第7-2話 ネコミミ幼女とか、あざとすぎませんか
新しい”バグスキル:使い魔”を使い、子猫のハルを使い魔にすることに成功しました。
……本当に成功したんだよな?
[おほほぉおおお……よいぞ……よいにゃん下僕凛!]
「ふふふ……ハルにゃんアタシの指先テク(意味深)に勝てるかな~?」
当のハルは、凛の”背中お腹両面攻め”により悶絶中だ。
このフリーダムさが子猫の特徴とはいえ、ちゃんと使い魔として俺たちの指示に従ってくれるんだろうか。
「お~い、ハル……使い魔になったことを把握してる? なんか感覚共有とかできるらしいんだけど」
恐る恐るという感じで、ハルに話しかける俺……はたから見ると子猫に話しかけるアラサーリーマンとか絵面がヤバイな……近所のおばちゃんには絶対に見られないようにしよう……。
[うにゃ? おお下僕悠太! だいじょーぶ、分かっているのだ! 天の意思(秘密)にしたがってすべて把握してるにゃん! ”感覚共有”使ってみるといいにゃ]
下僕という呼び方は何とかしてほしいが……俺はスキルのチュートリアルに書いてある用法を確認し、”感覚共有”を試してみる。
その瞬間……
「うおおおお!? こ、これは……うあっ……なんという……」
思わず変な声をあげてしまう俺……
しまった! まだ凛がハルを絶賛攻め中だった……ああ、背中とお腹がムズムズと……き、きもちいい……いかん! このままでは!
俺は慌てて、感覚共有を視覚だけに切り替えた。
視界がハルのモノに変わり、不思議そうにこちらをのぞき込む凛が見える。
「……あれ? ユウにぃ、ここからアタシが見えるんだ……え、まさかさっきの指先テクも感じてたの!?」
[……下僕悠太はえっちなのである]
「いやまてハル! 確かに愉悦だったが……」
みるみる赤くなる凛とニヤニヤするハル。
あれ? この会話も、もしかして筒抜けなのか?
「ユウにぃの……エッチ!」
バキッ!
ふごっ!
かわいいセリフとともに放たれた凛の正拳突きが俺の鼻にクリーンヒットするのだった。
「いてて……と、取り合えず使い魔スキルが使えることが分かったから、[探検者になろう]に戻るか。 エレンを待たせているしな」
「もう! ユウにぃは視覚情報しか共有しちゃだめだからね! ハルにゃんも女の子なんだから……」
そういう凛はまだ顔が赤い……ふふ、やはりうぶなヤツだ。
だがあの感覚を忘れることは難しいな!
口に出すとまた殴られそうなので言わないが。
[……いってらにゃー!]
俺たちは、ハルに見送られながら[探検者になろう]にログインした。
*** ***
「おかえりなさい、ユウ、リンおねえちゃん。 どうだった?」
[探検者になろう]のホームゾーンでは、エレンが笑顔で迎えてくれる。
「ああエレン。 無事に子猫のハルを使い魔にできたよ……ただ、やっぱり子猫はフリーダムだな」
先ほどの自由奔放なハルのふるまいを思い出し、思わず苦笑する俺。
「ふむ……そのあたりは感覚がフィットしていくにつれ、改善していくはずです」
「ユウ……せっかくなので、どんな使い魔になったか調べさせてください」
エレンはそういうと、目を閉じ、手のひらを俺の顔の前にかざすと、なにかの魔法を発動させる。
ぽぅ……とわずかに彼女の手のひらが光る。
「……んん? ユウ、リンおねえちゃん……結構すごいリンク率……これなら」
「はい、分かりました。 使い魔のハルとは、相当なレベルで相性がいいみたい。 [探検者になろう]のプレーヤーとして、クランに招待することが出来るよ。 よぶ?」
!!
そうなのか……あんな感じでも”相性がいい”んだな……エレンの判定には驚いたが、マスコット扱いになるだろうとはいえ、パーティメンバーが増えるのは純粋にうれしい。
「そうだな……リン、やってもらおうか?」
「うん! そしたらアタシ、ハルにゃんをエレンちゃんの肩に乗せてツインモフモフをするんだ……」
「り、リンおねえちゃん……それはほどほどでお願いしたい……」
「んんっ、じゃあ招待するね……格好は……日本の資料を参照して……」
パアアァァ……
[探検者になろう]のホームゾーンに、新しいプレイヤーを招待した時に発生するエフェクトが光る。
……なんかガチャみたいだな。
その光が消えた後、ソコにいたのは……
「のおぉ~!? ここはどこにゃん!? あ、下僕ユウタと下僕リンなのだ」
ネコミミ少女に擬人化されたハルの姿だった……。
歳の頃は9~10歳くらいだろうか。
身長130センチくらいのちんまい身体。
ボリュームのあるショートヘアーは、濃い茶色と白のメッシュであり、ハルの体毛と同じ色をしている。
頭には大きなネコミミが生え、本来耳のある部分はもっさりとしたもみあげに覆われている。
華奢な体を包むのは、半袖へそ出しのTシャツと、デニムパンツ。
ほっそりとした手足の先は、肉球のついた手袋のようなもので覆われている。
八重歯が覗くその愛らしい丸顔と合わせ……大変に”あざとい”ビジュアルである。
「えぇ……こんな子連れてたら警察に通報される気がする……」
「う……かわいい……むしろアタシの娘にしたい……」
「しまった……参考にした資料のせい? パーティのマスコットの座危うし!」
三者三葉の反応を示す俺、リン、エレン。
ってエレンよ……どんな資料を参考にしたんだ……確認すると大きなお兄さん向けのとんでもないモノが出てきそうな気がしたので、いったん気にしないことにする。
「おお! ニンゲンになっているのである! オモシロいにゃ~♪」
呆然とする俺たちを尻目に、ハルは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「……ふぅ、こうなってしまったら仕方がない……せっかくだし、パーティメンバーとして活躍してもらおう」
「エレン、ハルはどんな技能を持ってるんだ?」
「……はっ!? えっと……ネコ譲りの高い身体能力を生かした、シーフジョブだね。 足音を立てずに背後から近づいて不意打ちする……みたいな戦い方ができるはず」
気持ちを切り替えた俺は、エレンにハルのステータスの確認を依頼する。
エレンはゲームのメニューを操作すると、ハルのステータスを確認してくれた。
「あと……彼女は猫なので……」
「見えてはいけないものが見えるにゃん!」
エレンの言葉を引き継ぎ、ハルがその薄い胸を張る。
猫は、人間には見えない霊的なものを感じるというが、まさかそれなのか……?
「……ゲーム的に言うと、隠し通路の探索や、ドロップアイテムの確率増加に貢献してくれるかと」
「なのだ!」
やれやれ、また騒がしいメンバーが増えてしまったな。
……ちなみに、当日の探索で、ハルは大活躍だった。
おかげでダンジョン攻略が普段より大幅に早く片付いたのだ。
……ただ、他のクランの人間から……あのクラン何?小さい子を働かせて……しかもあの格好……ヘンタイ?
などと陰口をたたかれていたのは、言うまでもない。
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次の章はバトル展開!です。
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