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勇者が望んだ救世主  作者: サスケ
53/61

53 肉体強化の謎

 

「ジャニス、休憩するか?」


「・・・・・・余裕」


 ジャニスとの戦闘から一夜明け、俺達は王都へと向かっている。

 朝食を摂りながら、ジャニスに色々話を聞いた所、どうやら王都までそう遠くない事がわかった。

 俺の移動速度なら、数日で着ける距離らしい。

 その際に、ジークが地図を広げ、詳しい場所を把握しようとしたが


「・・・・・・駄作・・・・・・詐欺・・・・・・理解不能・・・・・・馬鹿」


 こんないい加減な地図を高額を支払って買うなんて、理解できない。

 馬鹿なの? と言われた。

 ジャニスの言葉が理解出来ないジークに訳すと


「むっ、ジャニス! 馬鹿はダイスケだけだぞ! 僕は賢いのだよ! 一緒にしないでくれたまえ!」


「・・・・・・理解・・・・・・ダイスケ・・・・・・馬鹿・・・・・・ジーク・・・・・・賢者・・・・・・理解・・・・・・愛でる」


 ジークの戯言によってジャニスに馬鹿認定されてしまった。

 ジークは「わかればいいのだよ」と満足気だが、子供扱いされている事に気付いていないようだ。


 ジャニスの言葉を訳すとこんな感じだ。

【はいはい、ダイスケは馬鹿でジークは賢いのね、わかったからこっちにいらっしゃい。抱っこしてあげる】


 ジャニスに抱っこされ、ご機嫌なジーク。

 愚かな精霊だ。


「そこの馬鹿! 誰が愚かだ!」


 ちっ、エスパーか。

 そろそろ本気で対策を考えなければ。


「・・・・・・大精霊様、そんな事思ってないですよ? 俺達は王都に向かうが、ジャニスはどうする?」


「・・・・・・同行・・・・・・案内」


 王都まで案内してくれる事になった。

 ジャニスと半ば強引に手合わせをさせられてから、移動を始めたが、何の問題もなく、俺の横で並走するジャニス。

 やはり速いってか俺より速い。

 ちょっと悔しい。

 体力面も問題なさそうで、俺が休憩を促しても、余裕だから大丈夫だと言う。

 それにより、これまでの旅と同じペースで移動する事が出来た。

 いや、寧ろ魔物の撃退が楽になったからそれ以上だ。

 幾つかの休憩を挟み、日が暮れる頃に時計が今日の移動は終わりだと鳴り響く。


「っと、今日はここまでだ。そこの川辺で野宿しよう」


「ふぅ、やっとか。今日の夕食は唐揚げにしよう!」


「・・・・・・ダイスケ・・・・・・夕食・・・・・・手合わせ」


 まだまだ体力が有り余っているのか、飯を食べたら手合わせをしようと、提案するジャニス。


「駄目だ。手合わせなら明日の早朝だ。休める時に休んどかないとな。わかってくれるな? 焚き火作るから木を集めるの手伝ってくれ」


「・・・・・・了承・・・・・・早朝・・・・・・約束」


 うん、納得してくれたみたいだ。

 ジャニスと手分けして、木を集め、ライターで火をつけようとしていると


「・・・・・・火球」


 ジャニスが魔法を使ったのか、木が燃え上がり焚き火が完成する。


「おぉ、魔法か? ジャニスは火属性なのか?」


「・・・・・・肯定・・・・・・火属性・・・・・・上級・・・・・・誇り」


 やっぱり火属性らしい。

 それも、上級まで扱えるとの事だ。

 得意気な顔をしていて、少し子供っぽい。


「ダイスケ! ジャニス! お腹空いたぁぁ! 早く食べよう」


「悪い悪い、ジーク唐揚げ出してくれ」


「・・・・・・子供」


 ジークがアイテムボックスから大量の唐揚げを出し、食事を始める。


「美味い!」


「まぁまぁだね」


「・・・・・・美味」


 山盛りに積みあげられた唐揚げが、かなりの勢いで減っていき、全てなくなった所で食事を終えた。







「ジャニス、聞きたい事が幾つかあるんだが、いいか?」


「・・・・・・許可」


「腕輪黒だよな? ジャニスはSランクハンターなのか?」


 食事を終えて、ジークがアホ顔で爆睡する中、俺は気になっていた事をジャニスに確認する事にした。

 戦闘の時からチラチラ見えて気になっていた黒の腕輪。

 俺の記憶が確かならSランクハンターの色のはず。


「・・・・・・肯定」


 まぁ、そうだよな。

 Aランクのダントンさんとは強さの桁が違ったしな。


「やっぱりそうか。それでな、こっちが重要なんだが・・・・・・何か肉体を強化する方法があるのか?」


 俺が聞きたかったのは、ランクの確認と、肉体を強化・・・・・・つまり防御力をあげる方法があるかって事だ。

 俺の全力の一撃は、Bランクのブルドラを一撃で殺す事が出来る。

 だから、俺はハンター試験の際に、Bランクハンターのアーロンを殺さないように、手加減して殴った結果、2割程の力で戦闘不能にした。

 なのにダントンさんは、6割の力で殴っても痣ができる程度だった。

 見た目的に、アーロンとダントンさんは筋肉ムキムキで、防御力にそこまで差が出るとは思えない。

 肉体の強さ以外に防御力をあげる手段があるのか? と考え始めた時に昨日のジャニスの襲撃だ。

 ジャニスは強いが、見た目は小柄な美人さんだ。

 背丈もミラと同じくらいで、身体も全体的に鍛えあげられ引き締まっているようだが、ダントンさんやアーロンと比べると、打たれ弱いだろう。

 なのに、俺の力を込めた8割の蹴りを食らっても、大したダメージを与える事は出来なかった。

 後ろに飛んで衝撃を逃がしていたようだが、それにしてもおかしいと思う。

 同じ強さの蹴りをアーロンに食らわせていたら、恐らく即死。

 ダントンさんなら戦闘不能。

 ジャニスはほぼ無傷だった。


 それにより、肉体を強化する方法がある可能性が更に高くなったが、本当の所は異世界人である俺にはわからない。

 なのでジャニスに訊ねる事にした。


「・・・・・・不思議・・・・・・魔力・・・・・・比例・・・・・・肉体強化」


 どうやら常識だったらしい。

 とりあえず方法はわかった。

 魔力を使って肉体を強化しているらしい。

 防御力に個人差があるのは、魔力の量に比例して肉体が強くなっているからだな。

 ジャニスが俺の蹴りを食らってもほぼ無傷だったのは、魔力で肉体を強化していて、防御力があがっていたからだな。

 そして、もう一つ大事な事がわかった。

 魔力を使うって事は・・・・・・俺には使えない。

 残念だ。


「俺は無知なんだよ。教えてくれてありがとうな。謎が解けたよ」


「・・・・・・褒美・・・・・・撫で撫で」


 教えた褒美に頭を撫でてほしいらしく、俺に頭を差し出すジャニス。

 俺は苦笑いしながらも、ジャニスの頭を優しく撫でてやる。

 暫く撫でてやると満足したのか顔を上げ、じーっと俺を見ている。

 長い沈黙が続き、耐えきれなくなった俺はジャニスに声を掛けた。


「ど、どうした? 満足したか?」


「・・・・・・睡眠・・・・・・ダイスケ・・・・・・安心」


「あぁ、寝ていいぞ。見張りは俺がしっかり・・・・・・って、お、おい」


 俺の膝に頭をのせて寝転ぶジャニス。


「お、おい! は、離れろ!」


「・・・・・・拒否・・・・・・撫で撫で・・・・・・睡眠」


「いや、何を言って・・・・・・」


「ダイスケ・・・・・・撫で撫で」


「ひっ、は、はい!」


 戸惑う俺に、ジャニスから謎の威圧が発せられる。

 恐怖を感じた俺は、逆らわずに頭を撫で始める。


「・・・・・・感謝」


 頭を優しく撫で続けて、暫しの時間が経つと、可愛らしい寝息が聞こえてきた。

 余裕といいつつも疲れていたようだ。

 ふぅ、と小さく息を吐き、動く事も出来ないので、今後の行動について考える。

 ジャニスの話では、早くて明日、遅くても明後日には王都に着くはずだ。


 ミアが王都に居れば問題なし。

 何とかミアに会って、誓約の正体を見極め、呪いならば【解呪】を使って誓約から解放する。

 呪いじゃなければ、また方法を考えなければならないが、ミラの手紙を渡す事だけでも意味はあるだろう。


 ミアが運悪く王都に居なければ、精霊陣を設置して、アーデル村と王都を行き来して、様子見だな。

 まぁ何にせよ、もう少しだ。



 待ってろよ・・・・・・ミア



 俺が必ず救ってみせる!


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