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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第4章 星流れの山での異変
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夜、ランタンと龍成ゲット!

夜、ランタンと龍成ゲット!


日が上り、夜と(ろく)は伸びをしながら起き上がっていた。

「どうでしたか?」

 月を眺めて夜は問いかけていた。

「……静かなものだった」

「現在、夜の間は、一般客の受け入れをしてないようですしね」

 緑は“そうでしょう”とうなづいて、今の状況を伝えて来ていた。

「しかし、決まりとか守らずに入り込む輩はいるんじゃねぇーの?」

 (さい)の言葉に緑は脱力感を満載にうなづいていた。

「そこが面倒なところなのよ」

 緑の言葉に「いるんかいっ」と灑は苦笑いをしていた。

「……放っておくけばいい」

 月の言葉に灑は“んだんだ”とうなづいていた。

「正義の味方ではないからな。規則を守らない相手を助ける義務も義理もないな」

 月は冷静に静かに言っている。

「……今から行ってきます!」

 夜は一瞬で姿を消していた。

「はやいな」

 灑は夜の小さくなった背中を眺めていた。

「急ぎだから、影移動したらいいのに……」

 もう既に走り出し、姿を消した夜に対して緑は呟いていたが当人は既に発っていたので聞くことができなかった。


 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼


  ずさーっ


 森の中に建つ急鬼灯邸の中庭の地面に足が着いた瞬間に停止をするも土埃が大きく立っていた。

「……天華様っ! 大変です!」

 慌てて声を上げた瞬間、着地した時に舞い上がった砂埃を吸い込んだ夜は咳き込みながら本来ならもう居間に居るはずの目的の人物を探すように目線を巡らせた。

「……夜様?」

「……へっ?」

 予想外の声に夜は間抜けな声をあげていた。

「……あれ? 梅子(うめこ)結華(ゆうか)……と龍成(たつなり)???」

 夜は大量に頭の中に?マークが埋めつくしてきているのを自覚してはいる。

「あー……、一応、オレは付き添いね?」

 龍成は笑いを作り夜に伝えていた。

「……なにか、あったのですか?」

 結華と天華、梅子が持ってきていた話を夜の出現で中断したようである。

「……山っ!」

 夜は星流れの山があるほうを指さして声を上げていた。

「あいつに似た奴の気配がしたんですっ!」

 夜の声に龍成の顔が真剣な表情に変化していた。

「どこの山だい?」

 龍成の真剣な声に夜はキョトンとして“星流れの山です。”と返していた。

「……このランタン貸してあげる。用が済んだら返してな」

 以前のランタンの飾りとは変わり、ランタンの装飾が茨の棘のモチーフに変わっていた。

 その新たな装飾になった空のランタンを龍成は夜の前に出す。

 夜は思わず「ありがとうございます」と受け取る体制になり、少し停止して龍成を見た。

「……あの、貸してくれる、というのは?」

 無言の作り笑顔で龍成は「ん?」と小首を傾げて夜を見返してくる。

 その顔には“なんでオレが動かないと行けないの?”と書いてあるのが夜には見えた気がした。

「えっ……きて、くれないんですか?」

 夜はランタンを受け取りつつ作り笑顔の龍成を見比べながら問いかけていた。

「……そこ、確か鬼狩りの出入りする山でしょ? アイツらと鉢合う可能性があるでしょ?」

 夜が“はい、そうですね”と素直に返しているとものすごい笑顔で“鬼狩りと会う可能性があるなら、ヤダね”と即答してくる龍成の言葉に涙目で夜は龍成から天華へと視線を向けて見つめていた。

「夜、ごめんね。……まだ、梅子と結華との話の途中なので、終わるまで待っててくれたら……」

 天華は涙目の夜から向けられる目線を受けて困って答えているが、梅子はため息を付いて動く気がない龍成を見た。

「龍成、行ってきな」

 梅子の短い言葉に、龍成は大きなため息を着きつつ渋々といった態度で立ち上がり夜を見る。

「……オレは、鬼狩りがいたら見捨てるからな」

 龍成はゆっくりと玄関先に向かっている中で夜は「あの、既に2人を保護してます……」と伝えていた。

「そのふたりは、君らが守って脱出させなよ」

 龍成は冷たく笑いながら夜に伝えていた。

 遅れた夜は、梅子を見て頭を下げて龍成を追いかけて言った。

「待ってくださーい」

 置いていかれ、焦って龍成へ声をかけている夜の声のみが聞こえて来て残された3人は苦笑しあっていた。

「……話を戻しますが、“夢”の話でしたよね?」

 天華は梅子と結華を見比べて話を切り出していた。

「はい」

 梅子はうなづいていた。

「最初の頃は日常的な幸せそうな夢から先日、切り替わったかのように不幸な夢に変化した」と不安そうな結華は天華に訴えている。

「まるで誰かの記憶みたいな感じですね」

 天華の呟く言葉に結華はハッと思い出したかのように天華を見た。

「……まるで力のある巫女様みたいなことになってる……」

結華の言葉に天華は優しく笑った。

「しかし、眠れないのは死活問題ですよね。けど、力の使い方は私にはさっぱりなので……」

 腕を組んで悩む天華に梅子も悩み出していた。

「夢系の力を持つ者が、現れたのが2代目の夢華(ゆめか)以来なので私どももどうしたらいいのか分からないのです」

 梅子はお手上げといった表情である。

梅子の様子を見て「伝手は無さそうですね」と天華は脳裏に1人だけ浮かんだ。

「ダメ元で交渉できる人、というか夢鬼ですが、1人だけいますね」

 天華の言葉に喜ぶ梅子と結華だった。

「えっ……天華ちゃんは、無理な感じ?」

 結華の言葉に天華は苦笑している。

「私の力は自然系だから教えるとしても感覚など難しくなるんですよ。専門の人が教えた方がこの場合は良いと思いますよ」

 天華の言葉にしょぼんとなっている結華。

「出来れば皆みたいな優しい人がいいな」

 祈るように結華は天華を見て頼んでくる様子を見て苦笑していた。

「……優しいはずですよ。でも、怖いなら一緒にいましょうか?」

 天華の言葉に嬉しそうにしている結華を見つつ伝書を飛ばす鳥を氷で作り出して飛ばしていた。

「まぁ、これで連絡はできたので相手の反応待ちですかね」

 鳥を見送りながら天華は2人を見て伝えていた。

「連絡、ありましたらこちらから出向きますのでお伝えください」

 梅子は何度も頭を下げて結華と帰っていくのを天華は見送っていた。

 

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