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第十一話 「西への大進行」02

 シュンは今一度ベヒモスの群れを眺める。

 この状況では西城塞への救援クエストは必至だ。


「シュン、ウチのチームは……」

「もちろん、俺たちも参加するぞ。他の城塞とはいえ仲間の危機を救うのは冒険者の義務だよ」


 ブレイソンは無言で、レイキュアは笑顔で頷いた。


 数体のベヒモスがこちらに気が付いて向かって来る。


「さて、俺たちも帰るぞ」

「何体か狩っていかないの? いえ、ダメね……」


 レイキュアが言う通り、数体のベヒモスには更に十数体が加わり、向かって来る規模は軍勢になりつつあった。


「急ぐぞ!」


 ここで戦いを始めれば多数のベヒモスにあっという間に取り囲まれる。

 こちらが狩られるのは御免だった。

 シュンたちは馬を飛ばし、追いすがるベヒモスも諦め西に取って返した。



 事務所に戻ると、ギルドで情報収集をしていたアルバーが既に戻って来ていた。


「いかがでしたか?」

「ああ、状況は悪いな」

「すでに西城塞ラヌゼルダの救援クエストが発動されました」

「早いな、それほど切迫しているのか……」


 アルバーはクエストの内容を説明する。

 三軍を編成して一軍は西城塞へ向かい、他の二軍はベヒモスたちの中心部と後続に向かわせるとの事だ。


 中間地点に拠点のキャンプを設営し、半数はそこに残して半数が攻撃を仕掛ける。


 つまり三つの拠点を作り、三方に同時攻撃を加えるのだ。

 一応どの軍勢に参加するかは志願もできる。


 東城塞クレモンテからの援軍は南を迂回して北と挟撃の体制をとるが、予定はまだ未定とのひとだった。


「全員で行こうか。半数を拠点に残して半数で攻撃しよう」

「スカーレッドは店の手伝いがあるから、全員は無理だけど……」

「もちろん、それで構わないよ」


 レイキュアが考える顔になる。

 店を休む事はできない。

 あれもスカーレッドにとっては大切な仕事だ。


「カノーアが事務所に戻って調整して、書類を作るって言ってました」

「そう」


 カノーアもクエストを請ける為の準備に動いている。


「どこの配置を志願しますか?」

「西城塞に行こうか」

「はい、カノーアと合流してからギルドに行って書類を出してきます」

「そう、お願いね。私も事務所に戻るわ」

「はい」


 席を立ち頷いてからアルバーは急いで事務所を出て行った。

 彼の仕事は早く正確だ。

 レイキュアも後を追う。


「ブレイソンは攻撃する半数を選んでくれ。おまえとアルバーと交代で拠点の指揮を執ってもらう」

「はっ」


 いつもの返事を返してブレイソンは下の詰め所に下りて行く。

 人選は本人の意思、やる気度なども確認して行う。


 シュンはジェンヌのことを考えた。

 バウザーナは獲物の多そうな中心部への軍勢に志願するはずだ。

 あいつの最強への執念は今日の戦いぶりを見ても分かる。

 デス・キャニオンでもそうだったが、最近のヤツはツキがないなとシュンは思った。



 今回のクエストにどのように臨むかシュンは考えた。

 エスプロジオーネのような盾を装備する集団戦を考えたが、訓練もなしにスカーレッドと共同でやるのは無理と諦める。

 あのベヒモスの数では逆にこちらが取り囲まれかねない。


 やはり使い慣れた陣形で、いつものように慎重に機動力を駆使して戦いうのが一番だとシュンは決めた。

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