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第十二話 「西での最強同志」03

 部屋を出て一階に下りると、ロビーのソファーにシーザリオが座っていた。


「待たせたな」

「今来たとこさ」


 二人で外に出で通りを歩く。

 シュンは酒場にでも行くのかと思っていたが、シーザリオはいきなり高級そうなレストランに入った。


「おっ、おい……」

「大丈夫、お金は僕が払うから。気にしないでよ」


 店内に客はいなかった。こんな時だから当然だ。

 シーザリオはメニューを見て、適当に注文する。


「チームの仲間は何人ぐらいこっちに来ているんだ?」


 シュンは話題を振った。


「ん? ああ、僕は一人さ、ソロでやっているんだ。仲間はいないよ」

「ソロ? さっき後ろにいたヤツらは何なんだ?」

「あの人たちは、他のチームで単なる僕の周りにいる冒険者たちかなあ?」

「何だ、そりゃ?」


 シーザリオの説明はこうだった。

 彼は一人で森の奥を飛び回り、大物のベヒモスを探すが、他のチームが後をついて回り、中から小物のベヒモスを狩っているとの事だった。


「それをチームって言うんだろ」

「そうなの? ギルドにはチームなんて届けていないから」


 要は本当に単なる取り巻きの集団らしかった。

 たったひとりのチーム、それが東最強の姿だ。


 フルコースの料理が運ばれグラスにはワインが注がれる。


 シュンはふと、グロッセナに戻ったらレイキュアを誘ってこんな店に行ってみようかと思い、なんでこんな時にと苦笑する。


「何、笑ってるの?」

「いや、こっちの話だ。こんな時に呑気な事を考えてしまった」

「大丈夫、あの雑魚ベヒモスたちなら、少し時間をかければ退治できるよ」

「まあな」


 シュンたちは料理を片付け、ワインを飲みながら話をする。


「でも、どんな激戦地かと思って、期待したけどたいした敵がいなくてがっかりだよ……」

「数が多いのも脅威さ……」


 冒険者の中にはボイントが付かない下のベヒモスを軽んじる傾向があるが、普通の人間にとっては弱くても脅威には違いなかった。


「そうだけどさ」


 シーザリオは純粋に強敵と戦いたいとの欲求があるようだ。


「そうだ! シュンはSクラスのベヒモスと戦ったことはあるの?」

「ないよ、あればとっくに俺は死んでいるさ」


 Sクラスはサラマンドラ、フェニックス、ヴァルキューレなどで、ベヒモスと言っても特別な存在だ。


「なんだあ……」


 シーザリオは露骨に残念そうな顔をしてみせる。


「見た事はあるよ」

「えっ、ホント、何? 何を見たの?」

「カーバンクルだ。ただしまだ幼体だったな。力はSには及ばない。他のチームが倒したよ」


 あのシュンが見たカーバンクルは時が経つにつれ、他のベヒモスを取り込みサラマンドラとはまた違う【火炎】のスキルを使う、Sクラスのキマイラになるはずだった。


 それ故にギルドは早期のクエストで脅威を排除したかったのだ。


「ふ~~ん、幼体じゃあなあ……」


 こいつは戦い以外には興味がないらしい、と呆れつつシュンは思った。

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