表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/189

.


「それは――大事な、仲間だから」


「仲間――?」


「あぁ。尊敬出来る――大事な、仲間だから。オレは、お前を気にかけるんだ」


 そう言い、強く抱きしめられた。


 でも――どうして。


 叶夜から流れる思いは、こんなにも、痛い思い感覚なんだろう。


「叶夜――ケガを、してるんですか?」


 一瞬、抱きしめる腕に力が入る。

 何も答えないと思っていれば、


「ケガは――してない」


 と、小さく言われた。


「でも――痛い感覚が、流れてきたから」


「……心が、痛いだけだ」


「やっぱり、ケガをしてるんじゃ」


「これはケガとは違う。――目に見えるものじゃないから、どれだけ傷付いたか、痛いかなんていうのは、周りからではわからない」


 目には――見えない傷?


「それは、命華である自分にも、治せないんですか?」


「っ――いつかは。治せるかも、しれないな」


 ははっ、と苦笑いが聞こえる。

 するとまた、叶夜から痛みを感じた。

 自分と話していると……痛みが、増している?

 痛みの原因が自分にあるんじゃないかと、そんな考えが浮かんだ。




「もし、自分といることが原因なら――」




 そっと、叶夜の胸に触れる。

 鼓動は正常。でもやっぱり、痛みは相変わらず感じられた。




「離れた方が――いいでしょう?」




 そうすれば、この痛みを治せるんじゃないかと思った。

 叶夜から離れようと、一人で立とうとした途端――さっきよりも強く、体が引き寄せられた。


「そんな必要――ない」


 さっきよりも、痛みを感じてる。

 自分といると痛みがあるのに、離れると余計に痛みがあるなんて。


「不思議ですね。自分が離れる方が、痛みが増すだなんて」


「離れる方が、何倍も痛いからな。痛くても問題無い。だから――どうか、離れないで」


「離れなければ、叶夜は嬉しいんですか?」


「あぁ、嬉しい」


「痛みよりも、嬉しさが増しますか?」


「あぁ、離れなければな」


 痛いけど嬉しくて。

 離れたら、もっと痛い――?




「――――わからない」




 痛みや喜びの感覚は理解している。

 でも、叶夜が感じていることは矛盾していて、よくわからない。


「無理してわかろうとするな。――夜風は、体に悪い。屋敷に戻ろう」


 やわらかな笑みを見せ、立ち上がる。

 無理してわかる必要はないらしいが――いつかは、それを理解出来るだろうか。とりあえず今は。


「離れると痛いなら――そばにいます」


 叶夜が苦しくならないよう、最善を尽くそう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ