その28
ダンジョンに入れるかもしれない、その期待を胸に露店で聞いた話を確認するため武闘大会の参加受付場へと向かう。
「武闘大会の副賞でダンジョンの入場許可証が貰えるというのは本当か?」
参加受付場に着くと開口一番、勢い良く受付にいた担当者らしき男に尋ねる。
「は、はい。今回の副賞はその様になっておりますが」
ワシの言葉に気圧されるように受付担当者らしき男は答える。
「武闘大会への申し込みに条件は有るのか?」
男の前に置かれたテーブルに手を付き、身を乗り出しさらに尋ねる。
「あ、ありません。どなたでも参加の申し込みは可能です」
受付の男の言質は取った、決まりだな。
「では武闘大会への参加の登録を頼む!」
未だおどおどしている受付の男をよそに意気揚々と登録用紙に記入し武闘大会への参加登録を終える。
「師匠なら優勝間違い無しですね。そうだ、私も参加すれば師匠と戦えますね」
アシュリーが不穏な事を言っている、ダンジョンの入場許可証が必要なのはワシなんだけど? アシュリーが優勝したらどうするの?
「アシュリーよ、手合わせなら毎日やっておるじゃろうが」
ここは何が何でもアシュリーを止めなければ。
「そうでした、未だ師匠に一太刀も入れられない私がおこがましい事を。申し訳ありません」
若干言葉の意味を捉え間違っているようだがどうにか参加を思い留まらせる事が出来たようだ。アシュリーってもしかして戦闘狂なの?
「さて、では街でも見て回るとしようかの」
どうにかアシュリーの武闘大会への参加を阻止し、受付会場を後にしアシリアの街へと出た。
受付会場を出るとアシュリーが話しかけてきた。
「これで問題なくダンジョンに挑めそうですね」
いや、まだ参加の登録をしただけで武闘大会は始まってもいないんですけど?
「気が早すぎるぞアシュリー。世界は広い、ワシよりも強い者などいくらでもおるわい」
「師匠よりも強い者など……そうですね奢らず研鑽を積むべしという事ですね、さすが師匠です」
拳を握り締め真剣なまなざしでアシュリーが見つめてくる。どう流石なのかはよく分からないがアシュリーは強さに関してはとても真摯に向き合っているという事は分かる。
当初の予定だったダンジョンの入り口にも無事たどり着き、これと言って観光するようなところもなさそうなので武闘大会までの宿をとることにした。
武闘大会までは少し日にちがあったので宿を取った後冒険者ギルドでいくつか依頼を受けることにした。
そして冒険者ギルドの依頼をこなしながらアシリアの街で滞在し、ついに武闘大会の開催日を迎える。




