表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/189

/4 


 真っ赤に染まった地面を見てから数日。

 危険な目に合うこともなく、平和な生活を送っているのだけど――気になることがあった。それは、叶夜君のこと。あの日から見かけることがなくて、やっぱり……私が怖がったから、だから話したくないのかと、教室の窓から外を眺めていた。


「美咲~? お昼行かないの?」


「あ、うん。――今行く」


 杏奈に誘われ、一階にある食堂へ向かう。

 気を遣ってか、色々な話題をふってくれているというのに……心は、上の空だった。

 本当、どうやったら話してくれるんだろう。

 まずは避けられないようにしなくちゃだけど、こっちから行こうにも居場所なんて知らないし、向こうから来てくれるまで待つしかないのが現状なんだけどね。

 そして、少し憂鬱なまま食堂のドアを開けると、




「「「キャ~~~!」」」




 入るなり、女子生徒の黄色い声が聞こえた。


「一体……何があったのかなぁ?」


「こんなこと初めてだもんねぇ。――すみませ~ん!」


 すぐさま、杏奈は近くにいる女子に事情を聞いた。話によると、最近転校してきた男子が格好いいとかで、その男子が、今ここに来ているらしい。


「へぇ~。そんなに格好いいんだ」


「そうみたい。なんかさ、ここまで人だかりがあると――見たくならない?」


「まぁ、ちょっとはね」


「なら決まり! ほら、早く早く!」


 手を引かれながら、輪の中心へ近付いていく。

 思ったより人だかりができていて、私は背伸びをしてもなかなか見ることが出来ないでいた。


「ん~……見えないね」


「こうも見えないと、意地でも見たくなってくる!」


 しばらくそうしていると、一人の男子が立ち上がった。


「あっ! 美咲、あの人じゃない? 背高いねぇ~」


 そう言われ、杏奈が指差す方を見た。

 ……あれ?もしかして、あの男子。

 近くにいる男子たちよりも、頭一つ抜き出るほどの高身長。髪は淡い茶髪をし、その姿を見て思わず、


「雅、さん?」


 と、もしかしたらと思う人物の名前を口にしていた。

 その言葉が聞こえたのか、男子は私たちがいる方を向く。まさかと思っていると、その男子は確実にこっちに歩いて来てて、


「美咲ちゃ~ん!」


 食堂中に響くほどの大声で、私の名前を呼んだ。

 もうこの時点で、あの男子が雅さんだというのは間違いない。何でここにいるのかと考えているうちに、雅さんは目の前に来ていた。


「美咲、知り合いなの?」


「えっと……知り合いっていうか」


「そっ。オレと美咲ちゃん、友だちなんだ。ねぇ~?」


「っ?! ちょ、ちょっと!」


 突然肩を抱き寄せられ、思わず困惑の声をもらす。


 友だちと言うより、これじゃあまるで、彼女のようなスキンシップなのでは!?


「み、雅さんっ。離して下さい!」


「イイじゃんか。これぐらいおおめに見てよ」


「そんなこと言われても……」


 私の言葉などお構いなしに、雅さんは更に密着してくる。頬を擦り寄せ、まるで小動物が甘えてくるような仕草。

 大声で名前を呼ばれただけでも恥ずかしいのに、人前でこんなことまでされて……もう、体中が熱くなりっぱなしだった。




「「「くっついちゃイヤ~!!」」




 見るに耐えかねたのか、女子から一斉に非難の声が。

 あかるさまに敵意を向けられ、私はもう、ここから逃げ出したい衝動に駆られた。


「美咲もすみに置けないねぇ~。カレシがいるなら早く言えばいいのに」


「ち、ちがっ! 本当、彼氏じゃないの!!」


「全力で否定しないでよ。傷付くじゃんか」


「そ、そんなの知りません! だいたい、どうして雅さんが学校に……」


「あれ、やっぱ覚えてないんだ? オレも、美咲ちゃんのそばにいられるようにしたんだよ。これからよろしく」


「私のそばに?と言うか――オレも?」


「そうそう。そのためには、学校にいるのが一番でしょ?まぁもうすぐ夏休み?とかで、学校も休みになるらしいけどさ」


 今度はぎゅ~っと、前から抱き付かれる始末。恥ずかしいから離してほしいと言っても、雅さんはまったく聞く耳を持ってくれない。


「久々に会えたんだからいいじゃん。あ~もう、美咲ちゃんカワイイ!」


 な、なんだか嫌な予感……。

 満面の笑みを浮かべながら、徐々に顔を近付ける雅さん。何をするのか予想が付いた私は、咄嗟に両手で顔を覆った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ