坂下
3
僕は朝目を覚ました。スルスルとベッドを抜け、タバコに火をつけた。時計は5時45分を指していた。
猫がにゃあと足元へやってくる。僕は猫を撫でた。コーヒーを入れてスマホを開くと、一宮から連絡が来ていた。
「37500発行きました」と1文が添えてあった。
僕は水筒に水を入れ、散歩に出かけた。
朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、歩みを進めた。
僕の住んでる地域は比較的田舎だけど、完全に田舎かと言われるとそうでもない。立ち並ぶ一軒家の間を抜けると、森林公園が現れる。行き交う人たちは犬を連れていて、みんな幸せそうに僕に挨拶した。
犬を飼っている人々は何がそんなに彼らを幸せにするのだろう。
おそらく犬を飼っているのだから一軒家に住んでいるのだろう。そして、犬は人間と違って様々な面倒事を家庭に持ち込む。その面倒事が住人たちを幸せにしているのではないか。
僕は散歩を終えて家に帰った。彼女が目を覚ましてきた。
「おはよ」
「散歩?」
「うん」
「今日はボール拾い」
「マユ、ボール拾いは夕方からだ」
「あう…」
「モーニングを食べに行こう、マユ」
「カレー残ってるよ?」
「カレーは昼にうどんを入れて食べよう」
「は〜い」
マユは眠そうに目をこすりながら、僕の手を握った。




