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転生なんて望んでない  作者: ヒスイ
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11話 似ている子

結美先生はまだ驚いたまま立ち上がり少しふらつきながら自分の机に向かった。


「えっとね、ちょっと待ってね。か、紙で整理しながら聞こうかな」


急な出来事に驚いてるのだろう。そんな状況でもっと情報を入れようとしたらパンクしてしまう。


「あ、確かにそっちの方がいいですね」


結美先生は机にある紙を取りカッターも一緒にこちらに持ってきて、カッターで紙を切りうちに渡してきた。


「ありがとうござ…」


お礼を言おうとし結美先生を見るとこちらにカッターを向けていた。頭の中が真っ白になる。手の力が緩み紙がヒラヒラと落ちる。


「……」


紙が地面に落ちた音に反応して頭がやっと動いた。何とか話そうと声を出す。


「ゆみせんせい…?」


「っ…」


うちはどうしてカッターを向けられているか分からず、弱々しく結美先生と呼ぶ。

結美先生はそれに少し戸惑うがすぐに真っ直ぐとこっちを見る。


「異世界人なのよね?なら、敵よ」


睨むようにこちらを見ながら言う結美先生。手を見ると少し震えていた。

少し経ってからさっき言われた意味をやっと理解出来た。結美先生はうちがディアボルスと同じところから来たと思われているようだ。


「結美先生勘違いしてます!」


「うるさい!」


すぐ否定し詳しく話そうとしたが無理そうだった。結美先生はうちの話をいつものように聞こうとしてくれない。


「6年前、私の家族は巻き込まれた。全部貴方達のせいよ!」


結美先生は悲しそうに言った。

初めて知った、結美先生は6年前のあの事件で家族を亡くしていたのだ。ディアボルスをもの凄く恨んでいるだろう。

だから、今にもディアボルスと同じ世界から来た可能性が高いうちを殺しそうだ。


「うちは違う世界から来ました!ディアボルスとも違います!敵ではありません!信じてください!」


必死に訴えかける。

もっとよく考えて伝えるべきだった。先生をもっと知ってから話すべきだった。そしたら、言わなかったり順を追って話したりしてた。こんなことになってなかった。


「証拠は?」


「…無いです」


「じゃあ、信じられないわ」


冷たく言う結美先生は物凄く怖かった。今まで母親のように優しくしてくれていたからこそ凄くショックだった。

どうやって説明しようと悩んでいた時。


コンコンコン


誰かが保健室に来た。

この状態を見られるとまずい。結美先生が捕まってしまう。生徒に刃物を向けている教師ということになる。


「ちょっと、なにするのよ」


あまり刺激しない方が良いがこの場合は仕方ない。結美先生の腕を掴み捻りカッターを落として、カッターを蹴りベッドの下に隠す。結美先生は抵抗しようとしていたが、うちを恐れているのか強く抵抗はしなかった。


「まじか…」


頭の中でアニメで見たことがある技を出来るかどうか分からなかったがやってみたら、体が簡単に動きカッターを結美先生から取る事が出来た。


「先生?入っても良い?」


どうやら保健室の前にいる子は先生から許可がおりないと入らないみたいだ。


「結美先生、さっきはごめんなさい。でも、あのままじゃ結美先生が悪くなってました」


落ち着かせるために結美先生の目をしっかり見てゆっくり話す。害はないと訴えかけるように。


「今は何事も無かったようにしましょう。これが2人にとって1番良い行動ですよ」


「……新井さんよね、仮眠しちゃってたわ。入っても良いわよ」


結美先生は渋々うちから距離をとって扉に向かう

保健室に入ってきた子は新井さんだった。


「失礼します」


真黒な髪色で艶があり綺麗だ。肩下まであり、前髪は長めで緑色の目が少し隠れている。

髪型をアレンジすれば清楚で可愛い感じになりそうだ。


「あ、こんにちは…」


新井さんはうちに気付き挨拶をしてくれた。

人見知りなのか控えめに言う彼女に既視感を覚える。


「こんにちは」


軽く会釈をする。


「今日は休みじゃなかったの?」


「休もうとしたんですけど午後にテストあるの思い出して来ました」


「偉いわね」


優しく言う結美先生。けど、いつもより笑顔が優しくない。うちのせいだろう。


「偉くないですよ…毎日学校来てる子の方が全然偉いです」


悲しく言う新井さんを見ると何かしてあげたくなってしまう。どうしてもある人物と似てるから。


「真面目に受けようとしてるのが偉いよ」


つい話しかけてしまった。

普段は話しかけないのに何故か今日は話しかけてしまった。


「私は毎日来てるけど、遅刻したり授業なんて真面目に受けてないよ。落書きしたり、考え事したり、こっそり居眠りしたり。やろうと頑張ってるだけで十分偉いと思う」


急に会話に入ってきたうちにおどろいて固まっている新井さん。それを見てお節介だったかもと思いすぐに謝ろうとしたが。


「ありがとうございます」


笑顔でお礼を言われた。

その笑顔を見てあることに気付き驚く。既視感の正体が分かった。


「あ、中島先生、今日も勉強教えてもらっても良いですか?」


「ええ…」


結美先生はうちをチラチラと様子見しながら新井さんと話し始めた。

新井さんは結美先生の近くに行き勉強道具を出す。その時に見えた鞄に着いているキーホルダーを見て、さっき気付いたことが勘違いでは無い可能性が高まる。


「ね、ねぇ…」


確認したくてしょうがなかった。

もしそうだったら怖いが知らないままでも怖い

なら知った方が良い。


「どうしました?」


「下の名前は…?」


「下の名前ですか?優奈です、新井 優奈です」


ドクンっと心臓が煩くなるのを感じる。

黒髪で緑目で大人しく笑顔が素敵で、お礼を言われた時に髪が揺れて見えた首元にある2つのホクロ

それは原作に登場する、主人公の妹の白鳥 優奈 ととても似ていた。


「…私は雨野 由香里、由香か雨野って呼んでね」


「はい、よろしくお願いします」


取り敢えず自分も自己紹介をしたが、どうしようかもの凄く悩んでいるため簡潔になってしまった。本当はもっと趣味とか色々話したかった。


苗字が白鳥だから似てるだけで別人じゃ?と思うかもしれないが、白鳥は再婚してその名前になった訳でまだ再婚していなくて今は新井かもしれない。


「新井さん、失礼な事聞いてもいい?」


「はい」


「お父さんは居る?」


「居ますよ」


不思議そうにしながらうちが求めていた答えが出てきて物凄く安心した。


「そっか…」


安心し膝の力が弱まるが何とか力を入れる。原作では幼い頃にお父さんを亡くしているはず。そして、主人公の父親と母親が再婚し苗字が白鳥に変わったはずだ。


「…?」


そんなうちにまだ不思議そうに顔を斜めにする新井さん。このままじゃうちが変な子だと思われるかもしれないから少し嘘をつく。


「私の知り合いに同姓同名の子が居てね、その子はお父さん居ないから聞いてみたの」


「そういう事ですか、私の知り合いにも雨野さんと同姓同名の方も居ないのでたまたまですね」


何とか信用してもらい取り敢えずこれは問題解決だ。

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