表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女のお姉ちゃんは変質者-SER.とりあえず殺しておくか。  作者: モコ田モコ助
第4章 マーゾック

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/34

5.進展


 ここは第1世界。光の園は滅ぼされた。マーゾックの手も地上へ伸びていた。


 中世的な建屋が並ぶ一角で、爆音と共に、もうもうたる黒煙が立ち上がる。

 地上人の各種武装組織が多数集まっていると思われる建屋が破壊されたのだ。瓦礫の下には致命的な怪我を負った、数多くの戦士が埋まっている。大幅な戦力ダウン!


「光の園が滅び、マジカルキューティ共のいない世界か……。さした戦力は無さそうだな」

 第1世界地上侵略軍司令メイワックが、足元の破片を蹴り飛ばした。

 破片は大きく飛び、瓦礫のなかでも一番大きな破片に当たり、何処かへと撥ねていった。

 破片が当たったからだろうか? 大きな瓦礫が崩れ落ちた。


「ぷっはー! 死ぬかと思った。やや! これはどうしたことだ!?」

 埃まみれで顔を出した第1世界の戦士とおぼしき生物が、当たりをキョロキョロ見渡して驚いている。怪我は大丈夫なのだろうか?


「お姉ちゃん! あそこ! 変な匂いの人がいる!」

 獣人だろうか? 大きな耳とふさふさの尻尾を持つ幼女が、メイワックを指さしている。


「なに? 悪臭を放つお前! 何日風呂に入ってないんだい?!」

「これはこれは!」

 メイワックはわざとらしく驚いた。


 メイワックの前に、武装した重ネクライマーが2体、護衛のために出てきた。メイワックの後方にも、数え切れないほどのネクライマーが控えている。メイワックが誇る重武装ネクライマー軍団だ。


「生きておられたとは驚きで――」

 言葉が口からでなかった。

 前に出たネクライマー2匹の首が吹き飛んでいる! ノーマルの人間がネクライマーを!?

 得物は斧だ! 斧を投擲されたのだ!


「こっ、こいつ、マジカルキューティなんかより強いぞ!」

 メイワックは全速力で後ろへ下がる。首が飛んだ2体の穴を埋めるため、前に出るネクライマー部隊。


 安全な場所へ下がると落ち着いた。

 いくら強いと言っても、たかが原住民の女一人。斧で武装して、黒いボンテージ風の戦闘服を着ているが、たった一人で何が出来るというか。


「エリア・ヒール!」

 何所から湧いて出たのか、なんだかヒーローを張れそうな二枚目の男が掲げた手より、青白い炎が吹き上がる。

「あーんど、ブースト!」

 斧を持つクロい女が、大魔宮魔王クラスのゴッツい魔晶石を片手に、二枚目へエネルギーを送る。


 二枚目の放つ炎が瓦礫全体に広がった。引きつった顔の二枚目。

 するとどうだろう! 瓦礫を押し上げ、ぞろぞろと人が出てきた。1人や2人ではない。そこかしこから、10人、20人単位で。


「いってーなコノヤロウ!」

 金髪で額に傷の馬鹿そうな若者。

「埃が目に!」

 筋肉質の巨漢だ。


 その他諸々、立ち上がってきたゴツイ男女は100人を下らない。全部が全部、鎧を着て、切断系武器を携えている。そして一様に人相が悪い。人を殺した事のある目だ。


「諸君! 目の前にいるのが、我が攻略者ギルドを破壊した犯人だ」

 クロい女がメイワックを指す。

 物騒な目をメイワックに向ける100人越の男女。


「ちなみに、君たちが稼いだ経験値やボーナスや迷宮出土品をブチ壊した犯人でもある」

 ギロリ!

 そんな音が100人超の目から聞こえてきた。後日、狐耳の幼女がそう証言していた。


「やっちめぇ-!」「ぶっころしてやる!」

 誰が叫んだのか、その声が号砲となり、手に手に人工魔道具系の武器をもった男女が、ネクライマー集団を「襲った」。


「諸君! 連中は、迷宮出土品の横取り強盗団である可能性が高いぞー!」

 女は、目に突き刺さるほど口角を上げている。


「後ろに移動式の城がある! 金目の物は全部奪え! だから、連中を生かして帰すなよー!」

 クロい女のあおり文句で、火に油が注がれた。被害者である戦士達は、一転、略奪者となる。

 狐耳の幼女は、その壮絶な光景を物陰から震えながら見ていたという。……怖いなら見なきゃ良いのにね。


「ふっふっふっ、ギルドの再構築の手間が省けた。はてさて……ふーん、あそこが入口かぁ……」

 クロい女は、空の一角をそれこそ穴の空くほど見つめている。

「逆襲してはいけない、という文字は辞書にないよなぁ。そもそも、辞書なんてこの世界にないけど。エネルギー源は……太陽でいいか」


 

 第2世界にて…… 

「ケラケラケラ! なんだなんだ? もう終わりか? も・う・終・わ・り・ですかー?」


 変な前髪をした長身の男が、手にドリル状の超長槍を持って黒く笑っている。足元には、グズグズになってモザイクのかかったネクライマーの第2世界侵攻軍司令ウゼーワが、一回り小さくなって転がっていた。もちろん、息絶えている。


「ちっ! 処理がはえぇんだよてめぇ! オイラの良いところを嬢ちゃんに見せる時間ぐれぇ作れよ! 九ミリパラペラムバレットが火を吹けねぇじゃねぇか!」

 テディベアカットの子犬が喋った。前脚をシュッシュしている。たぶんファイティングポーズだ。

 

「相変わらず仲良いわね」

 目つきの悪い頃髪の少女だ。

「嬢ちゃーん!」

 子犬が少女の胸に飛び込んだ。頭を胸に付け、スリスリしている。そして、性的な目を長身の男に向けた。長身の男の奥歯から歯ぎしりの音が聞こえてくる。


「こっちはあっけなく片付いたのだ。早すぎたかもしれない。我が輩の才能が怖いのだ」

 黒マントを靡かせた、いかにもなヨーロッパ人が日陰を選んで歩いてきている。手に長大な銃器を持って。


「くっくっくっ、簡単に囮に吊られてやんの。さあ、懐から財布を抜き取っておしまいなさい!」

 マント男を盾に、もとい……背後に隠れるようにもう一人。少女が現れた。


「姉ちゃん、相変わらず作戦が酷いよ。いや、成功したという前提を踏まえた意味で」

 田舎者っぽい少年も後に続く。少年の後ろから、三歩下がって影を踏まずに従っているヨーロッパ系のメイドさんを連れて。


 遠くから光と煙、少し遅れて爆音が聞こえてきた。

「筋肉ダルマの旦那の方も終わったみてぇだな。さて、残る――」

「残るは敵の戦艦だ! 反転攻勢ーっ!」

「おいおい、愛玩動物の台詞を横取りしてくれてんじゃねぇよ」

 

 

 第3世界では……、ナグールより任務を受け継いだワルダクム総司令による命令の下、マーゾックの一司令官が人間界侵略に向かっていた。


「加速!」

 ズンバラリン!

 量産型ネクライマー最後の一匹が縦真っ二つに切られた。

 左右に割れて覗く向こうの景色。ネコ耳ネコ尻尾の少女が日本刀に付いた血を振って飛ばしていた。でもって、数え十五歳の年に考えていた格好いい納刀法第五番で刀を納める。


『隙有り!』

 エコーのかかった声が空から降ってきた。

 ネコ耳侍の周囲が黒い影に覆われる。上空に巨大ネクライマーが表れた。ネクライマーの頭の上に人が立っている。遠すぎてよく見えなかったが!

「む? 何でござるか――」


 ン・ビィーィームッ! 

 上空の巨大ネクライマーより、ゴン太のビームが射出され、ネコのお侍様に直撃ッ!

 ビュンッ

 直撃直前の空間で、ビームが幾状もに分裂し、各々明後日の方向へ弾かれていく。


「にゃーん」

 お侍様の懐から顔を出すトラジマのネコ。

物質崩壊(ソリトンビーム)!』

 ネコが喋った!

 と、同時に、上空の巨大ネクライマーが真っ二つに分裂。各所で小さい爆発を繰り返し、あっという間に霧散して消えた。


 頭の上で立っていたよく分からん人影が、高空より落下。なんだか酷い音を立てて地面に激突した。


『痛そうですね』

「痛いでござろうな……まいっか」

 ネコ耳侍は見てないことにした。

『アレ、何者なんでしょうね? 旦那?』

「さあ?」


 

 一方、ナグールより任務を受け継いだワルダクム総司令は、空間機動戦艦ウヨッカーを第3世界現世に出現させていた。マーゾックが使う各種戦闘艦は空間を跨ぐ能力を備えている。総攻撃だ!

 

 出現した場所は……

「異常にダークエネルギーの豊富な地域だ。ここを拠点として、各種地域を侵略していく」

 地上侵略の部下を派遣した大陸の側に亜大陸がある。そこからダークエネルギーが計測されるのだ。拠点として使うのにちょうどいい。戦艦や一族のエネルギー供給にもってこいだ。


 ワルダクムは司令席から立ち上がり、モニターらしき物に顔を近づける。そのまま、ブリッジ要員に命令する。

「着地地点の選定を急げ!」

「こまりますなぁ」

 突然の声。聞き慣れない声に振り向くと……ブリッジに詰めている部下達が倒れていた。


「頭の上で騒がしくしていただくと、あのお方が目を覚ましてしまいます」

 口に指を一本当てた紳士が、先ほどまで自分が座っていた司令席に座っている。長い足を組んで。


「ふん!」

 鼻で笑うワルダクム。顔に手を当て、勢いよく放す。開いた口から炎が飛び出した。

 マントの紳士に直撃。座ってる席ごと貫通した。

 キュキュキュキュバババ!

 途端ブリッジ中を舞飛ぶ無数のコウモリ。真っ暗になるほどのコウモリの群だ。


「何が一体!?」

 さすがのワルダクムも、これには冷静でいられなかった。


破壊光線(スカーレットニードル)!」

「ぐぅ!」

 一条の赤い光線が、ワルダクムの左胸を貫いた。そこは心臓のある場所。


「ナグール殿……無念!」

 第3世界侵攻軍総司令ワルダクム、死す!


「他愛ない。うははははははー!」 

 馬鹿笑いする黒マント。

「ディトマソ。うるさい」

「はっ! ははーっ!」

 そこに居た。一切の前触れ無く、10歳にも満たない少女がそこに出現した。ディトマソと呼ばれた黒マントは、ジャンピング五体倒置の礼を持って挨拶に代えた。


「幼女陛下、もとい、陛下におかれましてはご機嫌麗し――」

「変な歪み……」

 ディトマソの感涙に噎ぶ挨拶を背景に聞き流して、少女は空の一角、天井を通して天の一角を透視している。

「……ちょっと一発撃ってみる」

 軽く腕を上げる少女。その腕には通常の人間だったら見るだけで即死する量の魔力が集積しつつあった。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ