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その48

 ワシとアシュリー、そしてメリルは冒険者ギルドへ着くと先ずは魔物討伐の報告をするためにカウンターで受付嬢に声を掛ける。

「ダンジョンでの魔物討伐の報告に来たんじゃが?」

「魔物の討伐ですね、では冒険者証と採取した特定部位の提出をお願いします」

 受付嬢に促され持っていた冒険者証をカウンターに置く。アルカンの冒険者ギルドのフレアもそうだったが冒険者ギルドの受付嬢というのは皆愛想がいい。

「十兵衛さんですね、それでは……ち、ちょっとお待ちください」

 ワシの冒険者証を見ると受付嬢は何か慌てたようにカウンターの奥へと入って行った。

「すみません十兵衛さん、このままギルドマスター室までお越しいただけますか?」

 受付嬢は戻ってくるとそう告げる。

 ギルドマスター室? なんで? というかそういう所にいい思い出が無いんですけど?

 振り返りアシュリーとメリルと目が合うが二人とも不思議そうな顔をしている。

「連れがおるんじゃが一緒でいいかの?」

 少し考えていた受付嬢だが問題ないと判断したのか了承してくれた。

 受付嬢の案内で冒険者ギルドの奥、その二階にあるギルドマスター室へと連れてこられた。

「マスター、十兵衛さんをお連れしました」

 ドアをノックし、そう告げると受付嬢は扉を開けワシ達は部屋へと入る。

「ようやく会えたね、あんたが十兵衛かい?」

 部屋に入ると早々に声を掛けられる。入口の正面の机には大柄の男が座っている、おそらくこの男がギルドマスターなのだろう。しかしギルドマスターと言うのはむさ苦しいおっさんばかりなのだろうか?

 そしてワシに声を掛けてきたのはギルドマスターらしき男が座る机の前に置かれた応接セットのソファーに深く腰を掛け足を組んだ女だった。

「おや、一緒に居るのは剣姫じゃないか、こんなところで再会できるなんて嬉しいじゃないの」

 ソファーに座る女はアシュリーを見止めそう声を掛けた。アシュリーの知り合いだろうか?

「その名で呼ぶのはあなただけです、私がそう名乗った事はありません」

 アシュリーは不満げにそう答える、どうやら仲が良いわけではなさそうだ。

「相変わらず嫌われてるね、まあ座りなよ」

 アシュリーにあしらわれたにもかかわらず気にした風もなくワシ達を座るように女は促す。

「座るのは構わんのじゃが、ワシは呼び出しを受けるような覚えがないんじゃが?」

 女を無視しギルドマスターに問いかける。

「あー、呼び出したのギルドマスターじゃなくて私なのよ。突然ですまないね、事情を説明するからなんにしても掛けてくれないか?」

 無邪気な子供のような笑顔で女が再び座るよう催促してくる。

 ちらりとギルドマスターに視線を向けるとギルドマスターは無言で小さく頷く。どうやらこの胡散臭そうな女と話すしかないみたいだ。

 仕方なくソファーに腰を掛け、女と対面すると女は興味深そうにじろじろとワシを見回している。

「それじゃあ先ずは自己紹介だね。私の名前はイライザ、冒険者ギルド本部の人間だ。それなりに偉い立場ではある」

 無邪気を装うその笑顔でイライザが簡単にではあるが自己紹介をする。冒険者ギルドの本部? 良くは分からないがおそらくそれなりの地位の人間ではあるのだろうが、そんな者がワシに何の用があるというのだろう?

「まあ用と言うかちょっとした聞き取りのつもりだったんだけど、剣姫が一緒だというのならちょっと十兵衛という人物に興味が湧いてきたね」

 装っていた無邪気な笑顔が含みのあるものへと変わっていく。

「聞きたい事というのは端的に言うと異常個体についてだよ。アルカンのギルドから報告書が上がっていてね、異常個体二体と遭遇した冒険者がいるっていう事で近くに居た私がアシリアに来たというわけさ。しかもその冒険者が二体ともソロで討伐しったいう事だったんで詳しく話を聞かせてもらおうかと思ってね」

 さっきまでの笑みは消え、イライザは真っ直ぐにワシに視線を向けてくる。

「そういう事なら丁度いいかもしれんの。ワシ等は三体目の異常個体について報告に来たところじゃよ」

 ワシの言葉を受け、ライザの目は更に険しさを増していった。

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