炭焼き小屋にて
「俺の名前はベルク。まぁ、ご覧の通り、山の民だ」
僕達はベルクさんのご好意に甘えて、炭焼き小屋で休ませて貰う事にした。
「山の民ってのは、鉱脈なんかを堀当てるのが得意でね。んでもって、黙々とそれを掘ってるんだよ。鍛冶屋のドワーフ達はお得意様でね。
だから皆、土やその上位の属性を持ってるが、俺は水も持っててね、どうにも嫌われてるのさ」
ハッと鼻で笑うようにベルクさんは話す。
「何で?土と水はエル…」
もがっと、ばぁちゃんに口を押さえられた。
「植物を育てるには、そりゃ良い属性さ。
でもねぇ、金属、鉱物を扱うヤツらには水は、あんまり好かれないねぇ」
「なんで?」
こてん、と首をかしげて聞いてみた。
「好かれないどころか、嫌悪だよ。
錆びる原因になるのさ。
あと、まぁ精霊が居るから滅多な事はないんだが、水脈を当てちまうと、坑道が水没しちまうだろ?大惨事だ。
そこまで行かなくても、水が出ると掘り進められない。
水属性は水を呼ぶ、ってね、締め出されたわけだよ。
まぁ、そんなわけで、ここには俺と俺の契約精霊だけだ。気楽に過ごしてくんな」
「助かるよ。
肉と森で取れたもんでご飯にしようか。なぁ、調味料はあったりするかい?使わせてくれたらご飯をご馳走するよ、この子が」
ばぁちゃんが僕の頭にぽん、と手を置いた。
「お、おおぅ、アンタが作るんじゃないのか?」
「ダメだよ!ばぁちゃんに作らせたら、食材を無駄にするだけだよ!」
「…ハッキリ言うのな?」
「事実だもん!」
「ハッハッハ!そういうわけで、ユズリハが作るからね、期待してておくれ!」
「お、おぅ。と言っても、うちにもそうそう何もないぞ?」
と言って、案内してくれた台所。
「ええ?!見たことない調味料あるよ!味見していい?!!」
僕は嬉しくなってベルクさんに聞いてみる。
「しょっぱいぞ!ドワーフの町には飯屋も沢山あるし、ドワーフは大酒飲みだからな、つまみも豊富だ。
ドワーフの町に行けばこのくらい普通にあるぞ?」
「ばぁちゃん!!絶対ドワーフの町に行こうね!!買い占めようね!!」
「それは良いんだがね、ドワーフの町じゃ、物々交換出来るかい?貨幣かい?」
「ああーー、何か売れるようなものは持ってるかい?途中で肉を狩って行けば、それも売れるっちゃ売れるな」
「あるにはあるが…ポーションの需要はあるかい?」
「ああ!アンタ達は薬師かい!だから森で迷ってたのか!ポーションなら売れるぞ!というか、俺にも1つ売ってくれないか?!」
ベルクさんは、ばぁちゃんの肩をガシっと掴んで迫る。
「見たところ、どこも悪くなさそうだが?」
ばぁちゃんは、ベルクさんの手をバシっと払って距離を取る。
「ああ、すまない、乱暴するつもりじゃなかったんだ。
実は、俺の精霊がなんか元気ないんだ!ポーションは精霊にも効かないか?!」
「…普通のポーションは精霊にゃ効かないよ」
「そ、そうなのか。でも薬師なら、なにか原因はわかったりしないか?」
ベルクさん、手は出さないように後ろに組んでるけど、グイグイ顔を近づけてくる。
「わかるかどうか、わからんよ。しょうがない、まずは見せてみな」
ばぁちゃんがのけ反りながらも、精霊のためなら、と承諾する。
「本当か!!ありがとう!ありがとう!よし、さぁ出てきておくれ!」
ベルクさんが呼ぶと、テーブルの上に出てきた物体が2つ。
ペタン、と、うつ伏せになったカワウソさんと、その背中を撫でながら、心配そうにこっちを見るもぐらさんがいた。
ブル 山の民、普段他人と交流しないから距離感がおかしいよ!
ユズ でもそれだけ切羽詰まってたんでしょう?だってカワウソさん、つらそうだもん。
ブル まぁなぁ、これじゃぁ、なぁ…
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