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~帰り~
問題の猫を見終わり金井家を出ると、
渡辺さんは何やら考え事をしながら一人歩いていた。
猫を見たときから少し思い当たることがあるみたいだが、
今は何も周りが見えていない感じである。
「ねぇねぇ龍、渡辺さんほんとに大丈夫?」
「大丈夫だって、時たまこんな感じなんだから。」
私が探偵団になって初めて見る渡辺さんの表情だったため、
とても不安だった。
龍たちは長年の付き合いだから慣れているんだろうけど、
どうしても理解できない。
事務所の近くの角を曲がったところで、
ふと渡辺さんが歩いていた足を止めた。
急なことで私は軽く蹴躓く。
「わ……渡辺さんいきなりどうしたんですか?」
「分かったぞ、この心理が。」
ひらめいたように手をポンっと叩いた後、
渡辺さんは急ぐかのように事務所に入って行ってしまった。
唖然としている私をよそに、龍もさっさと歩いて行ってしまう。
慌てて後を追いかけ、事務所の中へと入っていった。
やっぱりこの探偵団は理解不能の集団だと思う。
私はそそくさとリビングに戻ると、
茜がいつものようににこにこしながら
今度はカフェオレをもってくる。
どうしてか毎度毎度飲み物が変わっていた。
そんなことはさておき、
しばしのティータイムに心がほっと安心した。




