ぼろ、趣が出ちゃった理由
「でもさぁ、これだけ美味しいのに、なんでこんなに暇なの?」
「チビすけ、どストレートに聞くのな?!」
だって、不思議なんだもん。
「まぁなぁ、アンタらは余所もんだし、知らねぇわなぁ。
…まぁ、早い話が、商売敵に負けたっつーこったな」
「なんだい、負けっぱなしで良いのかい?」
ばぁちゃんがニヤっと悪い顔で聞く。
「って言ってもよ、俺じゃねぇんだよ、親父がやらかしたっつーか?
元々はここでやってたんじゃねぇ、親父がやってた店が大通りに有ったんだがよ。
まぁ、言っちゃなんだが、親父の腕はドワーフで一番だったんだよ。
俺が成人したら、親父の師匠っていう店に修行だ、っつって出されてよ、5年したら俺と親父と一緒に切り盛り出来る店に改装するってよ、それまでに資金を貯めてみせるとか大見得切ってたくせに、
俺が知らねぇうちに借金で回らなくなって、夜逃げした、って聞かされたんだよ。
親父がそんなわけねぇ、って言ってもよ、契約書はあるし、親父は居ねぇし、俺に会わせる顔がなくて逃げ出したんだろう、って、店と土地で借金はちゃらになるから、俺にまで背負わされなかったことに感謝しろ、とか言い腐りやがってな。
俺は関係ねぇ的な話だったくせに、俺が修行してた店にまで、俺にネチネチ嫌みを言いに来るガラの悪い奴らが出入りするようになって、店に迷惑かけたくなかったからよ、辞めたんだよ。
そしたら、婆ぁが去年死んで、婆ぁの実家だ、っつって遺産で転がり込んできたのがココ。
自分で店の風体にまで直したんだがなぁ、素人じゃこれが限界だわな」
おじさんは腕を組み、部屋を見回しながら言うけど、
「アンタ、これ自分でやったのかい?!」
「仕方ねぇだろ?金がねぇんだ、自分でやるしかねぇだろう?」
「大工仕事が壊滅的に向いてないんだねぇ…」
「…ック、味で勝負だよ、味で!!」
「いやぁ、味の前に、お店に入って貰えなきゃ味もなにもないだろう?」
「だから、誰も入ってないんだね!」
「チビすけ!どストレートすぎんだろ!!」
だって、本当にそう思うんだもん!
「いやー、これは屋台出した方が良いんじゃないか?」
ばぁちゃんも腕を組み、見回しながら言う。
「アンタもそう思うか?いや、俺も、店で客が来るの待ってるより、こっちから行った方がいいんじゃないか、って気がしてきたんだよな」
「「この店じゃ、ねぇ?」」
「クソッ、親子でハモりやがった…」
「でもさぁ、お金が無くて屋台も自分で作るつもりなら、屋台もダメじゃない?動かせるようなもの、作れるの?
このおじさんは無理じゃない?」
僕も腕を組んでみる。
「ック…」
「ぷはっ、ユズリハ、アンタも傷口えぐるねぇ…」
おじさんは頭を抱え、ばぁちゃんは思わず吹き出した。
「ねぇ、ばぁちゃんなら作れるの?」
こてん、と首をかしげて聞いてみた。
「当たり前だろう!
天才のアタシにかかれば、屋台なんてちょいちょいだよ!!」
ばぁちゃんが胸を張って答える。
「ばぁちゃん、カッコいい!!作るの見たい!!」
僕は拍手した。ばぁちゃんのモノ作り、見てるの楽しいんだ!
「そうかい、そうかい!!カッコいいアタシの姿を見たいかい!!
よし、ユズリハもこう言ってるし、イグニスには世話になったからね!!
屋台を作ってるその間のアタシらの飯を用意出来るなら、アタシが作ってやろうか!」
「え?アンタが?」
「はぁ?!疑うのかい?!!」
「そうだよ、うちのばぁちゃんすごいんだから!!」
こんなに出来るのに、何故料理だけは壊滅的なのか、めちゃくちゃ不思議なんだから!
「…ユズリハ、変なこと考えてないかい?」
「全然考えてないよ!!」
普通の日常のことだよ?
「…まぁいいや。そうと決まれば、屋台を見に行こうか!まずは実際営業してる屋台の作りを見ないとね!
ほら、アンタも行くよ!!」
「俺もか?!」
「実際使うのはアンタだ。イメージしなきゃダメだろう?」
「そ、そうか。本当に作ってくれるのか…
よし、なら、その間の飯は俺に任せろ!!」
「あ、あと、調味料とか、ユズリハに教えてくれ。今後の旅の食事に使えそうなものもな」
「任せろ!!」
そんなこんなで、3人で町に繰り出すことになった。
ユズ ばぁちゃん、こんだけ何でも出来るのにねぇ
ブル なんだいユズリハ、言いたいことがあるならハッキリお言い?
ドワーフ じゃ遠慮なく。いくら美人でも、こんだけおっかなきゃりゃ、なぁ!それにドワーフの好みってのは、もっとこう筋肉質で
ブル アンタにゃ聞いてないよ!!
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