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恭介

 俺は窓際の席に座った。店は空いていて、いつもの常連の婦人二人が甲高い声で雑談していた。

 「何頼む?」直子が聞いてきた。

 「デミグラスオムライス」

 「あんた好きね、それ」

 「俺は飯なんか食えればなんでもいいんだよ」

 「舌がお子ちゃまだわ」

 「はいはい」

 「それでさ......」直子は沈黙してお腹をさすった。じっとこっちを見つめてくる。

 もういい。そんなこと言われなくてもわかってる。

 「もう少し、考えさせてくれ」

 「うん......」直子はバックヤードに姿を消した。

 俺は直子の背中を見送った。すぐに店長の田中が姿を現した。

 「恭介、直子ちゃん妊娠したんだって?」

 「はい」

 「まだ大学生だけど、どうするの?」

 「いやぁ......」

 「俺は産むのも悪くないと思うよ。うちの子も二歳だけど、すごい可愛いし」

 「社会人になってからの方がいいと思うんすよね」

 「そりゃ、そうだよ。何にでもお金はかかるし」

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