表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/189

.




「―――行きます」




 その言葉を聞き、蓮華さんは入り口まで、しっかりと手を握っていてくれた。


「私は、中には行けぬ。ここで、お前の帰りを待っていよう」


「はい。それでは――行ってきます」


 振り返ることなく、ゆっくり、洞窟の奥へと進む。中は思った以上に寒く、奥に行けば行くほど、水の冷たさは増してく。

 しばらく歩くと、開けた場所が広がっていた。真上には穴が開いていて、そこから中央に、日の光が注がれている。そこには球体の石が置かれており、そこに光が当たっていた。

 ゆっくりと、深呼吸をする。

 そして徐々に、左手を石に添えた。




 ……ぞくっ。




 体に、冷たいなにかが走る。

 それは内側から感じられ、初めて体験する感覚に、自分は胸をかきむしった。




「あっ……ぅ、ぐ!?」




 左手は石に引っ付いたまま。焼けるような感覚が左手を襲い、その場でもがいていた。




『――――誰?』




 声が聞こえた。

 どこからするのかと見回した途端――声の主は、目の前に現れた。

 白銀に、紅を足したような髪色。腰よりも長く伸びた髪に、自分と同じ服装で――。

 その姿を見て、まずは自分と言う存在が現れたことに安堵した。


『――――』


「――――」


 無表情のまま、赤の命華と自分は視線を絡めた。どれくらいそうしていたのか。黙っていると、赤の命華は再び、自分に話しかけた。


『アナタは……誰?』


「自分は――日向、美咲。あなたと同じ」


『同じ?――違う。ワタシはフェリス』


 顔を近づけ、赤の命華……もといフェリスは、話を続ける。


『アナタは、力の無い命華。ワタシは、力がある命華』


「だったらお願い。その力を自分にも!」


『どうして、助けようとするの? 命華がこうなってしまったのは、あの人たちの責任なのに』


「あの人たちって……あなたは、なにを知っているの?」


『ワタシは力そのもの。だから、色々と知ってる。――命華がこうなったのは、王華や雑華の一族が悪い』


「そんなことはわかってる……。でも、日向美咲は、種族なんて関係ない。今共にいる人を救いたいと選んだ!」


 反論する自分に、フェリスは表情一つ変えない。


『命華には自由が無い。どうして……いつもワタシたちが犠牲になるの? ワタシは嫌。滅びるなら――向こうが滅びればいい』


「あがぅ!?」


 体に痛みが走る。それは、フェリスの言葉と連動しているのか。表情には出さないが、感情を出す言葉の時に、体は痛みを感じた。


『アナタも、心の底では恨んでいるはず。ワタシたち命華に、こんな呪いをかけた者たちを』


「そんっ、なこと――…」


 エメさんから、話には聞いている。

 でも、今の自分には、恨むとかそういった感情はない。ないはずだと確信しているのに――この瞳を見ていると、自分の思考がおかしくなりそうだ。


『呪いをかけたのは、アナタが助けたいと思ってる中の一人、雅の一族。叶夜も、命華の村を滅ぼした。――だから、カレらが傷付くことは償い』




 雅の一族が……原因?

 それに、村を滅ぼしたって……。




『雅の一族は、最初の赤の命華を殺した。その時の力が溢れて、他の命華にも呪いがかかった。ワタシたちは昔から、あの人たちにとって、利用するだけの存在でしかない』


 知らないことを、フェリスは次々と話していく。本当にこれが自分の中にある部分なのかと疑いたくなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ