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第八話 「火炎のベヒモス」02

 前回と同じようにチーム・エスプロジオーネとランツィア、スカーレッドの合同封鎖場所で合流して、シュンたちは侵入口へと馬で向かった。


 ギルドの担当者に書類を見せて、幅五十メートルほどある渓谷を進む。


 かねてからの打合せ通り、セバスティを中心とした防具を身に着けたエスプロジオーネの戦闘員たちが、盾と剣を構えて横並びに進む。


 シュンたち七名は後衛を担当する。


 数体のベヒモスが現れたが、エスプロジオーネは数人の盾で取り囲み、剣で串刺にして危なげなく敵を倒していく。


 彼らは個人ランクより集団としてのチームランクにこだわっている。

 スポンサーは個人の人気ではなくチームに付いているのだ。


「あーあ……、これじゃあ私たちの出番はないんじゃないの?」


 レイキュアが呆れたように言う。それほどに彼らの戦いは見ていて安定感があった。


「たいしたもんだな」


 それは恐るべしと言うほどの、見習うべきチームワークだった。


「見たところ、この人数で対処できるのは五、六体までだ。それ以上のベヒモスが出た場合は俺たちも行くぞ」

「分かった」

「俺が背後を警戒するから、レイキュアは他の奴らを率いて戦ってくれ」

「うん、任せて!」


 シュンの言葉に、レイキュアは張り切った声を上げて請け負った。


 せいぜい中程度のベヒモスが断続的にわらわらと現れ、時にはレイキュアたちがエスプロジオーネより先行して戦う。


 ブレイソンとロッド、グンソンのチームは自身たちで戦いながらも、レイキュアたち三人の戦いにも気を配っている。見ているだけのシュンはなんだか自分が楽をして、サボってるように感じつつ後方を警戒した。


 特に何かが起こる訳でもなく淡々と討伐は終わって、チームはデス・キャニオン引き上げ、封鎖部隊と合流し天幕の下で一泊した。


   ◆


 翌日も同じような戦闘が続いたが、上の下、体長六メートルのベヒモスとエスプロジオーネの戦いは見応えがあった。


 相手はお馴染みのフェルテと複数のバジリクスのキマイラだ。背中から黄金の羽が何枚も生えている。


 エスプロジオーネの戦闘員たちは下段の盾と、上段に盾をかざして二重にキマイラを取り囲み、(ヘッド)のセバスティと副長のグレゴリーが空中から頭部に攻撃をしかける。


 盾の隙間からの突きと頭部への攻撃で、キマイラは身動きが取れないまま手傷を増やしていった。


「なんだかベヒモスに同情しちゃうわねえ……」

「まったくだ。あそこまで集団戦を徹底していたのか……」


 レイキュアは呆れたように言い、シュンも同意する。他のメンバーたちも呆気にとられたように戦いを見守っていた。


 ランツィアにも盾や槍の装備はあるがあのようには戦えない。かなりの訓練をしているのだろう。


 最後は定跡通り、セバスティが弱点の喉に(とど)めの突きを食らわせた。

 フェルテは倒れてグレゴリーがレアクリスタルを取り出しにかかる。


「どうだい、お二人さん?」

「いやあ、セバスティ。いい勉強になった。ウチも少し盾の使用を考えてみるよ」

「でも、少し地味じゃない?」

「まあ、レイキュア。そう言わないでくれ。これがエスプロジオーネのやり方さ」


 派手さは無いが堅実だ。しかし、これ以上の大型ベヒモスが相手では総崩れになりかねない。

 その時には別の戦術があるのだろう。見たところセバスティの個人としての力も相当に感じる。


 レイキュアやブレイソンたちがキマイラの死骸を取り囲み眺めていると、突然、周りのメンバー、隊員、戦闘員たちからどよめきが上った。


「なっ、なんだ、ありゃ?」

「中央の方だぞっ!」

「あれは炎なのか?」


 シュンが空を見上げると遠くに火柱が上がっているのが見えた。

 皆が口々に声を上げ、更にもう一度、続けて炎の柱が立ち上がった。


「シュン! あれって……」


 レイキュアがシュンの元に慌てて駆け寄って来る。


「ああ、カーバンクルが戦っている。ディボガルドの連中、やっと捕まえたな……」


 火柱は断続的に上がり、遠くから歓声ともとれるどよめきが風に乗って聞こえた。


「随分と人も集まっているようだな……」


 セバスティがシュンの傍らに寄り声を掛ける。


「ああ、俺たちは最後まで裏街道だったな」


 そう言えばこのクエストが発動してからジェンヌには一度も会っていない。

 チーム・バウザーナはあのどよめきの中にいるのだろうか? とシュンは思った。


「引き上げるかい? シュン」

「ああ、ここまでお膳立てしたんだ、よもや打ち漏らしもあるまいよ」


 ディボガルドたちの力を持ってすれば、【障壁】のスキルで【火炎】を抑え込める、とシュンは読んでいた。


「よし、帰るか。野郎ども! 引き上げるぞっ!」


 セバスティは拳を突き上げクルクルと回す。戦闘員たちはいつものように奇声を上げた。

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