その46.5
「師匠!」
そう叫んだ時にはすでに師匠の姿は目の前から消えてしまっていた。
何故こんな浅い階層に転移トラップが? いやそんなことを考えるのは後だ、飛ばされてしまった師匠を探さなくては!
転移トラップは今いる階層よりさらに奥の階層へ飛ばすものばかりだ、とにかく進もう。
幸い師匠の剣の腕ならば魔物にやられる心配はない。しかし地図や食料などの荷物は全て私が持ったままだ。さすがに師匠であっても水も食料もなく何日もダンジョンをさまよう事になってしまっては命に関わる。
ここから近い階層であればいいのだが深いところまで飛ばされてしまっていてはまずい、急がなければ!
私は剣を抜くとすぐさま目の前のボス部屋の扉を開けた。
ボス部屋の中に入ると真っ直ぐにボスであるアシリアキングナイトスケルトンを斬りつけ先へと進む。
階段を降り十一階層目に降り立つと先程確認した地図を思い出しすべての通路を全速で駆けながら師匠の姿を探しながら進む。
「師匠ー! 師匠ー!」
すれ違いにならないように声を張り上げ、私の存在が確認できるように叫びながら進んで行った。
十二階層、十三階層と師匠を呼びながら全速で駆け続ける。
途中で遭遇する魔物を最速で倒し、目を凝らし師匠の痕跡を探しながらひたすら走った。
十七階層、十八階層と更に先へと進む。だが師匠の痕跡らしきものはどこにも見当たらない。
二十五階層、三十階層と進んできたがまだ師匠を見つけられない。叫び続けたせいか声も掠れだしてきた。
ボス部屋を越え、更にダンジョンを潜り続けながら胸が締め付けられる思いに駆られる。
また師匠と会えなくなってしまうのは嫌だ。せっかく再会できたんだ私はもう諦めたりはしない!
剣を握る手に力が入る。師匠の包み込むような笑顔が頭をよぎる。もう諦める事なんてあり得ない!
少し息を整えるとまた走り出した。さっきよりももっと速く、ただ師匠の姿だけを求めて走った。
そして四十階層のボス部屋の前に差し掛かる。ここから先はソロでは少しキツくなる、それでもここで止まる理由はない。これまでと同じようにボス部屋の扉を勢いよく押し開けると部屋の中央に向けて走り込む。
現れた四十階層のボスに斬りかかる。ボスの攻撃を避けることもなく最速で倒す事だけを考え剣を振る。いくらかの攻撃は受けた様だがそんな事は問題じゃない。まだ私は師匠を見つけられていない、絶対にまた師匠と会うんだ!
目の前で倒れ消えていく四十階層のボスを確認すると私は奥の扉を開けた。師匠とまた再開を果たすために。




