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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第3章 今を往く現実と涙の思い出
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責任転嫁

責任転嫁


明詩(あかし)から追い出されるように作業場を後にした龍成(たつなり)

日本の火群(ほむら)家の表札が出ている洋館の玄関先に放り出された龍成は閉じられた玄関の戸を見てつい先程の明詩のことを考えていた。

「……あいつ、こっちに戻らずに魔法使いにでもなるつもりなんか……」

 明詩の人生だから別に口出しするつもりはないが少し、寂しい気がしている龍成である。

「にしても、こっちがエンヴィー相手にしてた時と同じような時に明詩も別な奴を相手にしてたとわねー」

 のほほんと呟きながら外玄関へと歩き出していた。

 玄関と外玄関の間くらいで殺気に気づいた龍成が1歩、後ろに身を避けていた。

「ちっ、反応のいいやつだ」

 完璧な人の形をした鬼の気配を纏ったものがいた。

 指の先は長い爪に変化させて、血肉の気配をもまとわりつかせている。

「一体、何人を食ってきたのかな?」

 龍成はのんびりと口を開く。

「……明詩に見つかったらなんの実験されるか分からないのによく来れたね」

 龍成はニコニコと笑って侵入している鬼を見て言っていた。

「この家の主が居ないことは確認済だ!」

  窓ガラスを破壊して館内に侵入したらしく強気な声色で言う。

「ことごとく、蛇の奴に邪魔されて空腹すぎてどうしようもない!」

 龍成に対して八つ当たりで怒鳴ってきている。

「……あー……、あの蛇ね」

「……えっ?お前、あの蛇を知ってるのか」

 龍成の言葉に鬼は冷静になり質問をしていた。

 鬼の言葉に龍成は、「知ってる、知ってる」とうなづきながら「あれ食べたら力が増えてたかもしれないけど、残念だったねー」のほほんと笑いながら龍成は言う。

 龍成のその様子に鬼は頭に血が登っているようで青筋が浮かび上がっている。

「……殺して食ってやる」

 龍成に向かって飛びかかって来た鬼を見て「人を食べちゃった君を見逃せないから、ごめんけど、始末しちゃうね」と真剣な表情に代わり、風の刃を飛ばしている。


 ボトっ


鬼が着地したと同時に龍成に伸ばしていた腕が吹き飛ばされて近くに落ちる。

「……」

 鬼は無言で切り落とされた腕を見て龍成を見た。

「動かない方がいいよー」

 呑気に声をかけてくる龍成に鬼は1歩踏み出そうとしていたが四方八方から無数の風の刃が鬼を襲う。

 鬼が土埃に姿を消されたところを見たのが最期であった。

「だから言ったのに」

 館の中庭が龍成の風の刃で大きくえぐられた場所の前に立ちながら呟いていた。

「……これって明詩に怒られるかな?」

 品良く植えられていた木々は龍成の発動させていた風の刃のであらぬ方向へと折られ切り取られていたり、灯篭は壊れ落ちてしまっている惨状に龍成は困った顔で笑っていた。

「怒られるより、……殺される方かもしれないし、鬼のせいにしておこう」

 ため息を吐きながら、鬼の状態を確かめようとえぐられたクレーターの中を覗き込む。

「うわー、当分、飯に肉は無理だな」

 龍成はゲンナリして呟いていた。

「鬼狩りに捕まるよりかマシだろ……」

 灰になり風に散っていく鬼の姿に龍成は手を合わた。

「……あ。生け捕りして、鬼狩り内部に潜ませたら良かったな……」

 ふと思い出したというように龍成は“失敗したなぁ~”と呟いていた。


 梅子(うめこ)の顔を見に行こうと思っていたのだが、鬼の襲撃で向かう気力がなくなり、自宅へと向かって歩いていくのであった。


 明詩が火群(ほむら)の館の惨状を知るのはまだあとのお話となる……。

 

 

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