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その51

 ワシ達三人はギルドを出ると冒険者ギルドでの顛末をメリルのお師匠様であるイルマに説明するべく再びメリルの家へと向かって歩いていた。

 なにせ、メリルに説明を任せてしまうと事の半分も伝え切らないだろうと判断したためだ、メリルと一緒にまたダンジョンに潜る以上年長者としてのワシからも説明は必要だろう。

「ところでアシュリーよ、あのイライザという女とは以前からの知り合いかの?」

 ギルドマスター室では聞きそびれていた疑問をアシュリーに投げかける。

「知り合いと言いますか一方的に付きまとわれていたというかそんな感じですね」

 何? イライザってアシュリーのストーカーなの?

「それはまた難儀じゃの」

「本当にその通りです。散々断ったにもかかわらずまだ諦めていないみたいですし……」

 イライザはアシュリーに何を望んでいたのだろう?

「部屋を出る時もまだ諦めてないとか言っておったのう。あれはなんじゃ?」

 珍しくアシュリーがうんざりしたような顔をしている。

「私が剣術指南をする前の話なのですが、Sランク冒険者にならないかとずっと付き纏われていまして」

 SランクってAランクの更に上じゃなかった?

「Sランクになると何かまずい事でもあるのかの?」

「確かに冒険者としてのランクはSランクとなった方が上ではあるのですが、Sランクになると冒険者ギルドに所属しないといけないのです」

 自由が売りのはずの冒険者が冒険者ギルドの所属とは矛盾した話だ。

「Sランクとなれば地位や名声はもちろん金銭的な優遇もあるのですが冒険者ギルドへの所属という事で自由が制限されてしまうので私としては何の魅力も感じていないんです」

 更に詳しく話を聞いてみると、Sランクになるとギルドからの指名依頼は絶対で何においても優先して受けなければいけないらしい。

 そもそもSランクというものはギルド本部の一部の人間の推薦が必要で、更には冒険者ギルドでの審査があるらしい。内容についてはよくわからないという事だったが恐らくその人となりというところを見られるのではないかという事だった。

 そしてイライザがアシュリーに固執しているのは、Sランクとなった冒険者はその推薦者の専属となるためだという事らしい。

 Sランクに選ばれるという事は冒険者ギルドでの過去の実績、そして何よりもその戦闘能力の高さが重要視されるという事。そうなればそうそうSランクとなれる候補が居るはずもなく、その数少ない候補者が居たとなれば固執するというのも頷ける。というかその数少ない候補者のアシュリーってめっちゃすごくない?

「私は自由を奪われるのが嫌なのですが、そもそもあのイライザという人物がどうも信用がおけないという事の方が大きいのです」

 アシュリーの言わんとしていることは良く分かる。冒険者ギルドでのあの短い時間しかイライザを見てはいないがあの女はどうも胡散臭い。出会ったのが冒険者ギルでではなかったらどう見てもただの詐欺師にしか見えない。

「確かに冒険者になったのなら自由気ままに旅をしたいの。それにあのイライザという者は少々ややこしそうじゃ」

 アシュリーを見やるとイライザの事を考えているのかうんざりした表情のままだ、あれにつき纏われていたとなれば致し方ないだろう。しかしあれはワシにも興味が湧いたと言っていた、出来れば勘弁してほしいものだ。

 そして、ワシとアシュリーが真面目な話を交している横でメリルは鼻歌を歌いながらご機嫌に歩いている。どうやらAランク冒険者となれたことが嬉しくてたまらないという感じだ、実に平和的な光景である。

 そんなメリルを眺め心の平穏と取り戻しているうちにイルマの待つアシリアの街の外れにある森に面した家へとたどり着いた。

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