処をお願いします』


「言ってくれるねぇ……流石は向こうも賞金首の一人だ。環境に一番慣れていないプレイヤーだってのに、格好良いじゃないの」


『えぇ。ウチの賞金首、実はかなり格好良いので』


 そんな訳で、送られて来たポイントに周囲の監視カメラを向けて行く。

 6key周辺の映像だったら、結構自由度高く見渡せるのだが……視界外への監視となると、やはり街中のカメラなどをフル活用するしかなく。

 本日は家で仕事させてもらっている為、数多くのモニターへそれらの映像を表示させてから。


「夢月、secondが隙を作ってくれるそうだ。そのタイミングで、前衛二人を片付けろ」


『相変わらず……無茶言ってくれて』


「だが、やるしかない。お前なら出来る筈だ。そんでもって、その間に残りの狙撃手は俺が絶対に見つける」


 そう宣言してから全てのカメラの映像に神経を尖らせる。

 普通だったらこんな仕事を任せられた場合、ふざけんなって言いたくなるところだが。

 俺がミスれば、その結果は全て妹に降りかかるのだ。

 頑張った云々の自認では意味が無い、確かな結果を残してやらないと……また、妹が泣くかもしれない。

 だったら、やれ。

 出来る出来ないの話ではなく、やれ。

 俺は兄貴で、可愛い妹が俺を頼ってくれるのなら。

 120%でも200%でも底力を引っ張り出せ。


『白川さん、カウントします。6keyさんの通信にも繋ぎますよ?』


「頼みます、どうぞ」


 相手方のサポーターの声に合わせて、刻まれていく数字を聞きながら。

 全力で、全ての映像に集中した。

 ほんの僅かな違和感でも、絶対に見逃さない様に。

 忙し過ぎて、作戦の詳細さえも聞き出す暇すらないが。

 でも今この瞬間にも夢月が戦っていると言うのなら、何が起きても対処してやるのが兄貴ってもんだろう。

 そしてカウントが終わると同時に……カッ! と。

 フィールドの夜空に強い光が迸るのであった。


「っ! 見つけた! 狙撃手発見!」


『流石白川さん、アレで見つけられるって相当ですね』


「ポイントを送るから、secondにも情報共有! 夢月、そっちはどうだ!? 逃走ルートを指示する! スナイパーの死角へ逃げるぞ!」


『もうちょっと、待って! すぐ終わらせる!』


 この瞬間、一気に事態が動き始めるのであった。


 ◆


『second、白川さんがスナイパーを発見しました。お見事、ナイス投擲。場所を共有しますが……どうします? シックスは射線から外れる方向で進めるみたいです』


「ハッハッハ、お役に立てた様で何よりです。それでは……予定から随分とズレ始めましたからね。どうにかして、私の方で狙撃手を対処しましょうか」


 軽い声を返しながら、グリングリンと肩を回した。

 こちらがやった事は非常に単純。

 私が予想した狙撃ポイントが照らされるであろう位置に向かって、思い切りスタングレネードを投擲したのだ。

 空中で炸裂するタイミングを見計らい、連続で投下。

 結果夜空が照らされ、監視役が残る一人の敵を発見出来た御様子だ。


『了解です。狙撃手の位置まで少し距離がありますから、攻撃を受け辛いルートをすぐに割り出します。にしても……飛びましたねぇ、スタングレネード。筋力、そんなに振ってましたっけ? というか数字だけじゃ意味無いんで、先生意外と運動得意ですか?』


「実は昔、ずっと野球部でしてね? 大人になってからも、度々妻とキャッチボールをしているのですよ。向こうはストレス発散の為にやっているので、この歳でも剛速球を求められまして。スパーンっとグローブに入って来るのが気持ち良いそうです」


『ぶはははっ! 相変らず、奥様の方はアクティブですね。夫婦仲が良好な様で何よりです。それから、ナイスピッチング』


「私でもお役に立てたのなら、これくらいいくらでも」


 随分と緩い会話をしながらも、回復銃を背中に回し。

 普段使っていたサブマシンガンを準備し始める。

 こっちに関しては、本当に下手ですからねぇ。

 妻にも相談して、なるべく当たる様に色々とパーツをつけてもらったが。

 それでもやはり、他の賞金首達の様には戦えないというのが正直な所。

 しかしながら、私は人間の精神というモノをひたすらに勉強してきたのだ。

 これらの知識を使い、“この状況だったら相手はどう考えるのか”を瞬時に想像する訓練を繰り返して来た。

 その結果とも言って良い実績が……敵プレイヤーの“誘導”。

 緊張の連続である戦場において、誰もが精神的には冷静ではいられない。

 所詮ゲームだからと、リラックスしているつもりでも……やはり相手を前にすれば、特にこういう見通しの悪い場所で索敵しながらとなれば。

 誰も彼もが、簡単なミスを連発するもの。

 これを誘発する形で囮を設置したり、視線の誘導で注目点を此方から逸らしたり。

 こういった手法を使いながら、何とか生き残って来たのが……secondという名の賞金首だ。

 戦果としては、他と比べれば大した事は無い。

 私自身が“戦う事”に特化していないからこそ、当たり前だ。

 でも賞金首である以上、無様に負け続ける訳にはいかないからこそ。

 私は私の武器《知恵》を使って、この世界を生き残ると決めたのだ。


「さて……それでは。もう少しくらい格好良い所を見せて、シックスの信頼を勝ち取っておきませんと。今後の診断に響いてしまいそうです」


『精神科医の仕事は、まず相手の信頼を勝ち取る事。ですもんね。相変わらず、“先生”でいらっしゃる。ちょっと戦場に立ったりしますけど』


「私など端くれですよ。実際“戦士”の心境というのは、今まさに勉強中と言ったところです」


『こちらも先生のお役に立てる環境が作れたようで、鼻が高いですね。是非このゲームを、先生の練習台にして下さい』


 などと会話しつつも、マップに表示されたルートを進んでいくのであった。

 一応身を隠しながら進行はしているのだが……今のところ、狙撃の心配は全く無さそうだ。

 それどころか、新しく投入されたチームすら避ける道筋を選んでくれている様で。

 流石は私のサポーター、私が弱いのを良く知っておられる。

 こういった判断能力は、こちらこそお見事ですと言ってしまいそうだ。


「全体的にシックスに任せきりですから、あまり格好は付きませんねぇ」


『それじゃ狙撃手をこっちでどうにかして、白星上げるしか無いですね。期待してますよ、セ~ンセ』


「ハッハッハ、それでは……おじさんも、少しばかり頑張るとしますか」


 そんな言葉と共に、手に持っているサブマシンガンを準備するのであった。

 さぁて、此方でも見えましたよ? やけにシックスを狙って来るスナイパーさん。

 そこまで大きな銃では、隠れるのも大変そうですねぇ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
secondがサポート特化の行動をしていたとはいえ、このままだとoctopus8の時の教訓を生かしていないことになってしまうので対処して欲しいところですね。 スタングレネードで照らされたことをどう捉え…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。