スイート・スイートルーム 2
「まー見てよコレ。結構進んでるだろ?」
優介は空中で紙をつかんでクルリと回し俺に見せる仕草をした。
「いや見えないし」
「あはは、そりゃそうだ。でも動き見て想像して。もう1冊目のクライマックスのページね。事前にペン入れまでしてあるヤツ」
「おう」
何も見えない。前にペン入れ前の下書きをザッと見せられた時の記憶では夏コミに出す1冊目はさくら渾身の男性向けオリジナル作品だ。
ヒロインはお嬢様大学の女子テニスサークル部長さくら。皆の憧れの的(笑)、清素(笑)で可憐(笑)な美人(笑)の社長令嬢(笑)さくらは真由美や飯田さんを連れテニサーの合宿に行き、そこでFラン大学に進んで疎遠になっていた高校時代の元同級生に再会する。
目付きが悪く常に口をを片方釣り上げたソイツは見るからに極悪人。なお表情を除けばソイツは誰が見ても俺ソックリである。
高校時代から嫌われ者で有名なクズ男(俺)はFラン大学でテニサーを作り、たまたま偶然同じ所に合宿に来たと言う。
美しく(笑)も凛々しい(笑)社長令嬢(笑)さくらは男湯と女湯の札が入れ替えられた事に気付かず1人で男湯に入り、クズ男(俺)とその手下に取り囲まれ無惨にもクズ男(俺)に初めてを奪われるのだ。VRゴーグルないから見えないけど。
「髪の所にバッテン打ってあるだろ?それをペン先でこう突いたら色を吸い出せる。ペンで髪の塗ってないトコをもう1回押すとホラ、髪に色が入った。同じ色だからバッテンは消える」
「見えね〜」
「賢人やさくらの肌、露天風呂の岩も同じように塗って、影のトコは濃い目に…床にはタイルのテクスチャを注入して仕上げにコレ!エアースプレー。絵の上に重ねたレイヤーにホワイトを細かく吹いて湯気の出来上がり」
「見えね〜って」
「エアースプレーはガン先を変えたら霧吹きさせずに出す事も出来るんだ。ここにホワイトを…どぴゅ」
「何が出た、何が」
『谷くん遅い〜早く〜』
「あれ、飯田さんの声」
「ハイこれ」
優介は紙を空中にツイッと投げる仕草をした。
『誰と話してるの?』
「山田だよ。僕のゴーグルは半透過にしたから見えるけど」
『え〜っ、私も見たい〜』
「待って、3Dセンサーと室内カメラの映像を合成したら飯田さんの方にも表示出来るハズ。出た?」
『見えた〜♡』
VRゴーグルを付けてない俺には女子部屋にいる飯田さんの姿は当然見えない。
「僕がベタッと塗っだけだと平板だから飯田さんが肌や髪に艶やテカリや微妙なグラデーションを付けて細かい仕上げをしてるんだ」
『山田くんのはこんな感じでいい?』
「俺の?」俺の何だ?
「そんな赤黒くしなくても」
「いや何を?」
『最初は辛子明太子を参考に描いたんだけどコッチの方がリアルよね?』
「どうせ消すんだから血管まで描かなくていいよ」
「お前ら俺の何をどう描いとるんじゃ〜っ!」
「だからナニを」
『こう描いてるよ?』
「コッチからは見えねーって!」
学園ナンバーワン美少女の飯田さんに俺のナニを赤グロく描かれてしまった。ぅおのれさくら!この借りは必ず返す!いずれきっと多分!




