おかえりなさい
おかえりなさい
2人の鬼狩りが吐き出されたと同時に力を失った銅鏡が清律の足元に転がってきた。
清律神社に安置され、清律神社のみんなが大事にしていたものだった。
清律はゆっくりと座り込んで黒い粘液で銅鏡を大切に優しく持ち上げて居たが清律が持ち上げると同時に錆びて崩れ落ちるかのように粉々になって地面に落ちていく。
その様子を目の辺りにした清律の白い頬にすぅーと一筋の涙がこぼれ落ちていく。
「まぁ、なんだ……」
灑は慰めようと清律の肩に手を置いた時、激しく大きな青白い静電気が走る。
バチっという大きな音と電気の衝撃に灑は「うお?!」と驚きの声を上げ、そして赤くなった手を擦りながら清律から距離を取っていた。
星々が見えていた空に暗雲が立ち込めて雷までもなっている。
「……何か、……前にもこんなことあったような……」
夜がカタカタと震えて雷のなり続ける空を見上げながら呟いていた。
「あー……」
月も深く封印した記憶を思い出したかのように眉間に皺を寄せていた。
夜と月は会いたくない人が来るやもしれないという反応すぎて結華はオロオロしていた。
暗雲から、稲光が走る。
走った稲光は、目の前で地面を刺した。
稲光が落ちた衝撃で土埃が立ち上がり土埃の奥からから1人の女性が姿を現していた。
「りっちゃん、どこにいるかと思えばっ!」
緊張感の無い声が鬼灯邸に響き渡る。
清流を思わせる綺麗なエメラルドグリーンの髪を持つ女性は金色の縁どりで翠の瞳を清律に向けて声をあげる。
「ママ、とても心配したのよ!」
清律姫の母親である白蛇龍女で龍神の位に居る人である。
「……あら、天華ちゃんも一緒に居たのね。かなりご無沙汰だったわね」
天華は龍女に一礼をする。
「私が鬼狩りに所属していた時ですから……」
天華は苦笑いをして居た。
「……あの時もお世話になっちゃったけど、娘もお世話になった感じね?」
口元を隠して笑っている龍女に天華は「いえいえ、何も出来てませんよ」と返していた。
「……今度という今度は“神格”を受け取ってもらわないと」
キリッと真剣な表情で龍女は天華を見ていた。
「いや、それははるか昔から何度もお断りしてます」
天華は龍女に対して即効に反論していた。
「……鬼だから?」
「はい、鬼だからです」
龍女の真剣な問いに天華はうなづいていた。
「龍になれって言ってる訳じゃないのよ?」
龍女は天華に首を傾げて「善鬼神、なれると思うんだけど……」と龍女は悩みながら言葉を紡いだ。
「……や、ダメですっ!!」
天華が言葉を選んで黙っていると焦った夜が必死に首を横に振って拒否を示していた。
「……夜が心配過ぎて、まだあの世界から卒業は出来そうにありませんね」
優しく笑って天華は龍女に伝えていた。
「……私、諦めないわ……こうなったら天界に行って大暴れしてでも君の神格を勝ち取って来るんですから!」
天界を統べる王から後に怒られるようなことをいう龍女に対して頭を抱えた天華である。
「もし、お願いを聞いていただけるならば」
天華は龍女を見つめる。
「……清律姫は、心に傷を負っています。清律が交流していた人の子が《魔》に殺されて、そのためか今“声”を失っております」
天華の言葉にハッと清律を見て龍女はしゃがみこんで清律を抱えあげて居た。
「そうだったのね。……気づいてあげられなかったわ、ごめんなさい」
「あと、彼ですが……」
天華の言葉に顔を灑へと向けた。
「灑は、鬼でありながら、ご息女を守り通してここまで連れてきてくださいました」
天華の言葉に灑は焦った様子でワタワタしたのだが、頭を下げた。
「……灑、清律の眷属となることを命じます。 ひとまず人間界で修行として生活してみなさい」
龍女の言葉に灑は驚いた表情を作る。
「ここの鬼の娘と共にしていたら徳も積まれるだろうし」
灑へと助言をしながら天華に信頼を含んだ視線で一瞥をし、清律を連れて龍女は天へと登っていった。
「相変わらず、人の話を聞かない御方だ……」
月はため息を着いて呟いていた。
「ところで、修行って姐さんたちとしたらいいんです?」
灑は首を傾げて問いかけていた。
「……えー……」
灑の言葉に夜は不服そうな声を発している。
「夜の姐さん、今後ともよろしく」
灑は笑って言っているがものすごく嫌そうな顔をしている夜。
「よろしくしたくありません!」
じたばたと地団駄を踏む夜。
へへへっと不敵な笑みを作っている灑。
その2人を見て盛大なため息をつく月でありました。
翌日。
梅子が退院となり鬼灯邸に戻ってきた。
それと同時に天華、夜と月。ついでに灑は森の中の旧鬼灯邸へと戻ることにした。
「天華様、結華を守っていただき感謝致します」
梅子は天華に頭を下げる。
「私は何もしてないですよ。お世話をしていたのはほぼ月ですし」
「いえいえ、そばに居てくれただけでも感謝するに値しますよ」
梅子の言葉に天華は戸惑っている様子を見せていた。




