表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/189

◇◆◇◆◇


 ――夜。

 蓮華さんの呼びかけで、シエロさんと木葉さん以外が一つの部屋に集まった。


「しばらくは、あちらが動くことはないらしい。だから、その間にこちらから動こうと思う。雅、話してくれ」


「ま、簡単に言うと、あっちにある箱を元の位置に戻したいんだよね。運ぶのはキョーヤがやって、オレとリヒトさんは援護って感じ」


「確か、処理はシエロさんがすると言ってましたけど――」


「それは最終手段、っていうか、できればとりたくないんだよね。とりあえず、まだ箱に変化がないみたいだから、これでいくつもり」


 それで済ませられるなら、それにこしたことはない。

 自分は何をすればいいのかと聞けば、美咲ちゃんは待機ねぇ~と言われてしまった。


「オレが言うのもなんだけど、オレの仲間の中には手のつけられないヤツもいてさ。おまけに、箱を移動させたせいで影が増えてる。だから、最小限の人数で行く方がいいんだ」


「――――そうですか」


 ただ、待っているだけでいいのだろうか。

 自分だけここにいるのは、日向美咲の意思に反するんじゃないか――。

 考えている間に、蓮華さんが話を進めていく。


「お前たちがあちらに行き次第、丸二日は、こちらに入れないよう封を強化する。もし、何らかの事態で早めの撤退を余儀なくするのであれば――これを使え」


 懐から小瓶を取り出すと、それを上条さんに渡した。


「私の血と、花を入れてある。それがあれば、お前ならば繋げられるはずだ」


「出来れば、使うことなく帰れるのが望ましいですけどね」


 苦笑いを浮かべる上条さんに、蓮華さんは頷いた。

 話はこれで解散となり、それぞれが部屋に戻ったところで、自分は蓮華さんの部屋を訪ねていた。相談したいことがあると言えば、夜中だというのに、部屋に招いてくれた。


「それで――何を話したいのだ?」


「率直にいいます。覚醒を――早めることはできないでしょうか?」


 やっぱり、自分だけここで待っていることはできない。何が起こるのかなんてわからないけど、争いが起こるのは確実。だから、やれることはやっておきたかった。


「もし知っているのであれば――教えて下さい」


 頭を下げ、蓮華さんに懇願する。

 どう返しがくるだろうと思っていれば、まずは頭を上げろ、と声をかけられた。


「言っておくが、お前はまだ覚醒前。それを無理やり覚醒させるなど……」


「方法は、ないということですか?」


「無いこともないが……それには、痛みを伴うぞ?」


 蓮華さんは真剣な表情に変わり、そのまま言葉を続ける。


「まだ覚醒していない力を引き出すには、それなりの体力を必要とする。自分との戦いになるが……やってみるか?」


 即座に頷き、やり方を教えてほしいと頼んだ。


「私はお前の意思を尊重するが……リヒトが黙っていないだろうからなぁ」


 はぁ~……と、蓮華さんは重いため息をはく。


「先生の許可がないと、できないことなんですか?」


「いや、そういうわけではない。

 さっきも言ったが、私はお前の意思を尊重する。お前がいいというなら、すぐにでも始める」


「お願いします」


 蓮華さんに手を引かれ、部屋を出た。すると途中で、木葉さんと出くわした。


「木葉、私たちはこれから出かける。リヒトたちには、上手く言っておいてほしい」


「そう言われるということは……もしやあの場所へ?」


 頷けば、木葉さんは少し眉間にシワを寄せた。


「本人の意思だからな。私は、道を示すだけだ」


「……分かりました」


 お辞儀をし、木葉さんは自分たちをその場で見送った。

 人目を避けるように外へ出ると、蓮華さんは自分を抱え、素早くその場から離れた。

 あまりに早く、私は思わず蓮華さんにしがみついた。目なんて開けていられなくなり、目的地に着くまで、ずっと目を閉じていた。




「――――着いたぞ」




 目を開けると、そこは小さな洞窟。中からは水か流れ出ており、ひんやりとした空気が、辺りを包んでいた。


「目的の場所は、この奥にある。そこには小さな石があるから、それに手を触れてほしい。そこでは、赤の命華のお前が、目の前に現れる。自分自身と話をし、ここから出て来い」


「今の状態の自分にも……そんなことが起きるでしょうか?」


「こればかりは分らぬな。とはいえ、お前はここに存在している。だから、何らかのカタチで変化は起こるはずだ」


「これで何も起きなければ……大人しく、覚醒の時期を待つしかないんですよね」


「そうなるな。ただし、もう一人の自分が現れた再、失敗すればここまで弾き飛ばされる。一度で成功するかもしれぬし、失敗ばかりかもしれぬ」


 それでもやるか? と、最後の確認をされる。

 自分を気遣う蓮華さんに、大丈夫だと言い洞窟の先を見た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ