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「少しだけ、知ってるの。だから私が、これからどうなるのかも……」


「その未来を……アナタは、望むのですか?」


「子供は欲しいけど、その先の未来は嫌」


 子供……それって。

 頭に、一つの考えが思い付く。私の親が、もしかしたら――ここにいる女性なんじゃって。




「――だったら、変えればいい」




 力強く、男性は言葉を続ける。


「言ったでしょう? 私は味方だと。アナタが変えたいと思うなら……私も、力になります」


「……本当、あなたは優しいですね」


 途端、目の前を突風が吹きすぎる。

 それに身を硬くしていれば――景色が、段々と消え始める。そして目の前が暗くなるにつれ、ここまでなのだというのを理解した。


 ――――――――――…

 ――――――…

 ―――…




「――――目が覚めたか」




 怪しい笑みを浮かべ、男性が私に話しかける。


「生きていて何よりだ。丸一日起きぬから、このまま目覚めぬのではと心配した」


「っ、ぁ……」


 言葉が……出てこない。

 何が起きているのかわからず、私は男性を見た。


「まだ、横になっていた方がいい。これから、薬を入れるのだから」


 そう言って、私の近くに別の男性がやって来る。袖をまくりあげると、男性は私に、何かを注射した。




 ……ドックン。




 心臓が、大きな鼓動をたてる。

 体の中をなにかが浸食していくような、嫌な感覚。




 ……ドックン、ドックン。




 鼓動が、速さを増していく。

 体中が熱を帯び始め……細胞の一つ一つが、焼けるように感じられた。




「さぁ、本来の姿に戻るといい。――赤の命華である、本来の姿に」




 意識が……朦朧もうろうとする。

 焼けるような熱さに、私は身をよじった。


「上手くいっているようだな。――叶夜、姫を運べ」


 そばに来たのは、無表情の叶夜君。

 大丈夫? とか、色々話しかけたいのに……。声も体も、思うように動いてはくれなかった。


「我の後に続け」


 頷くと、叶夜君は私を抱え、男性と共に外へ出た。

 その間にも、心臓は狂ったように高鳴り、息が詰まりそうなほど、呼吸も乱れていた。

 叶夜君……また、戻っちゃったんだ。

 私の顔なんて一切見ず、ただ前だけを見て走って行く。




「――――ここでいい」




 男性が足を止める。

 そこには大きな滝があり、私たちはその裏を歩き、奥へ進んで行った。


「ここから先は、お前一人で行け」


 頷くと、叶夜君は男性に私を託し、一人奥へと進んで行った。


「な、に……きょう、や君は」


「何をするのか知りたいか?」


 怪しく微笑む男性。

 なんとか頷いて見せれば、男性は楽しげに語り始めた。


「叶夜は今、箱を取りに行っている。それには大きな力と、我の求める者が封印されている」


 ――――は、こ?

 目の前に、いつかの夢の光景が見える。

 長い黒髪の女性が持っていた物。男性が言ってるのは、その箱なんだと理解した。


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