その53
ワシとアシュリーは食事を終えるとイライザからの連絡があり次第また来ることをイルマに伝え宿に戻ることにした。
「ではまた来るぞメリル。次はお互いしっかり準備してダンジョンに向かうとするかの」
メリルにそう告げイルマの家を後にする、もう迷子になるのは御免だし。
アシュリーと共に滞在している宿屋に戻るとそこにはイライザからの使いだというギルド職員が来ていた。
「十兵衛さんとアシュリーさんですね、イライザさんから手紙をお預かりしてきました」
そう言うとギルド職員は手紙を手渡してきた。
「では私はこれで」
用事を済ませるとギルド職員はすぐに去って行く。
「とりあえず部屋に戻って中身を確認しようとしようかの」
「そうですね」
アシュリーと共に部屋に戻ると手渡された手紙を開封する。
そこには先程イライザから受けた護衛の依頼の予定が記されていた。
「三日後か、しかしそれほど時間が経っていないにもかかわらず仕事が早いの」
イルマとメリルと共に食事をしたその時間だけで調査隊の予定迄決めてしまうとは早すぎじゃない?
「恐らく調査隊の到着は私達と関係なく決まっていた事なんでしょう。それに私達をあてがったという所ではないでしょうか」
なるほど、あのイライザならやりかねないと思える。本当につかみどころのない女だ。
「今日はもう遅い、明日またメリルの所に行こうとするかの」
アシュリーも黙って頷きその日は休むことにした。
明けて翌日。ワシとアシュリーは再びイルマとメリルの元へと向かった。
「全く抜け目のない女だよ」
イルマはワシ等の話を聞くと顔をしかめ吐き捨てる。
「まあ今更どうこう言っても仕方ないじゃろ、三日後に備えて準備をしておくとするかの」
ワシとアシュリーはメリルを伴い街へ出ると諸々の買い物を済ませ、戦闘の連携の確認のためダンジョンへと潜る。そして護衛当日の朝を迎えた。
「やあやあAランク冒険者の諸君よく来たね。今日は調査隊の護衛よろしく頼むよ」
冒険者ギルドに着き、ギルドマスター室に通されるとイライザがにこやかに胡散臭い笑顔で出迎える。
ギルドマスター室にはギルドマスターとイライザ、そして二人とは別に五人の顔が見て取れた。
「初めまして、私はネモ。この調査隊の隊長を務める、今日はよろしくお願いするよ」
ネモと名乗るメガネをかけた青年はそう言うと手を差し出してきた。
「ワシは十兵衛じゃ、こっちがアシュリーそしてこっちがメリルじゃよ」
差し出された手にワシとアシュリー、メリルは握手で返す。どうやら調査隊の方はまともな人物たちの様で少し安堵した。
「いやあ今回の調査の担当がイライザ女史と聞いて少し不安だったんだけど護衛の方達が常識のある人の様で安心したよ」
どうやらイライザは冒険者ギルドにおいても問題児の様だ。
「あら、それはずいぶんな言われ様ですね」
そうは言うイライザだったが特段気にした様子は見られない、これはかなり言われ慣れているという事なのだろう。
「ダンジョンでの話はすでに聞いているんだが念のために確認させてもらってもいいかな?」
ネモはイライザを無視して調査の前段階としてダンジョンでの出来事を確認してきた。
「なるほどなるほど。聞いていた話と矛盾点はなさそうだね、では早速だけどダンジョンに向かいたいのだけれど大丈夫かな?」
ワシ達からダンジョンでのリッチの件を確認するとこちらの返事も聞かずネモは立ち上がり出発の準備を始める。なんかめっちゃノリノリなんだけど?
「ワシ等も準備は出来とるから問題はない」
そしてワシとアシュリー、メリルの護衛三人とネモ率いる調査隊五人はアシリアダンジョンへと向かう事にした。




