全身全霊の協力体制 2
タチバナさんが、滔々と語り出す。
「我々センバ一族は隣の大陸からやって参りまして、ええ、我が領地には〝魔の森〞と呼ばれる魔獣がうじゃうじゃいる森がございまして。定期的に〝魔獣暴走〞、森から魔獣が溢れ出る現象が起こります。
それを止めるのに〝勇者の再来〞と「勇者!!カッコいい!!」
ユズリハぼっちゃんも勇者にご興味が有りますか!
ええ、イツキ・センバというのが我が一族の祖でございまして、かの者が勇者として魔王を」「魔王?!」「ユズリハ、一回黙って全部の説明を聞こうか」「あ、ごめんなさい」
僕は前のめりになってたけど、ばぁちゃんに首根っこ捕まれて戻された。
「いえいえ、こんなにワクワクとした顔で、我が一族の話を聞いて貰えると嬉しゅうございます。
では、続けますね。
勇者イツキ・センバが見事魔王を倒した後に、魔獣蔓延る魔の森を治める領主の娘と結婚し、センバ辺境伯となり、魔獣の脅威からも領地を救ってくれた、まさに勇者がうちのご先祖様なのですが、その魔獣暴走に対応するためのように〝勇者の再来〞と呼ばれる幼い頃から尋常じゃない強さの者が生まれます。
そして、百十数年前、前回の魔獣暴走の時、勇者の再来として戦ったのがイチイ・センバとシラヌイ・センバの両名でして。
勇者の再来が2人居るという異常事態。
魔獣暴走も、大型魔獣と呼ばれる異常な大きさの魔獣が多数出現するというとんでもない事態だったそうですが、
なんと!
死者を1人も出さずに乗りきったのです!
その立役者が勇者の再来であるお二人と、もうお一方。
ユーディリア・センバ。
勇者の再来であるシラヌイ様の奥様でございます。
この方が作ったポーションがこれまたすごい効き目で、しかもすごい量をご準備してくださったようで、それにより、当時のご領主様に甚大な被害が出たものの、死者数ゼロという偉業をなし得たのでございます。
そして、勇者の再来達の晩年、センバの地にやって来られたのがエルフのブルーメ様。
このお方は、なんと!
お年を召したと言えど勇者の再来であったイチイ様シラヌイ様のお2人相手に試合で勝ち!信頼を得ると、
おひとり、魔の森に入り魔獣をなぎ倒し、奥地にあるという幻の果物を持ち帰り!
尚且つ、エルフという種族の特性を生かし!
魔獣暴走の時にユーディリア様がお作りになられた特別性のポーションを見事再現することに成功!
勇者の再来達のお命を救ったと言われております!!
そんな歴史的偉人とご交流のあったブルーメ様がご存命であらせられるなど!
そして今!
いつ魔獣暴走が起きるかわからない状況でブルーメ様にお逢い出来るなど!
まさに武神様の采配!!
ええ、全身全霊をもってお役に立たなくては!!」
上を見上げて祈ったと思ったら、ばぁちゃんに向かって握り拳で気合いを入れて向き合うタチバナさん。
その後ろでうんうんと高速で頷いているカヤさん。
「え?アタシは経験してないんだが、魔獣暴走が起きそうなのかい?」
ばぁちゃん、悪い顔になっているよ?
「ええ。実は今、勇者の再来であろうと言われている人物がおります。
かの者が20歳までに、魔獣暴走が起きると言われております。
あと10年以内と予想されています。
センバの職人達も素晴らしい腕ではございますが、噂のドワーフ製の武器を求めてこちらに渡り、どうせなので手広く商売をしております」
「ん?ってことは、10歳かい?ユズリハ、お前と同じ位の年ってことじゃないか?」
「お友達になれるかな?!」
勇者とお友達!!ちょっとカッコいいんですけど!!
「なんと!!ヒイラギ様とのお友達希望!!
ああ武神様!!素晴らしい出会いをありがとうございます!!!」
全力で祈るタチバナさんの後ろに、ぺっかーんと後光がさした。
うん、ばぁちゃん。
僕にもマッチョがポーズを取ってる姿が見えちゃったよ。
??? マッスル!!!
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