10話 異世界人
うちは話すと決めた。結美先生の優しさに応えてみようと、話したら少しは楽になるかなと思う。
それに、これまで溜めてきたものを吐き出す機会でもあるから。
「凄く元気で、優しくて、うちを導いてくれて、一緒に居て楽しくて、悲しいことなど忘れるほど安心できて、ずっとずっとそばに居たいと思える子で…」
逆効果だったかもしれない。どんどん佳奈に会いたくなる。会いたくて会いたくてしょうがないのに何も出来ない。願うことしか出来ない。
「素敵な子ね」
結美先生は優しく抱きしめてくれる。うちが泣いた時佳奈も優しく抱きしめてくれた。凄く暖かくて安心する。
「せんせぃ…」
安心からか、それとも佳奈を思い出してなのか、涙が止まらない。
転生した時あんなに泣いたのにまだ転生したことを認められず、泣きまくる。けど、不思議とあの時より寂しくない。
「佳奈もそうしてくれました…」
「親友さんのお名前?」
「はい…笹倉 佳奈…うちの大好きな親友です」
「素敵な名前ね」
優しくそう言う結美先生。
「はい…全てが素敵すぎる子です」
この世界に来て1番の笑顔で言ったかもしれない
佳奈はうちにとってそれほど大事な存在だと改めて思った。
「佳奈は原宿とか新宿とか都会って感じのところに行くのが好きでよく2人で行ってしまた」
「え…2人きり?」
結美先生の顔は見えないが声だけで驚いてることは分かる。
「はい。あの子ったら高校行く時1度妹のSuicaを持ってきちゃってて、子供料金でバス乗ろうとしちゃって注意されてたんですよ。うち目の前で見てたからその場で笑っちゃいました。本当に一緒にいて飽きないし話すことも耐えないし不思議でもありますよ」
笑いながら話すうちは結美先生を見ると、結美先生は驚いた顔をしていた。
うちが心の底から笑っているのを見て驚いたのかなと思ったが少し違う気がした。
「まって、6年前だから雨野さんは9歳で」
そう結美先生が言った途端うちは顔を真っ青をにした。
やってしまった。
親友と言うとうちと同い歳の可能性が高く6年前は9歳と思っていただろう。
だから、結美先生はあの時2人で?と聞いたんだ
9歳が2人きりで原宿や新宿に行くのは危なすぎる
そして、今高校生の時子供料金で間違ってバスに乗ろうとしたと言った。
つまり、高校生であるということだ。
9歳で亡くなっていると思っていた人が高校生であるのはおかしい。なら、年上の親友か?と思ったとしても9歳と最低でも15歳という6歳差である。
少し難しい関係だ。
「えっと…歳上の親友さんだったのかな?」
「は、はい…」
うちも大きなミスをしてしまい頭がパニックになり、信用しずらい返事になってしまった。佳奈のことを話す予定なんて無かったため言い訳も何も考えていなかった。
「親が凄く仲良くてそれで毎日のように会ってたら仲良くなって…」
「そ、そうなのね。私びっくりしちゃったわ、親友さんと雨野さん同い歳かと思ってたわ」
「あはは…」
気まづい空間が流れる。内心どうしようか慌てている。小学生と高校生が親友とか普通は無い話だ。
しかも見た感じ結美先生は信じ切ってない。
「ん…?」
結美先生の声に体が反応する。まだ怪しいとこがあるのかとどんどん不安になっていく。
「高校行く時に一緒に居たんだよね…。小学生でバス通学もあるにはあるわよね…」
やばいやばい。どんどん怪しくなっていく。冷や汗が凄くなる。
もう言ってしまっては?と思った。
結美先生は原作とは関わってないはず。結美先生のことを言ってそうなシーンも無い。
それにうちも少し楽になるかもしれない。1人で抱え込むのは苦手だ。
今すぐ誰かに言って一緒に考えていきたいと、そう思うこともたまにある。それに心を許せる人が居なくて、いつか疲れなどで押しつぶされそうだ。
「結美先生」
「どうしたの?」
決めた。言おう。
結美先生なら一緒に考えてくれるはず。
「うちの話おかしいと思いません?」
「え、えっと…不思議だなぁとはおもうわよ」
「うち、この世界の人間では無いんです」
はっきりと目を見て言った。
いつも優しく細められている目は大きく見開かれた。




