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~ミル~
何とも言えぬシャンデリアのついた豪華な部屋が
目の前に広がる。
猫にこの部屋使わせているのかと思うと、
うらやましさが込み上げてくるばかりだ。
皆思うのかもしれないが、一度はこういうところに
住んでみたいと思う。
でも毎日はさすがに疲れるかもだけど。
そしてそのシャンデリアに照らされるように、
ちょこんと座っていたのが、ミルらしき猫。
真っ白な毛色にうるんだ瞳、
愛らしい顔つき。
まさに女王の値のようなの猫であった。
こんな可愛い猫が凶暴化するなんて信じられない話だが、
ありえることらしい。
「こんなに可愛い猫なのに。」
「人が見かけによらないように、猫も見かけによらねぇんだよ。」
私は初めてこんな愛らしい動物がいることを知った。
ただ渡辺さんだけがなぜか暗い表情。
「あの~、渡辺さん?」
「この猫は、とても寂しいものだ……。」
そうぽつりとつぶやくと、渡辺さんは踵をかえして
どこかに歩いて行ってしまった。
私が首をかしげていると、ぽんっと龍が肩をたたく。
「大丈夫だ、渡辺さんなりにミルの何かを感じたんだろう。」
龍はそういうと渡辺さんの後を追うように、
歩いていく。
私も歩き出す前にふとミルを見たのだが、
警戒するようなにらむような威嚇と共に、とても
寂しい瞳をしていることをこの時は特に何も感じていなかった。




