出立
【昨日は良いものを馳走になったからの、我らからの餞別じゃ】
そして翌朝、僕達が出発の準備を終えたころ、精霊王さま達がわざわざやって来てくれた。
【約束通り、よく熟れた果実を探してきてあげたわ!】
銀色のお嬢さんが両手一杯の果物をくれた。
「すごい!こんなに美味しそうなの見つけるなんて流石精霊王さまだね!嬉しい!ありがとう!!」
【ふふん!私にかかればこのぐらいお手の物よ!だからまた来なさい!】
うん、かえでに似てるね!
【うふふ、この子達はこの木の枝が欲しいんでしょう?1本お持ちなさいな。付いてる葉を食べても良いわ】
青色のお姉さんが、木の枝、っていうか、最早、木?僕の身長より大きい、切ったばっかりって感じの木を差し出してきた。
「わん!」「メェ!」『『精霊王さま、ありがとう!!』』
「わびすけ、ムクも良かったね!精霊王さまありがとう!!んじゃ、しまっておくからね!収納!」
おっきなものがシュルンって入るの、いつ見ても楽しい♪
【おまえ、綺麗な石が欲しかったんだろう?マグマから拾ってやってきたぞ】
「わん、わん!!」『ぴっかぴか、ぴっかぴか!!』
「ちょっと待ちな!なんかの宝石の原石じゃないかい?!アタシの拳ぐらいあるじゃないか!そんなもん齧って遊んじゃダメだよ!!」
ばぁちゃんが慌てて止める。
【一番硬いのを選んできたから、大丈夫だろ?】
「…一番硬いって、ダイヤモンドじゃなかろうね?」
【ああ、人間ではそんな名前だったか?】
「違う意味でいろいろマズイよ!絶対に絶対に!誰か他人に見せちゃダメだよ!」
「わん♪わん!」『もみじだけの宝物♪ユズリハだけ貸してあげるわ!』
「んんんにゃああああ!!!!」『アタクシだけ、何もないのぉ!!!!』
【【【【あの羽だけはダメだ!!!】】】】
精霊王さま、全員に止められた。うん。拐われたら大変だもんね!
【そなた達は世界を旅するのじゃろう?頼まれてくれんか?】
金色のお兄さんが苗木を2本出してきた。
【そなたにエリクサーを沢山作って貰ったじゃろ?
それで苗木が2本取れたのじゃ。
他の大陸に、1本づつ植えてエリクサーをかけてやってくれんかのぅ。
そのうち、このちっさな実から世話係が生まれる。さすれば、精霊樹も育つはずじゃ。
世界の精霊が激減しとるでの、世界樹の負担が増えておる。
世界樹が枯れたら世界も終わるからの、大きな意味では世界を救う旅じゃな!】
アッハッハッハッハと笑いながら、金色のお兄さんは、しゃがんで、僕に苗木をおしつける。
【精霊樹で出来たロケットの方がこの苗木達も居心地がよかろう。
月に1度出してエリクサーを数滴たらした水を与えておくれ。
植える場所はこの子達が教えてくれるからの、勝手にその辺に植えるでないぞ?
では、頼んだからな!達者で過ごすのじゃぞ!!】
そう言って、精霊王さま達は、手を振ってキラキラ消えてった。
僕は腕に残った苗木2本とばぁちゃんを、交互に見るしかないじゃんか?
「最後にとんでもない爆弾おしつけやがった!!!
しかも!!
こういう時は、見送る側はアタシ達が出発するまで居るもんじゃないんかい!!」
ばぁちゃんの叫び声は、森に吸い込まれていった。
ブル ック!精霊王もやっぱり人外!最後の最後、人としての配慮はなかった…
ユズ でも、美味しい果物いっぱい貰ったよ!
リス そうよ、感謝しなさい!!
ブル リス、アンタが一番図々しいよ…
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