18話 人助け
アイスを食べたあとスマホを見ていたが暇になり寝ようとした時インターホンが鳴った。
「タイミング悪すぎ…」
寝る気でいた重い体を頑張って起こして玄関に向かう。
「今行きまーす」
急いで玄関に行き開けると宅急便の人が来ていた。玄関に置いてある印鑑を取ろうとしたが要らないと言われそのまま荷物だけ受け取った。
「誰宛だろ」
宛名を見るとうちでも家族のものでもなかった。近くの家の親戚の大野さん宛だった。野しかあってないのに何故間違えたと思ったが昨日、今日と運が悪いためそのせいだと思い考えるのをやめた。
「とりあえず届けるか」
今日は何が起こるか分からないため早く届けようと急いで準備をし家から出る。
「えーっと、大野さん家は…」
一軒家が沢山並ぶこの道は家を探すのはとても大変だった。しばらく歩いてると見たことがある屋根が見える。
「……遠回りしてた」
こんなに家が遠かったかなと思っていたが遠回りをしていたから遠く感じたということだ。着けただけ良いと思いインターホンを鳴らす。
「すみませーん。雨野ですー。」
インターホンを鳴らしてしばらく経っても返事はなかった。とりあえず荷物だけ置いて家に帰ることにした。
帰りは何もありませんようにとフラグを立ててしまいながらも歩いていたら、見事に回収してしまった。
「あ…」
「ん?あ、妹ちゃんだ」
公園の近くを歩くと見た事のある背中が見えつい声を出してしまったら、それに反応してその人が振り返り少し驚きながらもこっちに歩いてきた。
その人は昨日会ったばかりのスクートムの人で兄さんに笹原と呼ばれていた人だ。
「こ、こんにちは…」
「こんにちは」
男性が会えたことを嬉しそうににっこりとした顔を見てうちは不安でいっぱいになった。。男性の微笑みは、何か裏があるようで嫌な予感しかしなかった。
「今時間ある?昨日のお話の続きしよっか」
「……」
嫌な予感は的中した。こんな時だけ予感が当たっても嬉しくない。
「ね?」
追い討ちをかけるようににっこりと言われまた頷くことしかできなかった。昨日は前世について話したいかもとか思っていたが、いざ話してみると怖すぎて何も話せなくなっていた。
「今回はすぐ終わるから」
それを信じていいかわからずただ話されるのを待つしかできなかった。
「明日土曜だから学校ないでしょ?で、明日はアニメに出てくる慎太郎くんの生死がかかってる日」
それを聞いただけで何を話したいのかわかった。登場人物である立川 慎太郎くん は明日飲酒運転で暴れているトラックに轢かれ死んでしまう。慎太郎くんは主人公の幼馴染みだ。
多分だが、慎太郎くんが轢かれないよう手伝って欲しいと男性は言いたいのだろう。
「どう?」
何が言いたいか分かるでしょ?と言いたげな顔で聞いてくる男性。確かに分かるが一応言って欲しかった。
「初めて会った時言ったように怖いんでやめときます」
「俺も助けないけどいいの?」
意地悪な笑みで言われ少し動揺してしまった。男性の人は助けると思っていたから別にうちがいなくてもいてもどうでも良いだろうって思っていた。けど、うちがどうするかが重要みたいだった。
「明日の午後1時にこの公園待ち合わせね。来なかったら慎太郎くんの将来は無いから」
はっきりと言う男性にもっと優しい言い方が無いのかと思うが、今みたいな厳しい言い方の方が言われた側が罪悪感を感じたり、少しでも気にせずにはいられなくなる。
「てことで明日ね」
言うだけ言って帰って行った男性をただ私は見つめることしかできなかった。頭の中では慎太郎くんのことでいっぱいになっていてしばらく他のことを考えられなかった。
家に帰っても何かをする気には起きず寝ようとしても寝れない。ただソファに座ってぼーっとしていた。
「…よくわかんないや」
慎太郎くんは助けたいが原作が変わり悪い方向にいかないか心配になる。原作を変えても大丈夫な事はあの男性が言っているから本当だろう。新井さんが白鳥さんと同一人物にしか考えられないのが証拠だ。
原作なんて知らなければ慎太郎くんを助けることはできただろう。
「行かない…かな…」
行かなかったらあの男性が助けるだろうしうちには行く勇気もないため行かないことにした。
その日は何もしないでただゴロゴロとし頭を休めていた。
そして、次の日になり今は13時10分。うちは今外に出ている。
「一応…見るだけだし…」
少し奥を歩いている男性をこっそりと追っている。その男性は転生者でスクートムの人だ。
昨日言われたことが気になりすぎて行かないと決めてもどうしても行きたくなってしまった。でも助ける勇気はないため見守るだけしようと思いあとを追っている。
ちなみに男性は13時5分まで公園で待っていてくれていた。13時になった瞬間行きそうなのに待っていてくれたことに驚いた。
「あ、やばい」
男性が道を曲がり見えなくなり見失うかもと少し早歩きで追おうとしたら男性がUターンしてきた。
「あ…」
もちろんうちがついてきていることはバレた。男性は驚いたようにこっちを見ている。うちはさっきから変な汗がダラダラと出てくる。
「ストーカーされてると思ったら君か」
「すみません…」
「謝んなくていいよ。むしろ君で安心したよ」
優しい笑顔で言う男性。怒られなくて良かったと安心するが。
「で、なんでストーカーしてたのかな?」
優しい笑顔から怖い笑顔で言われうちはいつものように固まった。毎回この笑顔だけは慣れず怖くて逃げれなくなりその場で固まってしまう。
「あはは…」
乾いた笑いしかうちの口からは出てこなかった。




