表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/76

第十一話 「西への大進行」01

 休日のある午後、シュンは特にやる事もないので、自室で一人書類を読み返していた。


 ドアがノックされ、返事をすると私服のアルバーとカノーアが仲良く顔を出す。


「どうした、二人そろって? ここはデートコースか?」


 シュンのジョークにも二人は真剣な表情を崩さない。


「西で大進行が始まったみたいです。街の連中が話しています」

「なんだって?」


 どこかの地域でベヒモスの大量進行が始まった場合、その城塞だけでは対応できなくなり、他の城塞でもクエストが発動される場合があった。


「……情報を仕入れに行ってみるか」


 シュンとアルバー、カノーアはギルドに向かった。

 街の中はザワついている。


「カノーア、せっかくの休日なのに悪いな……」

「いえ、スカーレッドも明日には対応に動くと思うので……」


 レイキュアの事だから張り切って、ウチも参加するなどと言うはずだ。



 西城塞ラヌゼルダにベヒモスの大進行が始まっていた。

 ギルドの掲示板にはいくつもの地図や書類などが貼られて、冒険者の人垣ができている。


 大進行の理由は解明されていないが、興奮したベヒモスの集団が時々城塞を囲むのだ。


 シュンがこの街に来たばかりの時に東城塞であった以来で、まだ正式な援護クエストは発動されていなかった。


 この場合は西城塞ラヌゼルダに入り、共同で戦うチームを派遣するか、北城塞グロッセナから西に向けて援護のクエストを発動するかのどちらかだ。

 両方同時に行う場合もあった。


「ウチはどうします?」


 アルバーが掲示板を見ながら難しい顔をして言う。稼ぎ時でもあった。


 状況が記載された地図と書類によれば、西城塞ラヌゼルダは完全にベヒモスの集団に取り囲まれていて、その数は数百と書かれている。


「そうだな……」

「シュン、来てると思ったわ」


 振り向くとレイキュアがいた。今日は落ち着いた普通の私服だ。


私たち(・・・)はどうするの?」


 レイキュアにとっては、これは既にランツィアとの合同クエストになっているようだ。

 シュンは苦笑いする。


「まずは情報の収集だな」



 翌日、シュンとブレイソン、レイキュアは馬を借りて西城塞ラヌゼルダに向かった。


 シュンたちと同じ思惑なのか、同じように馬で走る数人の冒険者の姿が遠くに見える。


 荒野の先の水平線に蠢いている数十のベヒモスの帯が見えた。

 それは西城塞に向かっていて、ラヌゼルダの城壁には大量のベヒモスが取り付いているようだ。


 軍の重火器を使えば容易に掃討できるのだが、近代兵器の使用は四カ国で結ばれた協定で使用は禁止となっていた。

 また、発する電磁波が更なるベヒモスを呼び寄せる恐れがあった。


 前方には騎乗したまま手綱を握り、三名の冒険者がその光景を見ている。

 ジェンヌと副官の二人だ。

 シュンは馬を接近させた。


「ジェンヌ!」

「ふん、スカーレッドとお揃いで偵察か?」

「まあね」


 シュンたちも同じように馬を止める。

 これ以上ベヒモスの群れに近づくのは危険だった。


 気が付けば五体のベヒモスが群れを離れてこちらに接近して来る。


 ジェンヌは手綱を隣の副官、元貴族の私兵団だったと言われているパトリツィオに渡し下馬する。

 もう一人、軍人あがりのランベルトも馬から降りて同じように手綱を預ける。


 二人は剣を抜いて進み、【移動】のスキルを使い一瞬でベヒモスに肉薄。

 瞬く間にその五体を切り捨てた。


「へえ……、さすがチームランク二位の二人よねえ……」

「まあな、バウザーナの実力は本物だよ」


 レイキュアとシュンの会話に、一人残った副官のパトリツィオは眉一動かさない。


「獲物がウヨウヨいやがるぜ」


 剣を納めつつジェンヌとランベルトが戻って来る。

 ジェンヌの目はギラついていた。


「もっと狩ってくれば?」

「アホウ、この人数で突っ込めるかよ! 付き合うか?」

「御免だね、全員討ち死にしちまう」


 シュンは肩をすくめる。ジェンヌは冷静だ。


「俺たちは引き上げるぜ、クエストの準備だ。今度こそ最強を取ってやるからな。帰るぞっ!」


 バウザーナの三人は手綱を引いてグロッセナへと取って返す。


 ジェンヌたちもデス・キャニオンではハズレを引いたと噂で聞いた事がある。

 今のランキング順位がそれを証明していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ