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その42

「十兵衛さん、あなたはいったい何者なんですかー!」

 ダンジョンに叫び声が響き渡った後何故かワシはメリルに詰め寄られていた。

「キングナイトゴブリンと言えばパーティ-で一丸となって少しずつ削りながらやっと倒せる魔物ですよ! 少なくとも私みたいなBランク冒険者でも束になって挑む魔物なのです!」

 どうやらメリルはBランク冒険者の様だ。

「メリルはBランク冒険者なのか、すごいではないか」

「Bランクの私がすごいなら十兵衛さんはなんなんですか! も、もしかしてAランク、いえSランク冒険者なのですか!?」

 褒めたつもりだったのだがさらに詰め寄られてしまった。

「ワシはDランク冒険者じゃよ。ほれ」

 そう言って首から下げていた冒険者タグを見せる。

「十兵衛さんがDランクなはず……」

 そう言ってメリルはワシの冒険者タグをまじまじと見つめる。

「あ、ほんとうにDランクなのです……ってなんなんですかー!」

 そして本日三度目の詰め寄られである。

「そもそもなんでDランク冒険者がダンジョンに入れるのですか! それにさっきのは何ですか! 初めのトロールの時は良く見えませんでしたが二体のトロールをあっさり倒していませんでしたか? しかも今度はキングナイトゴブリンまで! 一人で、しかも剣だけでそんなことは普通出来ないのです!」

 うん、たしかに冒険者ランクと実力が見合っていないのは自覚していた。しかし今まではアシュリーと一緒だったのでそこを突っ込まれることはなった。傍から見ればやはり普通ではないのだな、それにしても毎度毎度質問が多い。

「ダンジョンの入場許可証は武闘大会の副賞で貰ったんじゃよ。魔物に関しては頑張って倒したとしか言えんの。後、ダンジョンの入場料は無料じゃ」

 メリルに負けないぐらいの笑顔で答えて見せる。

「ダ、ダンジョンの入場料が無料……!」

 目を見開いてメリルが声を零す、反応するのはそこなのか。

「ち、違うのです今は入場料の事はどうでもいいのです。武闘大会の副賞って優勝しないと貰えないはずなのです! しかも今回の大会はAランク冒険者のすごい剣士が出ると言うので出場者がとても減ったと聞いたのです。その大会で優勝したのですか!」

「まあそうじゃの」

 大きな大会の割に出場者が少ないとは思ったがそういう事だったのか。そして凄腕の剣士というのは決勝で戦ったあの赤髪の剣士の事だろう。

「ほ、本当に優勝したのですか?」

「本当じゃよ、なかなか楽しかったわい」

 首を傾げ得心のいかない表情だったメリルだったがワシが答えるとみるみる笑顔になっていく。

「すごいのです、すごいのです十兵衛さん!」

 メリルはぐいと顔を寄せ、まくし立てる様に続ける。

「Dランク冒険者なのにAランク冒険者に勝つなんて凄すぎるのです! 私なんていつまでたってもBランクのままでAランクなんてまだまだ先だと思っていたのです。なのに十兵衛さんはDランクなのにAランクに勝ったのです! 希望なのです、私にとって十兵衛さんは希望の星なのです!」

 顔の前で手を組みキラキラとした瞳で見つめてくるメリル。しかし希望の星は言い過ぎなのでは?

「大会ではどんな相手がいたのですか? Aランク冒険者にどうやって勝ったのですか?」

 相変わらずキラキラした瞳で質問攻めされる。本人は否定していたがやはり好奇心旺盛な子供にしか見えない。

「そうじゃの、魔法を斬ったり、斬撃を飛ばしたり色々あったの」

「魔法を斬ったのですか! そんなことが出来るのですか!?」

 そしてしばらくの間、ここがダンジョンの中だという事を忘れてしまいそうなほのぼのとした雰囲気で質問攻めされ続けた。しかし何と言うかまるで孫と会話しているだ。

 一通りの質問が終わったところでワシとメリルは再びリッチの居る所を目指して歩き出した。

「それにしても十兵衛さんにもお弟子さんがいるのですね、早く合流しないといけないのです」

 さっきの質問攻めの時にアシュリーの事も話していたのでメリルは親近感を覚えたようだ。全く正反対の性格ではあるようだが同じ弟子という共通点に共感したのだろう。

「アシュリーも剣の腕は立つ。心配はいらんじゃろう」

 実際アシュリーは強いし何よりワシよりしっかりしている。どちらかと言えばワシの方が保護される側だろう。

 しかし今はメリルの保護者として無事外まで送り届けなければいけない、しっかりしなくては。

 そしてワシはメリルと共に更にダンジョンを進んで行った。

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