ぼったくり?
「なんでこんな入れ物に入ってんだ?まぁ、品質は…下の上か?買い取るぜ」
瓶をさっと取ろうとする店の人。
「ちょっと待ちな!品質が下の上ってのはおかしいね?中の上だよ?」
ばぁちゃんがカウンターに身を乗りだし、瓶をしまおうとする手を止める。
「いやいやいやいや、そんなわけないね、これだから素人は…」
「はぁ?!300年以上ポーションを作り続けてるエルフに素人だ?おい、フエゴ!この店はダメだ。他へ行くよ!」
ばぁちゃんは、バシッとお店の人の手を払い、瓶を取り戻す。
「い、いや待て!おいフエゴ!俺とお前の仲だよな?ここに卸すようにお前からも言ってくれ」
「まぁ、ここしか馴染みの道具屋はねぇっちゃ、ねぇんだよなー」
フエゴさんは、ヒゲを撫でながら、呑気に答えている。
「そうだろうそうだろう!ここじゃなきゃ、初見の客なんて、もっと買い叩かれるぜ!」
「……、じゃぁ、1瓶だけ売ろう。品質は中の上だ。これは譲れないね。いくらになるんだ?」
ばぁちゃんは、1瓶だけカウンターに戻す。
「3瓶セットで売ってくれるなら、銀貨5枚出すよ。1瓶なら銀貨1枚だけだね!」
「なんだそりゃ?この瓶1つでポーション5つは取れるんだよ?それが銀貨1枚たぁぼったくりじゃないか!!」
「アンタがここで売り買いしたのは200年も前なんだろう?!今じゃ価格が違うんだよ!」
バン!と机を叩いて立ち上がる店の人。
「ハンッ!おい、フエゴ!売るのは止めだ!買い物に行くよ!」
ばぁちゃんは睨み付け、さっさと瓶を回収して出ていこうとする。
「ちょ、待てよ!金がねぇんだろうが!さっさとそれを置いていきやがれ!!」
店の人がカウンターを乗り越えて来た所で、ばぁちゃんが「松雪!」と叫ぶとお店の人は氷の中に閉じ込められた。
「正当防衛だよ。暴力的に商品を奪おうとされたから止めた。そんだけのこった」
仁王立ちのばぁちゃんに
「ばぁちゃん!頭にきても店ごと破壊しないなんて、やれば出来るじゃん!!」
僕はばぁちゃんに駆け寄って抱きつく。
「そうだろうそうだろう!!しかも今回はユズリハに害を与えてないからね!アタシだってやれば出来るんだよ!
さぁ、ユズリハ、買い物に行こう!おい、フエゴ!!さっさと行くよ!!」
僕の手を取り、ばぁちゃんが店を出ようと扉へ向かう。
「いや、ちょっ!待てよ!あれ、あのままかよ!!」
フエゴさんが慌ててドワーフの氷像を指差す。
「アンタらドワーフは火の精霊が付いてんだろ?そのぐらい自分で何とか出来んだろ?」
フンっと鼻で笑うばぁちゃん。
「いや、ここ50年ぐらい、精霊と契約出来ないドワーフが増えてんだよ。アイツもそうだ。火の精霊は付いてない…」
しょぼんとして言うフエゴさん。
「は?(もしかして、精霊樹がおかしかった影響が出始めてるってことかい?)」
ばぁちゃんが小声で松雪に聞いてるけど、松雪も首をかしげてる。
「フエゴさんは契約してるの?」
僕が聞いてみると、
「あ、ああ、俺は契約出来てる。サラマンダー!」
ぽん、とフエゴさんの肩にのる赤いカメレオンっぽいもの。おお、爬虫類系の精霊、初めて見た!!
フエゴさんの肩越し、精霊を見つめるのは僕だけじゃなくて、
氷像の中のドワーフも、憎むようにフエゴさんの精霊を睨み付けていた。
ブル フエゴ。お前、他人の感情に無頓着すぎなか?だから騙されんだよ。
フエ んなぁ?!騙されたのは親父だぞ?!
ブル 親子揃って無防備だったのか。お前ら、本当にイグニスと血が繋がってんのかい?!
フエ 遠回しに爺ぃが褒められてる?!
ブル 直接的にお前をけなしてんだよ!
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