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その32

 思わず斬ってしまった、特に考えなく目の前に来たから斬っただけである。

 今のってもしかしなくても魔法だよね? 魔法って斬れるものだったのか、びっくりだ。

 いや、斬れると思ったから斬ったのではあるがちょっと驚いたのは事実だ。だって手に持ってるの木刀だし。

 これもさっきしっかり素振りしたおかげだと思っておこう。何でも斬れると思ったのは間違いではなかったようだし。

 さて、気を取り直して相手の魔法使い相手をするとしようかと視線を対戦相手に向ける。

「こ、降参します!!」

 そう言って女魔法使いは持っていた杖を放り投げ、両手を突き上げて戦意のない事をアピールしてくる。ワシの勝ちでいいのかな?

「しょ、勝者十兵衛! 何と魔法を斬り裂いたー、いったいどうなっているのか!!」

 会場に流れるアナウンスを聞いて思った、やっぱり魔法って斬っちゃいけないものだった様だ。まあ斬ってしまったものは仕方ない、今更だ。

 そして最前列にいるであろうアシュリーに目を向けると両手を組んで神を崇めるようにこちらを見ていた。ちょっとやり過ぎたかもしれない、うん今更だな。

 会場の歓声が一試合目よりも大きくなっているのを感じる。あまり目立ちたくはないのだが致し方なしか、なにせ魔法斬っちゃったし。

 それにしても魔法というのはすごいものだ。初めになにかぶつぶつと言っていたのは恐らく詠唱というものだろう。そこから魔法の発動に至るまで剣なんかの武器を使った攻撃とは違って初動が掴めなかった、あれはなかなか厄介だ。

 なんとか認識できたから斬れはしたがもう少し速い魔法なら間に合わなかっただろう。今後の課題といったところか、剣の道とはまだまだ先が長そうだ。

 魔法への対応を考えながら控室に戻り長椅子に腰を掛けると先程声をかけてきた大剣使いがやってきた。

「爺さん、さっきのはなんだ! 魔法を斬っただろ!」

 さっきからやたらと話しかけてきて騒がしい男だ、暇なのか?

「たまたまじゃよ」

「たまたまで魔法が斬れてたまるか!」

 どこかで覚えのあるやり取りだが魔法が斬れたのはほんとにたまたまなのだからそうとしか言えない。強いて言えばさっき素振りしたことぐらいか?

「お主もしっかり素振りしとれば斬れるようになるわい」

「す、素振りだと……」

 いや、ほんとにそれぐらいしか心当たりないし。

 ワシの言葉に大剣使いがわなわなと拳を強く握りしめている、なにか気に障る事でも言ったかな?

「ああ、それとワシの名は十兵衛じゃ、まあ爺さんでも構わんがの」

「十兵衛か、覚えたぜ。決勝では絶対勝って見せる」

 そういうと大剣使いは去って行った。あ、名前を聞いておけばよかった。さっき言っていたような気がするがちゃんと聞いて無かったから覚えてなかった事を思い出す。

 大剣使いが去ってから少し休みふと思う、あと何回試合が残っているのだろう? そして辺りを見回すと壁にトーナメント表が張り出してあるのに気づく。初めに見ておけばよかったと思うがそれも今更だと思い直した。

 どれどれとトーナメント表をじっくりと見る。ワシは今のとこ二回試合をしたから後は……三回か、意外と少ないな。二年に一回の大会にしては参加者が少なくないか? まあ試合が多すぎるよりはいいか。

 そうこうしているうちに係員から三回戦目の呼び出しがかかり試合会場へと向かう事になった。


「それでは三回戦第一試合の選手の紹介です! 先ずは怒涛の快進撃を見せるDランク冒険者。本大会のダークホース、マジックブレイカー十兵衛!」

 またなんかワシの肩書が増えてるじゃないか。

「続いてはその武器の特性をふんだんに発揮し敵を寄せ付けず安定した戦いで勝ち上がってきた槍使い、カイ・ルドル!」

 次の相手は長柄の槍使いか、さすが異世界だけあって武器も多種多様だな。

「それでは三回戦第一試合開始!」

 試合開始早々槍使いが素早く突きを放ってくる、やはり槍だと刺突攻撃がメインなようだ。

 長柄武器のリーチを生かした突きを木刀でいなし捌いていく。しかしさっきから首から上ばかり突いてくるがそれ当たったら死ぬやつじゃない? ちょっとは年寄りを労わってほしいものだ。

「そりゃー!」

 大きな掛け声とともに更に鋭く突きが繰り出される。いや、だから労わってよ。

 すべての突きを捌くと槍使いは後ろに飛び退き更に距離を取る。とりあえず距離を詰めないとどうにもならないか、そう考えた時に槍使いが大きく踏み出し手にした槍と共に飛び込んできた。

 捌かれないように重い一撃をというところか、しかし向こうから寄ってきてくれたのは好都合だな。

 一直線に向かって来る渾身の突きに対して、こちらも大きく踏み出しその向かい来る槍の矛先に木刀を添わせ一気に距離を詰める。

 そしてそのまま槍に沿わせていた木刀を槍使いの鳩尾へと突き立てる。痛そうだけどワシは頭狙われてたしいいよね?

 鳩尾への一撃を受けた槍使いは声にならない呻き声を上げると膝をつく。

 そして槍使いがそのまま前のめりに倒れ込んだのを確認して構えを解いた。

「またもや一撃! マジックブレイカー十兵衛の勝利だー!」

 会場にワシの勝利を告げるアナウンスが流れる。そしてまた変な肩書が増えないことを祈りつつ会場を後にした。

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