表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幕府は、俺が守る――1853年7月8日、浦賀沖から始まる歴史改変  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
64/70

第六十四話 新体制

「帰ってきた」


 岩瀬忠震が俺の前に立った時、そう言った。


 江戸を離れていた間に、少し顔が変わっていた。細くなっていたが——目の奥に、落ち着きがあった。地方での日々が、何かを整理させたのかもしれない。


「お帰りなさい」俺は言った。


「……あの時は助かった。本当にありがとう」岩瀬が言った。


「いいえ——」


「礼を言わせてくれ」岩瀬が遮った。「川路に聞いた。お前が動いてくれたから、俺は逮捕を免れた。それだけは、はっきりと言いたかった」


「生きてお帰りになってくれたことが、俺には一番大事なことです」


 岩瀬が少し笑った。


「相変わらず、変わった言い方をする」


「これからが本番です」俺は言った。


「本番」岩瀬が頷いた。「そうだな。安政の大獄は終わった。しかし——幕府の問題は何も解決していない。外国との条約は続いている。尊王攘夷の声は高まっている。薩摩や長州が力をつけている」


「全部、その通りです」


「神田——お前、この先どうなるか分かるか」


「分かりません」俺は言った。「以前は、ある程度の予測ができていました。しかし今は——違う歴史になっています。俺の知識が使えない部分が増えています」


 岩瀬が俺を見た。「ある程度の予測ができていた」という言葉に、聞こえた気がした。しかし問い詰めなかった。


「では」岩瀬が言った。「一緒に考えるしかないな」


「はい」


 幕政の再編が始まっていた。


 越前の松平慶永が幕政参与として力を持ち始めた。川路が記録整備の役割で幕府内に残った。一橋慶喜の発言力が少しずつ戻ってきた。


 俺が作ってきた人脈が、ようやく動き始めた感触があった。


(改革派が主流に戻った。これが第一の目標の達成だ)


 しかし喜んでいる時間はなかった。


「薩摩から使者が来た」川路が翌日に伝えてきた。「幕府の今後について、話がしたいということだ」


(薩摩。改変した幕府を、薩摩はどう評価しているか——史実の地図のない世界で、それを俺は読めない)


「慎重に対応してください」俺は川路に言った。「今の段階では、軽くは動かない方がいい」


「分かっている」川路が言った。「しかし——相手の出方を見る良い機会でもある」


「そうですね」


 足場が固まりつつあった。しかし次の問題が、既に来ていた。


 そして翌日、勝海舟から「そろそろ来い」という短い書状が届いた。

続きも本日更新予定です。よろしければ次話もお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ