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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
4章

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103/112

第103話 6番目


「回復銃の効果……すご」


『夢月、集中。予定していたタイムより、ほんの少し遅れが出てるぞ。到着が遅れれば、その分secondを危険に晒す事になる』


「りょ、了解!」


 先程少々派手に銃弾を浴びてしまった為、HPが結構不安な所まで到達してしまったのだが。

 彼からの援護である“回復弾”を受けてから、グングン回復しているのが分かる。

 なんか薬の種類とかも色々変えないと、中毒効果で逆にダメージになるとか言われていたのに。

 今のところ全く心配ない状態で回復が入るという。

 コレは凄い、ガンサバにおいての回復手段の革命だ。

 と言うのと、予定していた狙撃ポイントは結構遠かった筈なのに。

 ピンポイントで当てられるって、ヤバイ。

 もしかして9Kに匹敵する狙撃手だったりするのだろうか?

 度々お兄ちゃんからの指示で、身体をもう少し後ろに傾けて、とか。

 その場から二歩下がれ、とか。

 結構細かい事も言われるけど。

 それでもこの距離で当てられるって、何。

 私には絶対無理だ。

 などと感動している内にも走り続け、チラッと背後へ視線を向けてみると。


「敵は!?」


『別ルートから追い始めてる、逃亡経路のパターンがバレたな。別チームは今ログインしたところだから、まだ接敵は無い。次のポイントで一旦交戦して、少なくとも3人は減らせ。その後は次のルートへ変更だ』


「分かった!」


 とか何とか会話している内にも、予定していた“回復ポイント”が見えて来た。

 今のところ回復したばかりだし、もう一回援護してもらう必要は無さそうだが……などと思った所で。


『夢月、準備。およそ5秒後』


「っ!」


『コンタクト、シックスが戦闘に入る。セカンドは引き続き回復準備』


 向こう方とも無線が繋がっているらしく、お兄ちゃんからは珍しく「敵が来たのは分かるよ!」と言いたくなる言葉が聞こえて来るけど。

 返事も返さず一気に相手に飛び込み、ハンドガンを連射。

 向こうも裏路地に飛び出した瞬間に襲われるとは思っていなかったのか、チーム全体に混乱が訪れているのが分かる。

 そんな相手に対し、至近距離からの発砲。

 外す事など恐れず、相手の太ももに二発。

 すぐに銃口を上げて顎に叩きつけてから、もう一発。

 その人を後続に押し付けながらもう一人に襲い掛かって、今度は敵の首に腕を回した状態で残るメンバーへと向かって引き金を引く。

 本当にいつも通りの超接近戦。

 私にはこれしか出来ないから、だから普段通りに。

 それは分かっているのだが……凄い、この銃。

 スライドにも元々ポートが空いているし、銃口に付いたコンペンセイターのお陰でマズルジャンプを殆ど気にしなくて良い。

 弾を発射している以上、反動が無いなんて事は無いけど。

 それでも“連射”するには、好条件ばかりを揃えてくれているというもの。

 更にはスライドの上に乗っているフロントとリアのサイト。

 こちらは蛍光色とも言える小さな緑のチューブが付いており、何でも集光する材質なんだとか。

 なので、暗闇でも普段以上に良く見える。

 本当に私を戦いやすくしてくれる要素が詰め込まれており、これまでのハンドガンとは別物という他無い。


「せぃっ!」


 首に腕を絡めていた相手が、手に持ったライフルでの反撃を諦め。

 ナイフを抜き放ったのが見えたので、思い切って身体を捻りながら背負い投げの真似事。

 敵を地面に叩きつけながらも、此方も勢いのままその背中に乗っかる様な形になりつつ、再び他の面々に向かって連射。


『右に転がれ! 相手の銃口が全体的にお前の左側寄りに構えられてる!』


「ふっ!」


 兄の指示に従って右に転がってみせると。

 次の瞬間には私が地面に叩きつけた人もろとも、銃弾の雨が襲って来た。

 あ、あっぶなぁ!?

 左側の方がスペースあったから、癖でそっちに避けていたら今頃蜂の巣にされていた事だろう。

 なんでも今回は、私達の新武装を目立たせる為。

 運営側も一つ“ズル”を解禁させたんだとか。

 相手の銃口から着弾までの予測地点。

 そのラインが、サポーターからは表示されて見えているんだそうです。

 流石にそれはやり過ぎというか、良いの? とか思ってしまったけど。

 結局のところ私達には見えないし、避けるのも私達の仕事なので。

 そこは連携が上手くないと意味無いでしょ? みたいに早乙女さんも言っていた。

 けど……いや、うん、便利!

 お兄ちゃんの指示があると、むしろ便利になり過ぎて申し訳なくなってしまうんだけど。

 なんて、今回のイベントが発生してから既に被弾している私が言っても説得力無いか。

 とはいえ、そちらもそちらで色々と条件があるらしく。

 一発目は絶対に分からないとか、サポーター側でプレイヤーを確認しないと表示されないみたいな条件はあるらしいけど。


『目的の数は減らした! 逃走して良いぞ!?』


「今の状況じゃ……無理!」


 兄から撤退指示が出たが、今背を向けたら絶対にキルを取られる。

 だからこそ再び相手の近くに飛び込んでから、直接敵の銃を掴んで逸らした。


「ちょ、ちょいちょい! おいマジかよ!?」


 叫ぶプレイヤーの武器を奪い取りつつ身体を捻り、これと同時に足払い。

 その場で転倒したその人の喉に踵を叩き込みながら、奪い取ったサブマシンガンで正面に連射していく。

 これには流石に驚いたのか、他のプレイヤー達は皆物陰に隠れようと必死で逃げて行くが。

 弾切れを起こしたマシンガンを投げ捨ててから、彼等が逃げた先に向かって手榴弾を投下。

 その爆発音が響くと同時に、踵で抑えていた相手の額に向かってハンドガンで数発。


『……お見事、向こうさんは全滅だ。次のチームが導入されるぞ』


「次の回復ポイント、飛ばして。その次へ向かうってセカンドにも伝えておいて。そっちでタイムロスを取り戻す」


『了解、ダメージ貰ってないもんな。流石』


 そんな訳で、一旦戦闘は終了。

 走りながらマガジンを交換し、賞金首専用の弾薬補充ポイントに置いてあるバッグを回収。

 中からマガジンが大量に刺さっているベルトを取り出して、今の物と取り換えてから再びダッシュ。

 イベントの時間内、ずっとコレを繰り返さないといけないのだ。

 正直気が遠くなって来るが……ステージを私達のタッグに合わせてくれる以上、文句など言える筈も無い。

 大丈夫だ、いつもより余裕がある。

 普段よりお兄ちゃんの指示が的確というか、それは良いのかってレベルでズルい指示までくれるし。

 どれもこれも“疑問を持つ前に行動”しないと間に合わない反応速度を求められるけど、それでもこれが強い。

 更にはsecondの回復弾。

 多少私がミスをしてダメージを受けても、これさえあればゲームならではの“無かった事”に出来るのだ。

 だからこそ私は、最後まで全力で戦える。

 クリティカルを貰っちゃえば、いつも通り即死なのは変わらないけど。


『夢月、新手だ。プレイヤー側も装備を変えて来たぞ』


 鋭い声がインカムから聞えて来て、思わず舌打ちを零した。

 私達は賞金首、目立って当然のお仕事。

 なので今回のイベントも、例の如く生放送とかされているのだが。

 今回各タッグに挑戦できるのは、一度に2チームまで。

 下手したら小隊規模とか来るらしいけど、とにかくそういうルール。

 つまり戦闘に参加するのを待っている人達には、当然“準備の時間”が発生する訳だ。

 更にはこっちの映像が公開されているからこそ……当たり前の様に、戦況に合わせて装備を変更して来る。


『今回はM4を使ってないって事で、装甲ごり押しで来たな……? 重装備複数名が前面、後方から今まで通りの編成って感じだ。夢月、“もう一方”の新武器を用意しておけ。今から裏をかいてステルスキルは無理だ、正面から当たる事になる』


「……了解」


 ふぅ、と息を吐き出してからハンドガンをホルスターに仕舞い。

 物陰に隠れてから……もう一つの“ハンドガン”を取り出した。

 暫くその場に身を潜めていると、正面から現れたのは兄の言っていた通り重装備の方々。

 全身を鎧みたいな防弾装備で固め、オマケに盾まで持っている。

 あれはちょっと、正面から急に出て来られたら私には対処出来ないかなぁ……。

 そんな事を思いながら、警戒しつつ進んで来る彼等が十分に接近するのを待ち。


『一角だけ崩して“内部”に入りこめ、その後は“お前のハンドガン”で暴れてから、最後に残りの重装備。そっちに関しては、“オマケ”を使えよ? 強装弾でも歯が立たない程の装備だが、“50口径”なら何とかなる』


 兄の言葉に、息を殺しながら頷いてみると。

 こちらを監視しているらしい相手からは、それ以上言葉は続かず静かな空間だけが広がっていく。

 聞えて来るのは、相手の足音と装備の擦れる音。

 大丈夫、分かる。

 向こうとの距離も、それこそ歩き方まで。

 こういうのは、全部4cardに教えてもらったから。

 そして今回“オマケ”として渡された、メイン以外のハンドガン。

 これをハンドガンと言って良いのかと疑ってしまう程に……デカイ。

 リアルの私だったら、グリップを掴む事すら苦労しそうな程大きなソレは、所謂“ロマン武器”だそうで。

 50AEという馬鹿デカイ弾を使い、なんとマガジンにも7発しか入らない。

 そして反動まで物凄くて、練習で撃った時は……思わず「無理」と口にした程だ。

 しかし今回の事態が予想されていたからこそ、兄が用意した代物。

 実際にこんな銃を実戦へ持ち込む人は、現代にはほぼ居ないってハッキリ言葉にされてしまった程だけど。

 それでもゲーム、そしてある意味人気の武器だからこそ、使う意味はあるんだとか。

 更に言うのなら、こんなに大きくても“ハンドガン”なのだ。

 だったら6keyが使わなくてどうする、だそうです。

 本当に、無茶言ってくれるよ。

 こんなの持つくらいなら、サブマシンガンの一つでも装備した方が効率も良いって自分で言っていたくせに。

 なんて、恨み言の一つでも言いたくなってくるが。


『…………今だ! 行け!』


「ふっ!」


 短く息を吐きつつ物陰から飛び出し、正面重装備の人の盾を押しやってから……馬鹿デカイ銃口を、相手の額に突きつけた。

 そのまま引き金を引き絞ってみれば、バゴンッ! と、えらく大きな音が響き渡り。


「……勝つのは私だ」


 仰け反る様に倒れ込む重装備の人を盾にしつつ、相手チームの内部へと飛び込んだ。

 でっかい銃で近くの相手をぶん殴りつつ、逆の手では普通のハンドガンを抜いてとにかく近接戦。

 距離を空けるな。

 近ければ近い程、私に有利になる。

 だからこそ必死で懐に入り込み、引き金を絞る。

 これだけ近ければ、意外と二丁拳銃でも当たるモノなんですね?

 そんな事を思いつつも、次のチームが来る前にコッチを減らそうと奮闘するのであった。


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― 新着の感想 ―
二丁拳銃。 武器だけでなく、闘い方にもロマンが込められたのですね。 もう全員スナイパーで徹底的に遠距離から狙うか、マシンガン系で弾をばら撒くか、爆発物で範囲攻撃するか倒せないのでは? なお、少し時間…
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