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第八話 「火炎のベヒモス」03

 意気も上がらない引き上げの途中、ギルドの職員と護衛の冒険者数名が馬に乗ってこちらに向かって来る姿が見えた。


「何かしら?」

「さあ?」


 レイキュアとシュン。他の大勢も首を傾げている。


「ランツィアとスカーレッドが押さえていた封鎖にベヒモスが殺到中!」

「まさか!!」

「なんだって?」


 二人は悲鳴のように声を上げ、ギルドの職員は馬を降りる。


「現在交戦中で突破は必至! 急ぎ応援を求めますっ!」

「分かった! 飛べる者だけでも先に行くぞ!」

「俺たちも行くぜっ! グレゴリー!」

「おうっ!」


 シュンの叫びに、チーム・エスプロジオーネの(ヘッド)と副長も叫ぶ。


「助かるっ!」


 シュンが空中に飛び上がり、ブレイソン、レイキュア、クーリア、そしてエスプロジオーネのセバスティとグレゴリーが【飛翔】のスキルで続いた。


 後続を振り返りながらシュンが叫ぶ。


「俺は先に行くぞっ!」


 ギアをトップまで上げたシュンは、六人の編隊から一気に飛び出し全速で南の封鎖口に向かって飛ぶ。



 シュンの目に状況が見えてきた。

 入り口には蹴散らされたバリケードの残骸に混じって、幾多のベヒモスが倒れている。


 第一派の防御攻撃と第二派は、それなりに効果を発揮したようだが封鎖は破られた。

 そして、第三の防御は絶望との隣り合わせだ。


 冒険者たちの集団は南に向かって撤退している。

その殿(しんがり)で数名のランカーが阿修羅のごときに剣を振るって、修羅場を一歩手前で食い止めていた。


 あの中にアルバーとカノーアもいるに違いなかった。シュンは声にならない叫びを上げて、剣を抜き低空で戦場に突っ込んだ。


 横にした剣の【切断】のスキルを最大まで開放して飛びながら、冒険者と戦っているベヒモスをなで斬り、戦場を横断する。


 倒れている冒険者の姿が何人か目に入った。ランツィアとスカーレッドの制服も見える。


「くっそっ!」


 【飛行】を使い地面を滑るように移動しつつ剣をかざし、体を回転させる。放たれた【切断】と【衝撃】がいくつかの凶器の旋風(つむじ)を作り出す。シュンはそれを【移動】で動かし、打ち漏らしたベヒモスに向かわせた。


 アルバーとカノーア、他の冒険者たちの動きを睨みつつ、つむじ(・・・)を動かしながらシュンは入り口付近のベヒモスに背を向けたまま地面から浮かんで後退、いや突き進んだ。


 背後から襲いかかるベヒモスを、見もしないで剣を使い切り伏せる。


 【障壁】で攻撃を防ぎ【拘束】で動きを止めているのだ。


 シュンはジグザグに動きながら滑るように後ろに進み、敵を倒しつつ他の冒険者たちを見守った。


 背後を伺いながら撤退していた冒険者たちが、状況を見て反撃に移りつつあった。

 数人で一体のベヒモスに攻撃を加え、孤軍奮闘していたランカーを助けている。


「いいぞっ!」


 空にはブレイソンたち五人の姿が見えた。


「来たか……」


 シュンは全てのつむじ(・・・)を呼び戻し、性懲りもなく冒険者に向かうベヒモスに正面からぶち当てた。

 つむじの効果は薄れつつある。


 背後のベヒモスを食い止め殲滅しながらも、更につむじ(・・・)を作り冒険者たちに向かうベヒモスに向け発射した。


 デス・キャニオンの入り口には強力ベヒモスが三体立ちはだかっていた。

 どれもポイントが加算される上クラスの大物だ。


「てめえら……やってくれたなっ!」


 シュンは口を歪めて叫び、剣を構えた。同時に襲いかかる三体が動きを止める。【拘束】のスキルだ。


「八つ裂きにしてやるぜ……」


 シュンは両手でゆっくりと剣を横に振りかぶり、気合とスキルを解放する。

 そのひと振りは上の中と下のベヒモス三体を瞬時にバラバラに砕いた。

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