43 魔石を売りました
村を出た俺とジークは、精霊陣を使ってリンジャーの街近くの草原へと戻ってきていた。
大雑把だがレムレールの知識がない俺達にとっては役に立つ地図を広げ、王都への道程を確認した所、アーデル村から向かうよりも、リンジャーの街から王都へ向かう方が距離が近いのでは? とジークが判断したからだ。
「かなりの距離を短縮出来た筈だよ。王都は地図によると・・・・・・あっちの方角だね。直ぐに出発するかい?」
ジークが言うには、かなりの距離を短縮出来たらしいが、あの地図の何を見て短縮したと判断したのか、俺には理解出来ない。
位置関係は大体あってると思うが、距離になると怪しいもんだ。
「ふぅ、お馬鹿なダイスケには理解できないか。僕は悲しいよ」
このエスパー野郎!
人の心を読みやがって!
憐れんだ目で俺を見ていてムカつくが、今は言い争ってる時間も惜しいし、ここは我慢だ。
「・・・・・・ふぅ。ジーク、直ぐに出発したい所だが、街へ寄って食料を補給していこう。手持ちも大分少なくなってきてるから、魔石の換金もしておきたい」
ジークのアイテムボックスに保管している食料はブルドラの肉と、ミラが作ってくれたお弁当だけだ。
途中で魔物を倒し、確保できるかもしれないが、問題がある。
Aランクハンターになったとはいえ、俺は魔物に全く詳しくなく、食える魔物か、食えない魔物か区別が出来ない事だ。
解析を使えば、解決するが、なるべくSPは節約したい。
出来るだけ早く王都に着いた方がいいのはわかっているが、食事だけは疎かには出来ない。
3日寝ずとも平気な俺だが、空腹には耐えられないんだ。
腹が減りすぎると力が入らず、走るペースも落ちてしまうだろう。
よって、補給出来る時に補給しとくべきと判断した。
「なるほどね。手持ちは金貨10枚程だったよね? 何があるかわからないし、換金しといて損はないね。それに金銭に余裕が出来て、食料を大量に買い込む事が出来る・・・・・・ふむ、良い案だ。僕の偉大な力を使えば、腐らずに保存しておけるしね」
ジークのアイテムボックスの中がどうなっているのか詳しい事はわからないが、ボックス内では時間が止まっているらしい。
つまり、アイテムボックスに入れておけば腐らず、いつでも食べる事が出来る。
素晴らしい力だ。
「だろ? 時間が惜しいし、早く行こう」
「ダイスケ、とりあえずボアサンドを50個・・・・・・いや100個だ!」
「はいはい、わかったよ。他には何かあるか?」
「ふむ、そうだね・・・・・・」
街で何を買うか、話し合いながら俺とジークは街へと向かった。
カーン
カーン
カーン
「らっしゃい! 小腹が空いた時は甘い物が1番だ! 買っていってくれよ!」
「焼き立てのパンはいらないかい? 1つ銅貨2枚だよ!」
「ペリルの唐揚げだよ! 残り少ないから買うなら今だ!」
4つ目の鐘が鳴り響く中、俺達は街の広場へとやってきた。
昼時を過ぎているのにも関わらず、広場は多くの人で賑わっていて、相変わらず良い匂いが漂ってくる。
「ボリュームたっぷりボアサンドだ! 1個銅貨3枚・・・・・・おっ、兄ちゃん、また来てくれたのか!」
「あぁ、絶品だったよ!」
ジークと話し合った結果、ボアサンドをメインで買い込む事にした。
俺としては、他の物も色々食べてみたかったんだが、ジークが余程ボアサンドを気に入ったのか、駄々をこねたので、大人な俺は言う事を聞いてやる事にした。
「そいつはよかった! 幾つにする?」
「100個欲しい! なければあるだけでいい」
「はっ? 兄ちゃん正気か!? あるにはあるが、時間がかかっちまうぜ?」
「俺は正気なんだけどな・・・・・・時間ってどのくらいだ?」
「数十分って所だな。用意しておくから後で取りにきな!」
「そうするよ。金貨3枚だよな?」
時間が掛かるという事で、ボアサンドの支払いを済ませて、先に職人街にあるギルドに向かう事にした。
手持ちは金貨6枚に銀貨10枚だ。
魔石を売らないと、中々厳しいだろう。
今持っている魔石はブルドラの1個とウィングタイガーの4個、幾らになるかはお楽しみだ。
ハンターギルドは職人街に入って直ぐなので流石の俺でも迷う事なく辿り着き、扉を開けて中に入った。
ギルド内は時間帯の問題かハンターの数も少なく空いていたが、相変わらず臭かった。
ギルドで働く職員は大変だろうなと考えながら、ギルド内を見回し、魔石を買い取ってくれる場所を探すが、さっぱりわからないのでとりあえず空いている受け付けで聞く事にした。
「すいません、魔石を売りたいんですけど」
「はい、魔石の買い取りはこちらで受け付けております」
前回登録した時はむさ苦しい海賊のおっさんが受け付けをしていたが、今回は、赤色の髪の眼鏡がよく似合っている美人さんだ。
別に出会いを求めているわけじゃないが、何て言うか・・・・・・テンション上がるな。
「これを買い取って貰えますか?」
「はい、鑑定しますので少々お待ち下さい」
俺は手持ちの魔石を全て、美人さんに渡し、鑑定結果を待つ。
数分すると、鑑定が終わったのか美人さんが受け付けに戻って来たが、少し様子がおかしい。
何か慌てているようだ。
「お待たせして申し訳ありません! あ、あの、失礼ですがお名前とハンターランクをお聞きしてもよろしいですか?」
「何か問題ありましたか? 名はダイスケです。ランクはAランクです」
美人さんに聞かれたので、俺は名前とハンターランクを告げて、袖を捲り、左腕の虹色に輝く腕輪を見せる。
「お、おい、あいつが噂の新人みたいだぞ?
「アーロンさんを一撃で倒した奴だろ?」
「若いな、何かの間違いじゃねぇか?」
美人さんと俺の会話が聞こえたのか、周りがざわざわと騒がしくなった気がするが、何でだ?
「っ!? ダイスケ様ですね! まず魔石の買い取りがCランクの魔石は1つ金貨3枚の4つなので金貨12枚、Bランクの魔石が1つで金貨30枚になり、合わせて金貨42枚になります」
おっ? 意外に高額になったな!
これだけあれば無駄遣いしなければ暫く大丈夫そうだ。
「わかりました。買い取りお願いします」
「金貨42枚です。お確かめ下さい。それでですね、マスターからダイスケ様がギルドに訪れたら、連れて来るようにと数日前から指示が出ているのです。なので・・・・・・」
美人さんの話を聞くと、ギルドマスターが俺に会いたがっていて、数日前から捜していたらしい。
うーん、どうしたもんか。
早くボアサンドを受け取って、他の買い物をして、王都に向かいたいから無視したい所だが、無視した事により目をつけられるってのも面倒だ。
なぁジーク? どう思う?
会うべきだと思うなら髪を引っ張ってくれ。
クイッ
クイッ
っ!?まじか!?
冗談で心の中でジークに話し掛けてみたが、何故か伝わった!
・・・・・・謎すぎる。
「あ、あの・・・・・・」
「あっ、すいません。わかりました。何処に行けばいいんですか?」
「ご協力感謝します。私がご案内します。こちらです」
面倒臭い事じゃなければいいなぁと思いながら、俺は美人さんの後に続き、受け付けの奥にある階段を昇って、マスターが居る部屋へと向かった。




