▶なかまにする
「「ごちそうさまでした!!」」
兄妹2人は食べ終わると、パンっと両手を合わせて声を揃える。
「満足したようで良かったよ。
で、アンタ達、これからどうするんだい?」
ふい~っとお腹を擦っている2人に、ばぁちゃんが声をかける。
「どうって……どうと言われても…」
ウェルズ君は困ったように下を向いてしまった。
「ねぇ、お姉さん!リーは戦えるよ!
鳥は飛んでるから捕まえられなかったけど!ウサギは穴から出てこなくて捕まえられなかったけど!リーは戦えるよ!」
「え?鳥とウサギ以外で何と戦ったの?」
「お姉さんかい!気に入った!!」
「いやちょっとばぁちゃん?!僕の疑問は?!」
「リーは!リーね!熊と戦って勝ったのよ!!」
「「はい?!」」
「でも、兄ちゃんが捌けなくて、火がつかなくて食べれなかったのよ!」
「「は?」」
僕とばぁちゃんが驚いて固まってると、
「あー、うん。
リーが熊と戦ったのも本当。死んだがどうかわかんないけど、熊が倒れたのも本当」
ウェルズ君がイリィンちゃんを指差して続ける。
「リーは俺より戦闘のセンスはある。戦い方を覚えたらすぐに強くなると思う。でも、俺じゃ教えられないから、森で実戦しようにも、熊と戦って以来、強者の風格でも出てるのかなぁ、獲物が寄ってこないというか、見つからないんだよ。
多分、俺達の両親より強いと思う。だから、ダンジョンに入れたら良いところまで行けると思うんだけど、入れないからさぁ。俺が成人を迎えるまであと3年。どうしたものかと」
ウェルズ君はイリィンちゃんの頭をぐりぐりと強めに撫で回し、
「俺じゃ、リーの才能を伸ばしてやれない。
なぁ、お姉さん。コイツだけでも助けてくれないか?」
イリィンちゃんの両脇を持ち上げて、ばぁちゃんの前に差し出す。
「だぁぁぁあ!もぉお!!
アンタ達、そんなすぐに人間を信用するんじゃないよ!放っといたら、コイツらすぐに人攫いにでも合いそうじゃないか!!
いいかい、アタシ達は、これからダンジョンに入って稼ぐつもりだ。まぁ、この子、ユズリハがどのくらい体力が持つのかも検証するけどね。
そしてその後、別の大陸に渡るつもりなんだよ。
まぁ、この大陸にいる間だけでも、アタシとの約束を守れるなら、2人一緒に連れてってやろう。
ユズリハ、どうだい?」
「うん!僕達と一緒に行こう!!ダンジョンだけじゃなくて、センバにも一緒に行こうよ!」
僕はウェルズ君の手を取って、ぶんぶんと上下に振る。
イリィンちゃんは、わーーーい!と大喜びでそこらじゅうを飛び跳ね、ウェルズ君は「え?え?」って涙目で僕とばぁちゃんを何度も見る。
「1つ目の約束。アタシとユズリハの、名前以外で知り得た事を他人に言わないこと。
これだけは魔法契約を結んでもらう。
アンタ達は誘導尋問にすぐに引っ掛かりそうだからね。
魔法契約してるからしゃべれない、って言えば相手も諦めるさ。
良いかい?一緒に行くなら、今、ここで契約して貰うよ」
「そ、そんな事でいいの?」「はい!けいやくするよ!」
ウェルズ君はおろおろと、イリィンちゃんはシュタっとばぁちゃんの前に来て手を上げて宣言する。
「リー!!アンタはもう少し人を疑いな!」
「お姉さんなら大丈夫!!」
「あ、うん。リーの勘は良く当たるから。俺もお姉さんに従います」
「勘だけで生きていこうとするんじゃないよ。
…やだもう、コイツらに疑う心を持たせるにはどうしたらいいんだい。簡単に騙されるよ。
いやまずは魔法契約結んじまおうか」
ばぁちゃんが、もごもごと何かを唱えると、2人の喉に光が吸い込まれて行った。
「これで、アタシ達の事はしゃべれなくなった。
あとはその都度、アタシの言うことを聞くこと!勝手に行動しないこと!他人に何かを聞かれたらアタシに相談すること!いいかい、わかったね!!」
「「ハイ!!」」
「返事はいいんだよ、返事は」
ばぁちゃんが額に手を当て、頭を横に振っている。
なんかすっごく楽しくなりそうだね!!
ブル あとは、差し出された食いものにすぐ飛び付かない、向こうで食いものくれるって言われても、ホイホイついて行くんじゃないよ!!
リー・ウェル ハイ!!
ブル 返事は良いんだよ、返事は…
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