人を呼ぶ道具
「ユズリハの自分のお金も出来た。ユズリハが自分で使う調理道具が欲しいんだよ。店内を案内してもらっちゃどうだい?」
ばぁちゃんが僕に笑顔を向けながら言ってくれた。
「いいの?あと、あと、調味料も見たい!!」
「では、タチバナはブルーメ様ともう少しお話もありそうですので、私、カヤがご案内致しましょうか」
カヤさんが目線を僕に合わせてしゃがんでくれる。
「ばぁちゃん!いいの?いいの?」
「ああ、ちゃんと予算内に収まるようにするんだよ!」
「じゃぁ、カヤさんにこのお金預けとくから!これで買えるだけ買う!」
テーブルに有ったコインをじゃらじゃらとカヤさんの方にスライドさせようとしたら
「その買い物の仕方は良くないよ!自分の金だ、他人任せにしない!ちゃんと自分で計算して判断するんだよ!!」
「はぁい」
ばぁちゃんに腕を掴まれて、止められた。
「それがようございます。自分のお金、使えば無くなるという意識を持つのは大事でございます。
では、このお金を袋にお入れしまて、ユズリハぼっちゃんにお渡ししましょうか」
タチバナさんもニコニコと相づちして袋にお金を入れて僕に渡してくれた。
「うん!僕のお金!カヤさん、お買い物したいよ!」
「はい、では、ご案内致します」
ばぁちゃんに手を振ってから、カヤさんに連れられて、僕は店内を案内してもらう。
「では、最初に何からご覧になりますか?」
「あのね!僕が使う包丁が欲しいんだよ!ばぁちゃんのはちょっとおっきいんだ!あとね、切れないの!」
「…お話の間、包丁のメンテナンス承りましょうかね?ただ、まだ旅は続くのですよね?包丁よりもナイフの使い方を覚えた方がかさばらないし、簡単な料理にも使えて便利かと」
「両方みたいよ!」
僕は案内された包丁売り場で、見つけてしまった。
「カヤさん!!!これ、これ!!これ欲しいいぃぃぃい!!」
「えっとぉ……ユズリハぼっちゃんにはまだ早いかと?」
ショーケースではなく、別のケースに入って壁に展示されてる2本対になってる包丁。包丁?
ちょっと厚みがあって、刃が反ってて先が尖ってる。あれは刺さるね!
銀色の輝きは、待ってた、さぁ連れて行け、と言っている。
「いやだぁ!これ!これが僕を呼んでるのぉ!お金?お金足りない?いくら?ポーション作るからぁ!」
カヤさんのベストの裾を引っ張り包丁を指差す。
「えっとぉ、そうですね、あれはまたちょっと別枠と言いますか、ブ、ブルーメ様にご相談致しましょうか!」
「わかった!ばぁちゃーーーん!!」
僕は出たばっかりの部屋に大急ぎで戻って、ばーーーんと扉を開けて
「ばぁちゃん!!お金足りない?!」
「「は??」」
ばぁちゃんとタチバナさんがこっちを向いて怪訝な顔をして、フエゴさんは驚いて固まってる。
「お金足りない?ってなんで疑問系なんだい?ちゃんと計算して買い物しろって言っただろう?ってか、早すぎやしないかい?」
ばぁちゃんが呆れたように僕を見る。
「あのね!絶対に欲しい包丁があったの!でもね、カヤさんがばぁちゃんに相談しろって言うんだ!」
「はぁ??」
ばぁちゃんが意味がわからん、と首をかしげた所に遅れて到着したカヤさん。なんとあの包丁のケースを持ってきてくれている。
「ばぁちゃん!これ!!これ絶対欲しいの!これが僕を呼んでるんだよ!!」
カヤさんが、困った顔をしながら、ばぁちゃんに見せるためにケースをテーブルの上に置く。
「うおぉーーい…マジかぁ……」
タチバナさんは額に手をあて、天を仰ぎ
「なんだいこれ?本当に包丁かい?」
ばぁちゃんが上から横からと包丁を眺め
「ッ?!!!」
フエゴさんはムンクの叫びを素でやっている。
…ん?
ムンクの叫びってなんだ?
カヤ しょっぱなでこれを欲しいがるユズリハ様はさすがなんですか…
ブル アタシの包丁でも少し大きいと言ってたんだよ?ユズリハの身体の大きさで、これは無理だろ?
ユズ 大きくなるから!!もうちょっとしたら大きくなるから!!
ブル エルフの言うもうちょいの定義は、10年単位だぞ?
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