第八話 「火炎のベヒモス」01
次のデス・キャニオン進行クエストまでの間、ランツィアはいつもと変わらない日々を過ごしていた。
ただ、チームは新しい組み割りとなり、アルバーとブレイソンはそれぞれ数名を率いて魔境の浅い場所に向かう。
シュンは他のメンバーたちと共に森でベヒモスを狩った。
夕刻、グロッセナ北門に帰るシュンたちにブレイソン、続いてアルバーたちが馬に乗り追いついて来た。
「戦果はどうだった?」
「ポイントが付くマルティコラスを倒しましたよ」
「こっちは中のミルメコレオを二体です」
アルバーとブレイソンが意気揚々と答える。
「そうか、俺は皆を連れて事務所に戻るから、お前らは先にギルドに行ってこい」
二人は返事をして馬で先行した。
詰め所に戻って今日のレアクリスタルを集めてメンバーを解散させる。
少ししてからアルバーとブレイソンが戻って来た。
「二人のランクはどうだった?」
「僕は十九位になりました」
「俺は十七位です」
アルバー、ブレイソンは共に二十位以内に入って来た。
「上々だな……」
「シュンは二位のままです」
「しかし、おかしくないですかね?」
ブレイソンが疑問を口にし、シュンも確かに妙に思った。
自分がまだ二位に張り付いているのは上位ランカーに動きがない証拠だ。
「チーム・ディボガルドのランカーはそのままでした。デス・キャニオンに行きっ放しのはずですが……」
「やはり奴らはカーバンクルだけに集中しているんだな」
最強のディボガルドは毎日デス・キャニオンに行き、街に帰ってきているはずだ。
ポイントが加算されないのは他のベヒモスには目もくれていないのだろう。
「それよりも二人に話がある。レイキュアにギルドのクエスト以外でも稼げって説教されたよ」
「賛成です。ウチは何もやってません。他のチームは何かしらやってますから」
アルバーが待ってましたとばかりに口を開く。
商売は実家の専門だった。
「そうなのか?」
「はい、色々とやってますよ」
「どんなの?」
「飲食店、宿屋、雑貨屋の経営、商隊の護衛や手伝いなどです」
「そうか……」
他のチームは普通に商売をしているようなので、シュンは内心驚いた。
「レイキュアさんは何と言ってたんですか?」
「人手を使わないなら、手っ取り早く不動産経営だってな」
「そうですか、シュンが良ければ調べてみますが」
「アルバーは賛成か?」
「もちろんです。資産は有効活用しなくちゃもったいないですよ。資金を塩漬けにしておいても目減りするだけですし」
アルバーならば当然、知っていたのだろうが気を使ってシュンに言わなかったようだ。
もしかするとカノーア辺りからレイキュアに情報を流して、自分の所へ回って来た話なのかと考えなくもない。
「そうか、ブレイソンは?」
「正直に言って若手の中には、将来は冒険者として行き詰まる人間も出てくると思います」
「なるほどな……」
「彼らが働ける場所になれば……、皆、この街を死ぬまで離れないと言っています」
チーム・スカーレッドが確かにその為に事業を拡大していた。
前にカノーアが泣いてしまった訳をシュンは思い出す。
「分かった。アルバー、進めてくれるか?」
「はい」
「商売のセンスがあるメンバーに手伝わせてもいいぞ」
「分りました」
我ながら無頓着だったとシュンは反省する。
戦いばかりでは将来に渡ってのチーム経営、運営はできない。
程なくして、チーム・ランツィアへの指示書がギルドから出された。
封鎖部隊の配置は以前と同じだった。シュンたちが外れていた間も、大規模なベヒモスの進行はないと噂で聞いている。
今回の進行はチーム・エスプロジオーネと共同で大きな入り口を当てられた。
ブレイソン、ロッド、グンソン。ヒュミユとクーリアを、シュンとレイキュアが率いる合計七名がエスプロジオーネの二十数名に加わる。




