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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第4章 星流れの山での異変
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山鳥の報せ


山鳥の報せ

 

縁側でくつろいで居ると空からの小さなお客さんの来訪に天華(てんか)は気づいた。

 天華は自身の肩を止まり木にとし「ここにおいで」と提供している。

「……ん? 山鳥??」

 (さい)も小さい鳥の羽ばたきに気づいて声をあげる。

「……えっ?」

 天華の肩に止まり、山鳥はチュピチュピと鳥のさえずりを聞いていると思っていた天華は驚きの声を上げていた。

「えっ??」

 天華の声に遅れて灑も声をあげる。

「……熊が出た……?」

 山鳥のさえずりに対して本腰を入れて山鳥の言葉をうんうんと頷いている天華を見て灑は首を傾げていた。

「……どこにだよ」

 灑は腕を組んで突っ込む。

「……星流れの山に人を襲う熊ちゃんが出現らしいけど……。おかしいな、豊富な資源があるから人は襲わないはずだし、人里にはなかなか出てこないはずなんだけど……」

 天華は山鳥からの情報に真剣に悩む。

 真剣に悩み始めている天華のその隣で蛇の目に変化した灑は山鳥を見ている。

「ところで、それ食っていい?」

 人型の状態はそのままで天華の肩で羽を休めている山鳥を狙う蛇に変化した灑を「私の貴重な情報屋さんだからやめてください」と天華は灑が捕食しようとするのを止めた。

「お腹すいたのなら激硬せんべいでも食べていてください」

 天華は灑の口に大きなせんべいを咥えさせていた。

「……まさかだけど、このちっこいのも鬼なんか?」

 ぼりぼりと激硬せんべいを噛み砕きながら灑は天華の肩に羽休めとして止まっている山鳥を指さして問いかけていた。

「えっ?……この子はただの山鳥ですよ」

 天華は至極真面目な表情で灑に答えていた。

「……嘘だぁ~」

 流し目で月を見たが無言でうなづいていた。

 チラッと夜を目で見ていると“何言ってるんだコイツは?”という表情で「そうです」と夜までもうなづいていた。

「……山鳥(この子)の事は置いといて」

 天華が声をかけた瞬間、月も夜もさっきまでのんびりした気配を纏っていたはずなのにサッと真剣な顔に変わる。

「星流れの山は何か因果の種がありましたっけか?」

 天華はうーんと悩みながらも呟く。

「……こちらに来ない時期も一時期ありましたし。来てない時期に何かあったのであれば1度は、様子を見に行かねばならないかと思います」

 夜は腕を組んでなやみながら天華に伝えていた。

灑から逃げるように月の肩に山鳥はチュピチュピと言いながら飛んで行く。

「……食わねぇ~から逃げるなって!」

 灑は山鳥に対して言う。

「暗い時?あぁ、夜間のことか……、人間が?……ひとつの黒い種??……って本当なのか?」

 注意深く山鳥の言葉を聞こうとしている月だったが後半になるにつれて深刻な顔をしていく。

 “黒い種”と呟いた瞬間、ハッと山鳥を見て月は驚きの声をあげる。

「夜間に人間?……黒の種子!」

 天華は首を傾げていたが、ハッと何かを察した表情になる。

「見事に断片的だな、こりゃ」

 月の深刻な空気を読まずに灑はケラケラ笑いながら山鳥からの情報に対する感想を呟く。

「黒い種子の話を忘れてるのか?」

 月は、察しの悪い灑と夜を見て呆れ果てて声を絞り出すように言葉を放つ。

「……星流れなら、旧い知り合いがいたような……」

 夜は別の察しを披露していた。

「……まぁ、情報をくれそうなら問題ないか……」

 月はため息混じりに夜を見た。

「それにしても、……お前の知り合いなのか?」

 月は夜を「本当は天華様の知り合いなんじゃないのか」という疑いの目で見た。

「心外ですっ!お友達くらい作ってましたよ!」

 夜は声をあげている隣で「天華様、これまで夜の手綱緩めすぎてたんじゃ」と不安な考えが過ぎる月であった。

「……あと、天華様はお留守番だ」

「……えっ!?」

月の言葉に夜が反論のある驚きの声を上げた。

「……その非難に満ちた“えっ?”はなんだ? 忠告された、標的になってるかもしれない天華様をのこのことあっちこっちに連れ出す従者がどこにいる?」

 月な夜を睨む。

「ここに、いますけど?」

「夜……は従者の役を下ろした方が良くないか?」

 夜の言葉に月は天華を見て冷たい声で言っていた。

「ずっと一緒にいた私に、なんで酷いこと言うんですかっ! 天華様とは離れませんよぉー!」

 夜の嘆きの声は、森の木々を揺らしていた。

「理由は先に述べた通りだが……。夜も天華様は、お留守番でいいな?」

「……はい」

 腕を組んで夜を見て再度、天華のお留守番することに同意かを確かめた月に対して不機嫌で返事している夜。

「はい、お留守番していますね」

 天華は月の言葉にうなづいて、「じゃあ、私もお留守番しますっ」といい考えだと目を輝かせて夜は月に伝えている。

「……お前が来ないと、お前の知人とやらに会えないんだが」

 お留守番を選択し、目を輝かせている夜を冷たい目で怒れるオーラをまとわりつかせて睨んでいる月を見て、怯えながら長くなりそうな月のお怒り小言から逃れるべく夜は「い、いきますぅ~」と弱々しくうなづいていた。


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