全身全霊の協力体制
案内された部屋には、ソファがあり、ばぁちゃん、僕、フエゴさんの順番で座る。
おおぅ、ふっかふっか!
するとすぐに飲み物を持ったお姉さんが入ってくる。
「失礼します。お子様にはリンゴジュースをご用意したのですが、お嫌いではございませんか?」
「リンゴジュース!僕、大好き!」
「良かったです。搾りたてでございます、お気に召しましたらお代わりもございますので、遠慮なくお申し付け下さい」
「ありがとう!ばぁちゃん、飲んでも良い?」
「せめて挨拶してからにおし!いつも言ってるだろう!礼儀は大事だよ!」
「そっか、そうだね!じゃ、待つよ!」
僕はぴしっと背筋を伸ばして座り直す。
「とても素直な良いお子様ですなぁ。せっかくユズリハおぼっちゃんが我慢して下さってるのです。
挨拶を先にさせていただきます。
私、センバ商会ドワーフ支店店長を務めさせていただいてますタチバナ・センバと申します。
こちらに控えておりますのが、妻で秘書のカヤ・センバでございます」
お盆を持ってタチバナさんの後ろに控えるお姉さんも一緒にお辞儀をする。
「丁寧にありがとう。アタシはブルーメ。気づいてそうだが、エルフだ。この子は孫のユズリハ。で、あっちのドワーフはアタシの昔馴染みイグニスの孫、フエゴって奴だ」
ばぁちゃんが僕達を紹介すると、タチバナさんは驚愕の表情で固まり、カヤさんも両手を口に当てて目を見開いてる。
「なんだ、どうした?」
ばぁちゃんがこてん、と首をかしげて二人を見る。
「なんと、なんと…!!!
スミマセン、ただいまちょっと取り乱しております。落ち着きますので、はい。あ、そうぞ、お茶をお召し上がり下さい!!!
かかかか、カヤ!!!どうしよう!歴史的瞬間だぞ!!!」
僕達の飲み物をすすめた瞬間、ぐるんっと後ろを振り返ってカヤさんにおもいっきり相談してる。
「ええ、ええ、そうね、私もそう思うわ!!よもや私達の代でこんな幸運に巡り会うなんて!!最上級のおもてなししなくっちゃ!!ちょっとお菓子持ってくるわ!!!」
「そうだな!!頼んだ!!」
カヤさんは飛ぶような早さで部屋を出ていく。
「あああ!!なんて素敵な日だ!!武神様!!今日と言う日に感謝します!」
タチバナさんは、空に向かって手を合わせてる。
「武神様って、相変わらずセンバは…ここは商売の神様じゃないんかい!」
「センバは100年前から武神様一筋です!!」
手を合わせたままのタチバナさんがこっちを向いて叫ぶと、なんか後ろに後光が射したような?
「…なんか、今、マッチョポーズ取るキラキラした影が見えた気がしなかったかい?…いや、気のせいだな!うん、そうだな!
ユズリハ、ジュースいただきな!」
ばぁちゃん、なんかごまかしてるね?
「人生、知らぬが花ってこともあるんだよ!!」
そう言ってばぁちゃんもお茶を飲む。
「俺はなんでここに居るんだ…?」
フエゴさんが遠くを見つめていると、ばーーーんと扉が開いてワゴンにお菓子を山盛りにしたカヤさんが登場した。
「さぁさぁ、出来合いのものではございますが、今ご用意出来る様々なものを持って参りました!!
ささ、お好きなものをたんと召し上がれ!!」
そう言って見たこともないようなお菓子を次々並べていく。
「これ、食べて良いの?!!」
僕は嬉しくなって身を乗り出した。
「食べ過ぎるんじゃないよ!晩ごはんが入らなくなるだろう!」
「そうですわね!食生活、大事ですわ!では、食べきれなかったものはお持ち帰りいただけるようご用意いたしますので、1つか2つにいたしましょうか!さぁさぁ、皆様、お選びくださいませ!」
カヤさんもばぁちゃんの言葉に賛同する。
「な、なぁ、なんで初対面でいきなりこんな厚待遇なんだよ?」
フエゴさんがカヤさんの勢いにたじろいでるけど、僕はお菓子めっちゃ食べたい!!
「おや!フエゴさん、とお呼びして構いませんか?「お、おおぅ…」
フエゴさんはご存じない?昔馴染みというお爺様からお聞き及びでない?
センバにとって〝ブルーメ様〞と名乗るハイエルフは歴史的偉人に等しいのです!!」
タチバナさんは身を乗り出し力説し、カヤさんは高速で頷いている。
ばぁちゃんは、遠い目をしている。
…ばぁちゃん、何したの?
フエゴ …アンタ、センバ商会でも恐怖の大王な所業したのか?
ブル 失礼な!歴史的偉人って事は、恐怖じゃないよ!…多分?
店長 勿論ですとも!センバは武神様を信仰しておりますので、強いは正義です!
フエゴ それは常人には恐怖の大王なんじゃねぇか?!
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