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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
第3章 今を往く現実と涙の思い出
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明詩と人形

明詩と人形


黄色の炎を見つめて明詩(あかし)は「珍しく、夢鬼が協力を要請してきてね……」呟いていた。

「鬼が協力要請は珍しいな。こっちが協力要請ってのはよくあるけど……」

 龍成(たつなり)も驚いて明詩を見た。

「……同じランタンでいいじゃないとか思ってたけど、龍成の言うように蠱毒みたいな物を作ろうとしてるなら、最悪の未来を避ける選択として個別に封印をしていくべきなのね」

 明詩はため息を吐いて、材料の在庫に思考を割いていく。

「……この労働に対する対価! 別途料金頂いていいかしら?」

 明詩は龍成を見て言う。

 冗談だと声音でわかるのだがキツイ見た目なのか、本気の言葉として捉えそうになるが龍成は笑って「ツケでたのむ」と流していた。

「……最悪の想定もして置くわ……」

 龍成は明詩の言葉にうなづいていた。

「まぁ、最悪の想定は無いようにはしたいからねぇー、おにーさん、がんばるつもりだよ?」

「あー……、はいはい」

 龍成の言葉に明詩は軽くうなづいて流していた。

「もうそろそろ邪魔になるから帰ってくれない?」

 扉の外にひとつの気配を読み取って明詩は龍成を追い出そうとしている。

「このまま出ると外国の空にひとりで放置になるんだけど?」

「ゲートは元の場所に繋げたままよ!」

 龍成の言葉に明詩は反論していた。

「……まぁ、ふざけるのはここまでにしてっ……と。またなにか頼みに来るかもだからそん時は頼むね」

 手をヒラヒラとさせて部屋の扉から出ていく龍成を明詩は「またね」と見送っていた。


  机の上に置いてある、黄色と青色の炎を腕を組んで眺めていたら、ゆっくりと作業室の扉が開く。

 黒の絹糸の髪が扉を開いた瞬間、風に乗って流れ込んで来た。

「明詩様、ランタン増えてますね?」

「……お疲れ様、媛玘(ひめき)。……つい先程、龍成が持ってきてたからね」

 媛玘はああ、と納得している声を出していた。

「そういえば、あの方は、我々のことは苦手意識をお持ちでしたね」

 秘密裏の龍成の訪問を伝えられた媛玘は気を悪くした様子もないが明詩を見つめる。

「鬼灯の一族以外は、きちんとボディーガードつけるから安心して」

 何やら言いたそうにしている媛玘に対して明詩は先に宣言している。

「先の諍いで、何体のボディーガードの子を戦闘不能にしていましたか? せめて私だけでもお傍に置いて話をして頂きたいものです」

 責めるような口調で媛玘は明詩に苦言を告げている。

「……ごめん。ラストを封印する時にメンテナンス中で未完成のうちに引っ張り出した凰主(おうしゅ)には申し訳ないわ」

 守護の術を幾重も施していたのだが、ラストの馬鹿力によってヒビが割れ、戦闘時に無くしてしまったパーツなどもある。

「……感情のある子達が全て操られたのですからそれはしょうがないことです」

 メンテナンス途中で感情をコントロールする部品を外した状態の男性体の人形は、凰主のみだった。

 その凰主がラスト相手に封印する所まで追い込んで、明詩はランタンにラストを封印するに至った。

「あなたの相方、完成がもう少し後になりそうね」

 明詩の謝る姿に媛玘はどう反応を返していいのか解らない表情で頭を下げた明詩を見つめていた。

「そう思われるなら、適度に休憩をして、無理はなさらないことです」

 ふふふと笑いながら作業場のソファに座り人形の姿に戻っていた。

「え、見張る気満々だわ」

 作業に熱中すると色々疎かにするため、明詩の作業ストッパーとして媛玘がここに居座ることを決めた事に気づいて明詩は頭を抱えてしまっていた。

「まぁ、時間まだある事だし……」

ランタンに意識を向けていた。

「人を、仇なす存在として作ったのか……強大な何かを作ろうとしたのかどっちなのかしら」

 明詩はエンヴィーの中にある別の何かを探ろうと思い、青色の炎のランタンを見てみる。


 人間が対処出来るくらいの大きさだったらなんとかなるが、それ以上になるといくら人より強い力を持っていたとしても対処はできなくなる。

「……まさか、守護神の煉華様か、天華様のどっちかかもしくは両方ねらってる?」

 明詩は苦虫を噛み潰したかのような顔でランタンを見下ろしていた。

 


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